石川雅規、通算3000イニングへの道も一球から


東京ヤクルトスワローズの42歳左腕、石川雅規が新たな金字塔を打ち立てた。

石川は6月30日、マツダスタジアムでの対広島カープ戦に今季9度目となる先発登板。
石川が過去512試合の登板で、ここまで積み重ねた投球回数は通算2997回と2/3。

石川は初回、2回と広島打線を三者凡退に切ってとり、迎えた3回、先頭の7番・堂林翔太をサードゴロに打ち取った。
ここで通算3000イニングに到達、9000個目のアウトを奪った。
実にNPB史上28人目となる快挙である。

石川はその直後、8番の小園海斗に初ヒットを許したが、5回まで被安打2、無失点と上々の出来。
一方、ヤクルト打線は、8番の長岡秀樹がライトオーバーの今季5号ソロホームランを放って先制した。
1-0で迎えた6回、石川は続投。ここで先頭の小園に今季3号ソロホームランを浴び、1-1の同点とされてしまう。
尚も続く中村健人にレフトオーバーの二塁打を打たれ、無死二塁。
だが、一死三塁となったところで、2番の中村奨成に初球を打たせて浅いセンターフライ。
さらに3番の菊池涼介もキャッチャーへのファウルフライに打ち取って、勝ち越し点を与えず、この回限り、76球でマウンドを降りた。
その裏、味方が三者凡退に倒れ、石川の通算182勝目はならなかった。

それでもヤクルト打線は石川の粘投に応え、試合は延長戦へ。
延長12回、ヤクルトは新人・丸山和郁のタイムリー二塁打で2点を取り、その裏を田口麗斗が三者凡退に抑え、4-2で勝利した。


「NPB通算3000イニング」クラブへの入会は石川で28人目である。

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ヤクルトの前身・国鉄、サンケイ、アトムズを含み、ヤクルトの投手としては金田正一(国鉄)の4920イニング、松岡弘(ヤクルト)の3240イニングに次いで、石川は3番目となる。

また、石川は通算200勝まであと18勝と迫っているが、通算200勝以上の投手のうち、22人が通算3000イニングにも到達している。

石川雅規、20年前のプロ初先発登板をプレイバック

石川雅規のプロ初登板・初先発は、2002年4月4日、神宮球場での広島カープ戦。
開幕5試合目であった。

石川がプロ初先発でバッテリーを組むのは、石川が青山学院大学3年の時に、アマチュアとして参加した2000年シドニー五輪日本代表でバッテリーを組み、ヤクルト入団の決め手ともなった古田敦也だ。
(ただし、古田は1999年の予選リーグのみの参加で本選には不参加)
36歳の古田は開幕2試合目に膝の故障で途中交代しており、それ以来、3試合ぶりにスタメンに復帰して、15歳下の石川の初登板を後押しした。

登板前に意気込みを尋ねられた石川はこう答えた。
「全力で、ひとりひとりを抑えていきたいです」

石川は初回、先頭の1番・緒方孝市と対戦、いきなり四球で歩かせてしまう。
2番・東出輝裕を打ち取り、プロ初のアウトを奪った。
その後も、4番の金本知憲にも四球を与え、2死一、二塁のピンチを迎える。
だが、5番・前田智徳を追い込んだ後、内角のチェンジアップを投げ込んだ。
リーグ屈指の好打者である前田のバットは空を切った。
石川は前田を空振りの三振に斬って取り、プロ初の奪三振。
立ち上がりのピンチを脱した。
すると、石川はその後は危なげない投球を続ける。
ヤクルト打線も石川の投球に応え、5回に1番・真中満が2試合連続となる2号3ランホームランで先制し、一塁走者の石川もホームを踏んだ。
6回にも6番・岩村明憲のタイムリー安打で1点を加え、4-0。

石川は直球のスピードはMAX138キロながら、古田のリードに導かれ、チェンジアップを織り交ぜながら緩急自在の投球で、途中、打球が足に当たるアクシデントに見舞われながらも、広島打線を6回まで無失点。
7回もマウンドに上がった石川は、二死一、三塁のピンチを迎え、同級生の五十嵐亮太にマウンドを譲ったが、6回2/3をわずか4安打、無失点に抑える快投を見せた。
その後は五十嵐が2回1/3を投げ抜き、最後の打者、7番・新井貴浩を外野フライに打ち取って無失点に抑え、ヤクルトは4-0の完封リレーで広島を下した。
石川は嬉しいプロ初勝利。
しかも、セ・リーグの新人投手一番乗りとなる勝利だった。
その後、何十度と繰り返される、石川ー五十嵐の「同級生リレー」による勝利を最初に決めた夜となった。

石川をプロ初先発のマウンドに送り出した若松勉監督は、
「(石川は)良く投げてくれた。これからもどんどん伸びていって欲しい」

試合後、初めてのヒーローインタビューに呼ばれた石川は、
「最初、何がなんだかわからなかったんですけど、古田さんのミットを目掛けて投げてたんで、ほんと、嬉しいの一言です」

さらにインタビュアーが石川に尋ねる。
「点数をつけるとしたら?」
「100点満点です」
「やりがいがあるというか、楽しくできました」

なお、石川がプロ初先発・初勝利を挙げた約2か月前、2001年2月2日に村上宗隆が生まれ、同じく2か月後の6月30日に、通算3000イニングに到達した試合でバッテリーを組むことになる内山壮馬が生まれ、先制打を放った長岡秀樹が前年の9月に生まれている。

さらに、決勝打を放ったルーキー・丸山和郁(2021年ドラフト2位)だが、1999年、大学3年生の石川がシドニー五輪予選で古田とバッテリーを組んで登板した9月17日の2か月前となる7月18日に生まれている。

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