コディ・ポンセ、NPB外国人投手8人目のノーヒットノーラン達成

北海道日本ハムファイターズのコディ・ポンセが、来日初の本拠地での先発登板で、チームの8連敗を吹き飛ばす「快投乱麻」を見せた。

来日1年目、これが11試合目の先発登板となったポンセは、プロ2年目の古川裕大と初のバッテリーを組んで、本拠地・札幌ドームのマウンドに初めて立つと、首位・ソフトバンク打線にヒットを許さない投球を続けた。
初回、ソフトバンク3番のグラシアルに死球を与えたが、後続を断ち、2回、6番の増田珠が放ったセンター前への当たりを、万波中正がランニングキャッチ。
ポンセは特に右打者の外角への制球が冴え、内角球は詰まらせるなど、打球はほぼ野手の正面に飛んだ。
ソフトバンクは無安打のままで迎えた8回、先頭の5番・野村大樹が打った打球が二遊間を襲ったが、二塁ベース斜め後方でショートの中島卓也が追い付き、身体を回転させながらランニングスロー。
打った野村もヘッドスライディングを見せたが、間一髪、中島の送球が速くアウト。
ポンセも笑顔で中島にお辞儀を見せるほどのスーパーファインプレーだった。
そして、いよいよ、9回。
ポンセは先頭のガルビスに対し、突如、ストライクが入らなくなり、ストレートの四球。
初回のグラシアルへの死球以来、久々の走者を背負う。
さらに続く、代打・正木智也にも2球連続ボールとなったが、ここから立て直し、ライトフライに打ち取った。
そして迎えるは1番・今宮健太。ホークス打線でもっとも嫌な打者を迎えた。
ポンセが今宮に投じた初球、この日、113球目となる内角寄りの真ん中のツーシームを今宮は強振したが、詰まった当りはまたしてもショート・中島の守備範囲。
6-4-3と渡って、ゲームセット。

この瞬間、ファイターズの投手としては、1995年7月5日の対西武ライオンズ戦(東京ドーム)で西崎幸広が達成して以来、しかも、ファイターズが北海道に移転してからは初となるノーヒットノーランが記録された。

ポンセは9回を投げ、113球、四球1、死球1、奪三振6、そして被安打0、無失点であった。
27アウトのうち、内野ゴロ9個(併殺打1)、内野フライ・ライナー3個、外野フライ8個、
そのうち、ショート・中島への打球が6個もあった。

また、NPBでノーヒットノーランは通算98度目、87人目となったが、そのうち外国人投手がノーヒットノーランを記録するのは、1937年のヴィクトル・スタルヒン(巨人)から数えて、8人目の快挙となった。

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NPBに在籍した外国人投手でノーヒットノーランを記録した中で、NPB移籍前にMLBで複数の勝利を挙げている投手はいない。
MLBで通算1勝以上を挙げて、ノーヒットノーランを記録したのは、2000年のメルビン・バンチ(中日)以来、ポンセが2人目となる。
来日1年目での達成は、テリー・ブロス(ヤクルト)、メルビン・バンチ(中日)、ナルシソ・エルビラ(近鉄)に次いで4人目となる。

ポンセは2019年に開催されたWSBCプレミア12で米国代表に選出され、その後、MLBではピッツバーグ・パイレーツで2020年にメジャーデビューし、初勝利を挙げたが、実働2年で通算20試合に登板し、1勝6敗、防御率5.86にとどまっていた。
米国カリフォルニア州ロサンゼルス出身の29歳にとって日本で掴んだチャンスが最高の形で実を結んだ。

日本ハムは今年4月22日のロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)では佐々木朗希に8回までパーフェクトに抑えられ、6月7日には本拠地・札幌ドームでの交流戦でDeNAの今永昇太にノーヒットノーランを食らうなど、これまでは「被害者」であったが、今季限りで札幌ドームを去る前に、ファイターズの投手がようやく本拠地でノーヒットノーランを記録した。

最下位のチームの投手が首位チームを相手にノーヒットノーランを達成するのは、2000年のナルシソ・エルビラ(近鉄)が西武ライオンズ戦で記録して以来、22年ぶり。
さらに、1966年の佐々木吉郎(大洋)がチーム7連敗中に先発登板し、完全試合で連敗を止めているが、ノーヒットノーランでチーム8連敗を止めたのはポンセが初めてとなる。

なお、今季のNPBでノーヒットノーランを達成したのは、佐々木朗希(ロッテ、完全試合)、東浜巨(ソフトバンク)、今永昇太(DeNA)、山本由伸(オリックス)に次いで、ポンセが5人目となり、これは、1940年に、亀田忠(イーグルス)、浅野勝三郎(阪急ブレーブス)、沢村栄治(巨人)、三輪八郎(タイガース)、石田光彦(阪急)の5人が達成して以来、NPBシーズン最多タイとなる。

また、ソフトバンクはコロナで柳田悠岐らの主力野手を欠く中での「屈辱」となったが、今季、ノーヒットノーランを食らったチームは、すべてパ・リーグのチーム(オリックス、西武2回、日本ハム、ソフトバンク)ということになる。

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