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マクガバン・レポートは嘘だったのか?伝説の真相に迫る!

【NATROM医師オススメのブログ】

 代替医療を徹底して批判し続ける内科医、NATROMが推奨するブログに〈火薬と鋼〉というものがあります。

 その中の記事に〈マクガバン・レポートの真実〉というものがあります。一部を引用します。

【報告の量と規模】

 マクロビや代替療法では、しばしばこのマクガバン報告を自説の根拠として扱う。このため、報告の価値・意義を大きくしようとして実態と合わない紹介をしている。日本での紹介のおかしな部分と実際の報告と見比べてみよう。

【5,000ページに及ぶ報告?】

 まず、報告のページ数について、5,000ページにおよぶという伝説が日本で流布しているが、これは報告の実態と合わない*1。

 米国議会図書館の蔵書データベースで検索すると、報告のページ数は簡単に分かる。報告第1版は前付け(目次等)5ページ、本文79ページ。それに加筆修正が加わった第2版でも前付け41ページ、本文83ページである。最初の報告の後行われた公聴会等の研究者の意見をまとめた「補足見解」(Dietary goals for the United States, supplemental views)でさえ前付け5ページ、本文869ページだ。

 報告には食品の栄養や消費、健康に関するグラフや統計データ、研究者の報告、参考文献といった資料が盛り込まれており、報告と別個に資料が存在するわけではない。つまり、報告が5,000ページにのぼるというのは、事実と全く合わない伝説である。

【全世界を調査?】

 マクロビや代替療法では報告の規模として「全世界を調査」「調査対象は3,000人」といったことを書いているが、そうした情報は報告には一切ない。何より報告では米国内での科学的データの蓄積と研究を元にしており、比較例として出される他国の例は部分的なものでしかない。

 報告の後に行われた公聴会では世界23カ国から集まった200人以上の研究者の意見が集められており、報告第2版にはその事が記述されている。報告後の公聴会に関して言えば全世界を対象にしたと言えるが、それは研究者のこれまでの調査研究を通して得た意見を集約したものであり、マクガバン報告のために一から調査研究が行われたわけではない。報告のために全世界を対象に調査したというのとはだいぶニュアンスが異なる。また、他国の例は、個々の栄養や疾患、健康に関する比較・調査の紹介に留まり、統一的な調査の実施、結果の収集をしていない。

 よって持田鋼一郎『世界が認めた和食の知恵 マクロビオティック物語』(新潮社、2005.2)にある

 「がんや血管・心臓病などの慢性病が増えた原因は食生活の誤りにある。食生活を改めなければ、先進国は慢性病の激増によって滅亡してしまう」と明言されていた。

 といった、報告の趣旨と全く合わない先進国全てに言及する文章が存在することはない。

【報告の扱い】

 マクロビや代替療法では、この報告を「食事が元で病気になる/食事で病気を防ぐ」という自説の根拠としている。しかし、そこまで強い主張はこの報告にはない。

 報告では、食物と特定疾患の間の相関の解明が十分なされていないことが説明され、今後の調査研究や考察を要する問題があることが記述されている*2。それでもある程度合意が形成された意見は、科学的根拠があるものとして周知されるべきというのがこの報告の立場なのだ。

 こうした曖昧さ、不完全さを示す部分は、マクロビや代替療法の世界では紹介されない。まるで報告が食事=病気の原因であることを決定づけたかのようにしか扱っていないのだ。我田引水というべきだろう。

 例えば今村光一『いまの食生活では早死にする アメリカ上院栄養問題特別委員会レポート 改訂新版』(経済界、1994)では委員会の審議結果を「食事・栄養と病気の関連が初めて明らかになった」とし、「現代の医学は薬や手術といったことにだけ偏りすぎた。栄養に盲目的な片目の医学であった。栄養に盲目的でない医学につくり変える必要がある」としている。

 こうした現代医学の否定と、この報告で初めて栄養と健康の関係が明らかになったかのような解説は、マクロビや代替療法での報告の紹介にも見られる。だが、そうした現代医学否定の文言はマクガバンレポートのどこにもない。当時の医学の調査研究(委員会の審議以前のものを中心とする)を反映したこの報告の内容は、「初めて明らかになった」とは言い難い。

【日本について】

 マクロビや代替療法では、報告が伝統的な日本食を理想とすると結論づけたと説明している。元禄時代以前の日本の食事を理想とした、と説明していることも多い。だが、そうした記述は報告には一切存在しない。報告で日本に触れたのは、1976年7月に行われた公聴会における疫学的観察を紹介した部分だけである。

 米国に渡って、動物性脂肪をほとんど含有せず、また乳製品をほとんどまったくといっていいくらいに含有していない伝統的な日本式の食事から、西欧式の食事に転換する日本人にあっては、乳癌及び結腸癌の罹病率が劇的に増えている。

