「菜食者は病気にならず肉食者は病気になる」というデータの真相
【「栄養学のアインシュタイン」キャンベル博士】
✔️【真相〈真逆のエビデンス〉】
似たような疫学データはほかにもあり、ヴィーガン、ベジタリアン、肉を食べる一般人(調査対象2万5000人)を6年間にわたって調査したところ、肉を食べる一般人の心臓病の死亡率はヴィーガンの8倍だったそうです。
これはピーター・コックス〈ぼくが肉を食べない理由〉という本に載っているフィリップ研究というものなのですが、船瀬俊介もお気に入りのエビデンスらしく、コリン・キャンベルの〈チャイナ・スタディー〉とともに様々な自著の中でこのエビデンスを紹介しています。
ところが不思議なことに、まったく逆のエビデンスが多く存在するのです。
【肉食のほうが健康にいいエビデンスの数々】
たとえば日本、中国、韓国、バングラデシュの男性11万2310人、女性18万4411人を平均11年にわたって追跡し、がんや心血管疾患など、様々な死亡原因の調査がおこなわれたことがあります(フィリップ研究とは規模の桁が違います)。
結果は肉の総摂取量が増えても死亡リスクが高まらないどころか、男性の心血管疾患死亡リスクと女性のがん死亡リスクが低下したのです!(AJCN.2013)。
また、国連食糧農業機関(FAO)の2005年の出生時平均余命パーセンタイルでは、動物性タンパク質の消費量が増えることによって平均寿命がのびているのです。
また、アメリカの全国健康栄養調査Ⅲプロジェクトでは、1万7611人を調査し、ホワイトミート(鶏肉、魚)の消費量が男性の死亡率を下げ、レッドミートの消費は全体の死亡率を上昇させませんでした(EJCN.2013)。
もう1つ。オーストラリアの大規模なコホート研究。論文著者たちは言います(ちなみに「●●ベジタリアン」というのは、「動物性食品をたまに食べるベジタリアン」という意味)。
これでわかってもらえたと思いますが、船瀬俊介が金科玉条のごとく掲げる〈チャイナ・スタディー〉やフィリップ研究というのはあくまで「都合のいいエビデンス」にすぎなかった、というわけなのです。
【健康者&不健康者使用バイアス】
が──とはいっても、〈チャイナ・スタディー〉やフィリップ研究で、菜食者より肉食者のほうが病気にかかりやすく、死亡リスクが高いというデータが出ていることは事実。これはどういうことなのか?
実はこれ、健康者使用バイアスと不健康者使用バイアス(以下、健康者&不健康者使用バイアス)というもので簡単に説明できるものなのです。
ヴィーガンというのは「超」がつく健康オタクです。
酒・タバコをやらないでしょうし、よく運動をするでしょうし、一般的な飲食店には行かないでしょうし、ジャンクフードや加工食品も口にしないでしょう。
一方、肉をよく食べる人というのは(糖質制限を実践している人や、オーソモレキュラー療法の治療を受けている人のような例外を除いて)あまり健康意識の高い人ではないと思います。
酒・タバコをやるでしょうし、運動もあまりしないでしょうし、一般的な飲食店によく行くでしょうし、ジャンクフードや加工食品も年中腹いっぱい食べていると思われます。
ここまで書けばわかってもらえたと思います。
肉食者たちがかかる病気の犯人はそうした不健康行動であり、肉ではなかったのです。
あまり知られていないのですが、これを健康者&不健康者使用バイアスというのです。
こう考えるとニューヨーク・タイムズに「疫学調査のグランプリ」と絶賛されたチャイナ・プロジェクトとは、世紀の茶番だったと言えるかもしれません。
中国人に病気が少ないのは野菜のおかげではなく、ただジャンクフードや加工食品を食べていないだけであり、一方、アメリカ人に病気が多いのは肉のせいではなく、ただジャンクフードや加工食品を腹いっぱい食べていたから──これが真相だったのですから。
【コリン・キャンベルを裏で操る支配者の存在】
チャイナ・プロジェクトの指揮をとったキャンベルは「栄養学のアインシュタイン」と呼ばれ、あまたの有識者たちからの尊敬を集める偉人中の偉人です。
それほどの人でもこんな単純な事実に気づけなかったのですから、肩書や知名度で人間の能力を判断するのは恐ろしいことであることを痛感します。
が──我々はキャンベルを笑うことはできません。
〈ファクトフルネス〉のハンス・ロスリングと同じように、彼もまた「世界の真の支配者たち」から本人には気づかれないように利用されていた可能性があるからです……。
【まとめ】
●船瀬俊介がよく取り上げる〈チャイナ・スタディー〉やフィリップ研究は、単なる都合のいいエビデンスにすぎない。
●菜食者が健康で肉食者が不健康な理由は、健康者&不健康者使用バイアスで説明できる。
日本の国民病の1つである糖尿病。しかし標準治療は大変危険なものなのです。糖質制限による治療をぜひご検討ください。