退職後のバランス:日々の穏やかな暮らしと、刺激を受けること ②
再びけいこです。noteって、一旦書き出すと次々と書き留めておきたいことが出てくるから不思議。
今日は刺激、特にcomfort zoneを出る経験について書きたい。前の①では、シドニーでの仕事が刺激を受けること、と書いた。実際そうだったけど、よくよく考えてみると、私は普段から刺激を受ける、というか自分のcomfort zoneから出なきゃいけないような課題を自分に課していることに気づいた。M体質(笑)
別に違う街に(国)に出かけて仕事をすることだけが刺激ではない。
先週の土曜日に有機農業の6回コースのクラスが終了した。2週間に1回の頻度で1回ずつテーマが異なる:土づくり、果樹の育て方、雑草、株分、害虫など。コミュニティーファームという設定で自然農法をやっている素敵な場所。
さてさて、今思えば、このコースの方がシドニーに比べて私にとっては、はるかにcomfort zoneから出る(出ざるを得ない)経験だった。
ずっと家庭菜園をやりたいと5年ほど前から思っていたので、日本でまず「シェア畑」というところで土地を借り、「超」初心者の私たちも形ながら野菜を育てるという経験から始めた。アドバイザーさんという素晴らしい人たちがいて、その人が手取り足取り教えてくれた。私たちのような初心者には、そして都会に住んでる人には理想的なプログラムだった。
その後NZにきて、その延長で家庭菜園を始めたかった。こちらは野菜を作ったり庭仕事をするということが、日常生活に根付いている。もともと農業国だから、今は農業してなくても2代、3代前は農家だったという人も多く、土で何かを育てるということに子供の頃から触れている人が多い気がする。門前の小僧、ってすごく大切。私の母方の祖父母は農家をやっていたけど、私が生まれるずっと前に農家はやめていたので残念ながら私はそれを目にしたり引き継いでいない。
そんなこんなで、こちらに来て家庭菜園について学べる研修を探した。たまたまテレビで市街にある市民農園について放映していたので、そのサイトにいったらこの有機農業のクラスを見つけたというわけ。(ちなみにこちらでは、こういう情報を得られるようになるべく朝の番組などのテレビを見るようにしている)
先述のようにこちらの人のレベル・知識が高いこともあり、最初はどうしようか迷ったけど、「やるっきゃない!」と通い始めた。
実際行ってみると、その回によって人数は前後するけど、大体7〜8人。みんな有機農業をやりたい、という意識高めの人だから良い人が多くて救われたけど、私は以下の理由でハンディがあった:
英語をネイティブとしない人は私だけ
農業の一般知識があまりないので、日本語でも英語でも語彙が足りない
NZに来て日が浅く、それも南半球。こちらの季節感がまだピンとこない (Labour dayという祭日になると季節が暖かくなるから植えるといい、というようなこちらでの「常識」がまだまだない)
同じくこちら特有の草花についての知識がない(特に雑草や害虫など)、他の人にとっては常識でも
シェア畑で「よし」とされていたことがこのクラスでは「望ましくない」ということもあり、単に知識の上積みするだけではなく、絶えず比較したり、時にはunlearningしなければならなかったこと
今思えば、よくやった、ある意味無謀とも言える。日本で同じようなコースがあっても私には上級者レベルだったと思うから、日本語でもわからないこともいっぱいあったと思う。とにかく基礎的な知識が足りてないのだ。
例えば、2回目のレッスンで教えてもらったことを早速やってみて、3回目のレッスンで「試してみました!やりました!」と得意げに言ったら、先生が申し訳なさそうに「それはまだ時期的に早いかも」とおっしゃったり笑。
でもこのコース全般に「trial and error(試行錯誤)」でやっていけばいい、という雰囲気だったので、「間違いは(あまり)気にせず、やってみること、やって失敗して学ぶ、いつかはうまくいくだろう」を自分のスローガンに掲げてやってみた。だから、レッスン中も「アホな・あまりにも初級の」質問とわかっていても自分なりに頑張って手を上げて質問した。
合計6回、それもその回ごとにテーマが異なるから、私にとってはそれ以前の知識が必要なくらいだったけど、行かなかったより絶対マシ!入り口が見えてきた、と思えるようになった。
こちらはこれからが春。畑仕事を始める季節。もしあと20年こういう畑仕事ができると仮定しても、トマトは20回しかできないんだよね。そう思うと畑仕事・庭仕事って新たな「時間」の感覚を教えてくれる。
トマトを2回くらい失敗するとしたら、あと18回しか残ってないってことだ!そう考えるとちょっと焦るけど、でも「試行錯誤」をスローガンに、失敗することも含めて楽しんでいきたい。
今日、何を書きたいかというと、刺激的な生活って別に表面的なことだけに捉われる必要はないってこと。「ここいきました!これしました!こんな大変な思いしました!」っていうような経験でなくても十分刺激的になりうる。
有機農業のような「スローライフ」「のんびり」「リラックス」する中にも、刺激を求めることはできる。というか向上しようとしたら、ある意味、comfort zoneを出るように仕掛けなければならないってこと。
だから、あまり無理せず、ちょっと心地いい範囲を超える経験を取り入れながら、生活を楽しみたいってことに改めて気づいたってこと。
最後に補足:「有機農業」とか書くと大規模な農場を思うかもしれないけど(きょうこはもうわかってると思うけど)、私の規模は本当にプランターに育てる野菜の規模に毛が生えたようなもの。100cmx100cmのの野菜植えるスペースにトマトを4株、ズッキーニを2株、その間にレタスやお豆、マリーゴールドのようなお花を植えたもの。私にとってはこれを育てて無事収穫するのことがcomfort zoneの外側なのです。