【2021年】NPB史上初、パ・リーグ盗塁王4人誕生

パシフィック・リーグは、10月30日の千葉ロッテ対北海道日本ハム戦で全日程を終了した。

この試合前までに、パ・リーグの盗塁王争いは、トップの源田壮亮(西武)、和田康士朗(ロッテ)が24盗塁で並んでおり、1個差の23盗塁で、荻野貴司(ロッテ)、西川遥輝(日本ハム)が追いかける展開となった。

ロッテの荻野は1番・レフトで先発出場したが、これでプロ12年目にして初の全試合出場を果たした。3回、一死一塁の場面でサードへの内野安打で出塁すると、二死一、三塁となり、3番・中村奨吾への初球でスタート。
日本ハム先発の伊藤大海のカットボールがワンバウンドになったこともあり、荻野は悠々と二塁を陥れた。これで24盗塁。トップの源田と和田に並び、初の盗塁王に大きく前進した。

続く5回、荻野は先頭打者として打席に立ったがストレートの四球。再び盗塁のチャンスとなったが、ここは代走の小川龍弘が送られて、荻野は交代。
今シーズンを終えた。

一方、日本ハムの西川遥輝はベンチスタート。7回、2死走者無しで木村文紀がショートゴロエラーで出塁すると、今季初めて代走で登場。
ロッテ4番手の小野郁が代打・王柏融へ投じた初球、西川はすかさずスタートを決めると、捕手・佐藤都志也がボールを握り替えて送球する間に、二塁に到達した。これで西川も24盗塁とし、4人が並ぶ事態となった。

西川は続く王のセンターへの二塁打で本塁へ生還し、この回でベンチに下がったため、源田、荻野、西川の3人が24盗塁でシーズンを終えた。

和田康士朗は最終戦もベンチ入りしていたが、出場の出番なく最終戦を終えた。
これで、パ・リーグの盗塁王は、NPB史上初となる4人の同時受賞となった。
しかも、30盗塁以下で盗塁王が決まったのも、パリーグ史上初である。

西川は2014年、2017年、2018年に続き、自身4度目の盗塁王だが、源田、和田、荻野の3人はいずれも初のタイトル獲得となった。

惜しかったのは、西武の大卒新人・若林楽人で、開幕一軍で迎えて4月上旬から一番を任されるようになると、5月22日には1試合3盗塁で両リーグトップの20盗塁を一番乗りでマークし、NPB3人目、パ・リーグ初となる「新人で盗塁王」の期待が懸かった(過去の達成者は2001年の赤星憲広(阪神)、2019年の近本光司(阪神))。
だが、5月30日の阪神戦の守備で左膝前十字靭帯損傷をし、手術を必要として長期離脱となったため、結果的に5位に終わった。
一方、4位の周東佑京は前年に続き2年連続の盗塁王が期待されたが、開幕から一番に座ったものの不振が続き、5月中旬からスタメンを外れるようになり、6月には右人差し指を骨折して離脱した。8月中旬に復帰し、8月22日には今季21盗塁目をマークしたものの、その後、右肩を負傷して、手術を受け、今季絶望となった。

荻野貴司はプロ12年目、36歳にして初のタイトルだが、トヨタ自動車からドラフト1位で入団したルーキーイヤーの2010年、俊足を生かしていきなり開幕スタメンを勝ち取り、開幕から46試合で打率.326、25盗塁をマークしたものの、5月下旬に試合中に右ひざの半月板損傷、長期離脱となり、タイトルを逃した。
それからも故障がちとなり、新人から二桁盗塁をマークしながら、規定打席に達したのは2019年、プロ10年目、34歳のシーズンとなった。

今季は開幕から全試合に1番打者でスタメン出場し、自己最多の643打席に立ち、169安打を放った。打率は.296で自身2度目のシーズン打率3割は逃したが、「盗塁王」と併せ、「最多安打」のタイトルと「二冠」となった。

源田壮亮はこれまで2017年に新人王、2018年からは3年連続でベストナイン、ゴールデングラブ賞は受賞しているが、プロ5年目にして初の個人タイトル獲得となった。今季は5月に右太ももの張りを訴え、かつ、新型コロナウィルスにも罹患して離脱を余儀なくされた。自己ワーストの119試合の出場に留まったが、初の栄冠を手にした。

和田康士朗は2017年の育成ドラフト1位でロッテに入団すると、2020年に支配下登録を勝ち取り、開幕戦の福岡ソフトバンクホークス戦(福岡PayPayドーム)で、代走起用され、甲斐拓也からプロ初盗塁を決めた。
結局、71試合に出場、うち、先発出場は14試合のみで、代走として43試合に出場、打席数はわずか69で、パ・リーグ3位の23盗塁、盗塁成功率88.5%を記録した。

今季はさらに代走のスペシャリストとしての起用が増え、96試合のうち、先発出場はわずか2試合で、代走からの出場が62試合あり、打席数は24。それでも29回の盗塁機会のうち、24回で成功させ、盗塁成功率は82.8%と、盗塁王4人の中で断トツのトップだった。
和田は二リーグ分立後の盗塁王の中で、1966年の山本公士(阪急)の158打席を下回る、最少打席での受賞となった。

西川遥輝は29歳にして11シーズンのうち、現役選手で最多となる4度目の盗塁王(2014年、2017年、2018年)に続き、で、かつ現役最多の通算311盗塁をマークしている。

NPBにおける盗塁王の複数回受賞の上位4人は、

①福本豊(阪急ブレーブス)13回(13年連続)
②柴田勲(巨人)6回
③広瀬叔功(南海)5回(5年連続)
③赤星憲広(阪神)5回(5年連続)

西川があと1回、盗塁王を獲得すれば、5回目となり、史上5人目となる。
通算の盗塁成功率が84.7%で、NPBで通算150盗塁以上では、1位のイチロー(オリックス)の85.8%(199盗塁ー失敗33)、2位は山田哲人(ヤクルト)の85.3%(180盗塁ー失敗31)に次いで、歴代3位となる記録であるが、200盗塁以上では鈴木尚広(巨人)の82.9%(228盗塁ー失敗47)を凌ぎ、文句なくトップである。


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