 これ以外に日本の食事に言及した文章はない。

 厳密に言うと後でもう一度言及されているが、上に挙げた文章と同じ内容が繰り返されているだけで、これ以上日本食について触れているわけではない。そして、この文章から伝統的な日本の食事を理想とするようには読み取れない。何しろ他の疾患に関する調査研究の記述はなく、あくまで乳癌・結腸癌の罹病率についてしか書かれていないのだ。元禄以前の食事に至っては全く論外で、悪質な捏造と言っていいだろう。

【伝説の行方】

 以上のように、マクガバン・レポートについてマクロビ・代替療法の世界で紹介されている内容の多くは嘘か誤解に基づいている。この他にもマクガバンが政治生命をかけたとか、その後アメリカはマクガバン・レポートに基づいて食事が改善されたとか、事実とそぐわない伝説が無数に存在している。こうした伝説は、日本ではアメリカの情報が得にくいからこそ普及したのではないだろうか。

 アメリカでもマクガバン・レポートを代替療法の側が資料に使うことがあるが、日本の例ほど極端ではない。アメリカではもっと容易に報告の元資料に当たれるし、マクガバン議員や自国の栄養事情について嘘を書いてもばれやすいからだろう。だが、日本では今後もこうした「伝説」が様々なバリエーションを生みつつ普及していくと思われる。

 このエントリがそうしたマクガバン・レポートの伝説へのささやかな抵抗になれば幸いである。 ブログ〈火薬と鋼〉より

✔️【真相〈マクガバン・レポートは発表前と発表後では内容が違う〉】

 マクガバン・レポートはそれまでの常識をくつがえす内容ゆえか、草案(下書き)の段階で大騒動を巻き起こし、なんと発表前に見直しを迫られたという事実が存在するんです。

 「マクガバン・レポートは5000ページもない」「欧米食がガンを引き起こすなど書かれていない」「現代医学を否定することなど書かれていない」と反論していますが、マクガバン・レポートは発表前と発表後では内容が大きく異なるわけですから、発表後のマクガバン・レポートに書かれていないことがたくさんあっても不思議はないはずです。

【マクガバンの政治家生命】

 次にマクガバンの政治家生命について。

 自分の政治家生命が動物性食品業界の陰謀によって断たれたことを、実はマクガバン本人が認めているんです。

 これは米コーネル大学名誉教授のコリン・キャンベル博士が、マクガバン本人に会って話をし、確認をとっています。

【インチキ情報のレッテルを貼られたマクガバン・レポート】

 陰謀についてはこのようなエピソードも。

 1980年、公衆栄養情報委員会で出席者に配られたプレスリリースには、マクガバン・レポートが「インチキ情報」とされていたのです。

 それに疑問を感じたコリン・キャンベル博士が同じく出席者のアルフ・ハーパー(マサチューセッツ工科大学教授)に「これを見ましたか?」と訊いたところ、アルフ・ハーパーはこう言いました。

 「委員会の中には、このリストに対し別意見を持つ高潔な人たちがいます」

 これでわかるように、コリン・キャンベル博士やアルフ・ハーパー教授など、多くの有識者がマクガバン・レポートがインチキ情報とされていることに「おかしい」と感じたわけです。

【ダイエタリーガイドライン】

 その後アメリカはマクガバン・レポートに基づいて食事が改善されたとか、事実とそぐわない伝説が無数に存在している。

 ……インチキのレッテルを貼られて闇に葬られようとしていたマクガバン・レポートでしたが、1970年代末にアメリカ政府を動かし、ダイエタリー・ガイドラインを作成させています。

 この話は今村光一や船瀬俊介といった日本人研究家が言っているわけではありません。たびたび名前が出てきた米コーネル大学名誉教授、コリン・キャンベル博士が自著〈チャイナ・スタディー〉の中で言っていることです。

 よってマクガバン・レポートに基づいて食事改善がされたというのは伝説ではなく、歴史的事実である可能性のほうが高いと判断できるはずです。

【全米科学アカデミーの報告書】

 もう1つ。コリン・キャンベル博士も参加した全米科学アカデミーは1982年に〈食物・栄養とガン〉という報告書を発表しているのですが、その内容は「動物性食品が病気を引き起こし、植物性食品を摂れば病気を治せる」というものでした。

 そしてコリン・キャンベル博士によると、その報告書とマクガバン・レポートの内容は酷似しているそうです。

 この記事がマクガバン・レポート否定へのささやかな抵抗になれば幸いです(笑)

【マクガバン・レポートを全肯定しているわけではない】

 最後に、1つ断っておくことがあります。

 私はマクガバン・レポートの内容を、全肯定しているわけではありません。

 明らかにおかしいと感じる箇所もありますし、それどころかマクガバン・レポートは何者かの陰謀ではないかと疑っているほどです。

 詳細は、またほかの記事で……。


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 国民の3人に1人がかかると言われるがん。しかし、受けるのが常識とされている標準治療は、実は大変危険なものなのです。がん食事療法をぜひご検討ください。

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