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デザイナーに必要なライティング力 〜「言葉ダイエット」で読みやすい文章を書こう〜
RENOSYのデザインチームでは毎月様々なテーマで勉強会を開催しています。
今回は、少し前に開催したライティング勉強会で取り扱った内容をご紹介します。
なぜデザイナーに文章力が必要なのか
デザイナーが文章をがっつりと書くのはブログ記事を書くときぐらいでしょうか。
ただ、デザイナーの成果物、クリエイティブやUIでは「テキスト情報」がコンテンツの主役であるといっても過言ではありません。
渡された要件やワイヤーをもとにデザインをブラッシュアップしていく中で、「ここのテキスト量もう少し減らせないのかな?」「この文言なんだかすっきりしないな」と感じることはないでしょうか?
「UXライター」という職種も最近注目されていますが、うちのようにまだ未成熟な組織ではそのような専門スキルを持ったメンバーが在籍していないことがほとんどだと思います。
そんな中、デザイナー自身が少しでも「良い文章」とはどういうものなのか知っていれば、より良いアウトプットができるようになるのではないかと考え、文章力の勉強会を行うことにしました。
なぜ読みにくい文章になるのか
まずはこのスライドを見てください。日本語としておかしいわけではないですが、なんだか読みづらいですね。
あなただったらどう直すでしょうか?
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以下回答例です。
![](https://assets.st-note.com/img/1642996013882-xyxhpxfnMw.png?width=1200)
無駄を省いていくと、伝えたいことは実はこんなにシンプルだったのです。
あらためて元の文章を見てみると、必要のない言葉がたくさん並んでいたことがわかります。
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ビジネスマンが文章を書くと、「かっこいい文章書かなきゃ!」と力が入ってしまい、この例のように必要以上に言葉を詰め込んだ読みづらいものになってしまうことがあります。
ここでわかることはズバリ、
![](https://assets.st-note.com/img/1643004472588-KA2cDeDdRd.png?width=1200)
ということ。
そこで、良い文章を書くためには以下二つの原則が重要になってきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1642996067870-EIDOAmnErq.png?width=1200)
ここでは長くて難解な文章を、シンプルにすることを「言葉ダイエット」といいます。
ダイエットに例えるなら、「1. 文字を減らす」が「脂肪燃焼」、「2. 具体的に書く」 が「筋力アップ」という感じでしょうか(笑)
それではどのように言葉ダイエットすればいいのか、具体的に見ていきましょう。
文字を減らす
言葉ダイエットのポイントひとつめは、「文字を減らす」ということ。
新聞社や出版社などの新米記者は、まず最初に「半分に削れ」というのを叩き込まれるそうです。
無駄のない表現を心がける
以下3つは、初心者がつい入れてしまいがちな冗長な表現です。
▶︎指示代名詞
これ(ら)・この・それ(ら)・その、前者・後者
▶︎冗長表現
行う、することができる、ということ、であり
▶︎接続詞
そして(準説)、また(並列)、つまり(説明)、さて(転換)
文章を読み直し、無駄な表現を見つけたら容赦なく削ぎ落としましょう。なくしても意味は変わらずに文章の圧縮ができます。
🤨 例文
企業にとってブランディングは重要な意味を持ちます。しかし、社会の変化により、このブランディングの意味するところは大きく変化したのです。どういうことかと言うと、企業の広告などのコミュニケーションだけではなく、その企業の行動そのものが、そのブランドを作るようになってきているということです。
😀 添削後
企業にとってブランディングは重要な意味を持ちます。社会の変化により、ブランディングの意味するところは大きく変化したのです。企業の広告などのコミュニケーションだけではなく、企業の行動自体が、ブランドを作るようになってきているのです。
元の文章は、冗長な表現や接続詞が続き、だらだらした印象の文章でしたが、添削後は意味を損なうことなく言葉ダイエットに成功しています!
きびきびとした文章にする
さらに無駄のない文章にするためには以下3つのポイントを抑えましょう。
▶︎前提の共有は最小限に
言わなくてもわかる当たり前のような枕言葉はいりません
▶︎同じ言葉の繰り返し
主語は省略する、同じ言葉は言い換える
▶︎過剰な敬語
〜させていただく、〜おります、〜につきまして、〜いたします
引き続き先ほどの例文を添削していきます。
🤨 例文
企業にとってブランディングは重要な意味を持ちます。社会の変化により、ブランディングの意味するところは大きく変化したのです。企業の広告などのコミュニケーションだけではなく、企業の行動自体が、ブランドを作るようになってきているのです。
😀 添削後
社会に合わせて、ブランディングのあり方が変化しています。企業の広告などのコミュニケーションだけではなく、企業の行動自体が、ブランドを作るようになってきているのです。
自明だった最初の1文、繰り返される「変化」「企業」という言葉、そしていくつかの冗長な表現を書き換えて、言葉ダイエット完了です。
きびきびとしたプロのような文章に生まれ変わりましたね。
ちなみに例文の文字数は、最初143文字だったところ、最終的に82文字、約半分まで削ることができています。
具体的に書く
抽象的で何が言いたいのかわからない… という文章にならないために、具体的な文章で説得力をつけましょう。
具体的に書くために大事なポイントは以下3つ。
▶︎修飾語禁止
▶︎カタカナ語禁止
▶︎「抽象=見出し」「具体=本文」
修飾語やカタカナ語は、書き手と読み手で解釈が異なるため、多用すると胡散臭い文章になってしまいます。
必要に応じて抽象的な言葉は見出しにし、本文には具体的な内容を盛り込むことで肉厚な文章にしていきましょう。
以下商品説明の例文です。
スマートフォンのリーディングブランドが、次世代のモバイルイノベーションを実現。次世代「スーパースマート」、ついに登場。革新的で洗練されたボディデザインは、上質を手にする喜びを味わえるとともに、毎日にフィットします。ダイナミックなスクリーンは、かつてない美しさを実現。当社独自の技術で開発された映像エンジンにより、より良い広い世界を捉えられるよう、カメラも進化しました。パワーアップされたサイボーグOSが圧倒的なパフォーマンスを実現することで、あなたの毎日をサポートします。
某大手スマホメーカーのウェブサイトみたい… 何が言いたいのかわかりにくく、説得力にかける文章ですね。
太字部分の抽象的な表現を、客観的な根拠をもって肉付けしていきましょう!
🤨 革新的で洗練されたボディデザインは、上質を手にする喜びを味わえるとともに、毎日にフィットします。
😀 ムダを削ぎ落とした、手からすべり落ちにくいボディデザインを採用しました。
🤨 ダイナミックなスクリーンは、かつてない美しさを実現。当社独自の技術で開発された映像エンジンにより、より良い広い世界を捉えられるよう、カメラも進化しました。
😀 スクリーンの解像度は旧モデルより50%アップ。デジタルカメラは、当社独自の映像エンジンにより高画質を実現します。
いかがでしょうか。説得力が増し、商品の魅力が客観的に伝わる文章になったかと思います。
その他TIPS
ここまでで、「文字を減らす」「具体的に書く」という2点についてお伝えしてきました。
この基本を踏まえた上で、さらに読みやすい文章にするためのTIPSをいくつかご紹介します!
一文一意
ひとつの文章にひとつの情報だけ。
1文は長くても40~60文字に収めましょう。
😩 早起きは三文の徳ということわざがありますが、これは早起きすることで、健康や勉強などに対してごく僅かだがメリットがあるという意味で、朝遅くまで寝ている人を戒める言葉として使われます。
😊 早起きは三文の徳ということわざがあります。これは、早起きすることで、健康や勉強などに対してごく僅かだがメリットがあるという意味です。朝遅くまで寝ている人を戒める言葉として使われます。
文末は揃えない
同じ文末が続くと、単調な文章になってしまいます。
変化を持たせ、リズム感のある文章に。
😩 電気自動車は、ガソリン自動車に代わるものとして注目されています。そこでは、バッテリーの大量生産が課題とされています。
😊 ガソリン自動車に代わるものとして注目されている電気自動車。課題とされているのが、バッテリーの大量生産です。
漢字をひらく
「ひらく」とは、漢字でも表現できる言葉をあえてひらがなで表記すること。
読みやすい文章のバランスは
漢字 3割、ひらがな 7割 と言われています。
😩 誰でも簡単に、今すぐ始められます。
😊 誰でもかんたんに、今すぐはじめられます。
重言に気を付ける
「頭痛が痛い」に代表されるやりがちな文法的な誤りです。
違和感を感じる → 違和感がある、覚える、抱く
衝撃的なインパクト → 衝撃
特典としてプレゼントを用意 → 特典を用意 / プレゼント贈呈
顧客UXの体験価値 → 顧客の体験価値
箇条書きにする
デザインやプレゼン資料で使うべきテクニック。
多くの場合、丁寧な文章で表現するより、箇条書きで要点をまとめた方がわかりやすい。
![](https://assets.st-note.com/img/1642996422015-AGikYi4Xp2.png?width=1200)
@spicagraph 2018年4月11日 午後4:33、 https://twitter.com/spicagraph/status/983971222831628288?s=20
参考本
1. 橋口幸生『言葉ダイエット〜メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術〜』(株式会社宣伝会議、2020)
電通のコピーライターの方が書いた本。
とても親しみやすく読みやすい文体で、本自体が言葉ダイエットを体現されています。後半ではコピーライターとしてどのように面白い文章を書くのかなどの内容もあり、入門書ながら非常に濃い一冊です!
Kindle Unlimitedに入っている人なら0円で読むこともできます。
2. 林 千晶、中野 克平『Web ライティング実践講座〜ニュースリリースから商品説明まで〜』(株式会社アスキー・メディアワークス、2012)
文章を書くことに苦手意識を持っていた私が、あるサイトのページのライティングをやらざるを得なくなった時にかなり助けてもらった本です。
「1.7 キビキビとした文章への直し方」「補講:プロ並みに無駄のない文章」の章を読みまくりました。
タイトルにある通り、かなり実践的な内容になっており、SEO対策やコンテンツ戦略まで学べます。
まとめ
今回の勉強会では、商業デザイナーとしてよく扱うサイトの見出しや説明文に入る1文〜1段落程度の文章を読みやすくする方法をご紹介しました。
参加したメンバーからも、後日「言葉ダイエットしたらデザインがすっきりした」「デザインレビューのときに役に立った」などの声が上がっていました!
デザイナーをはじめ、文章に苦手意識を持っているのに書かざるを得ない方、なんだか書いた文章がパッとしないなと悩んでいる方の参考になれば幸いです。
RENOSYのデザインチームではこのような勉強会を定期的に行っています!勉強会の運営ノウハウの記事も公開しているのでぜひ読んでください。
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