ニットボールと円の編み図の最適解を考える

ニットボールと数学の話
https://note.com/mmetopit/n/n6f4e43b68263
では、ニットボールの編み図が
「円柱の両底面に円錐を貼り合わせた立体」
であることを前提として、この立体と外接球の隙間が最小になるよう、円錐の母線の長さと円柱の高さの比を計算してみました。

具体的には、半径1の球が立体に外接する場合、
円錐の母線の長さ ≒ 1.06
円柱の高さ ≒ 0.87
円錐の底角 ≒ 32.1度

もっとも、いくら厳密に計算したところで、編み目の数は整数でなくてはならないうえ、「円錐部分は各段6目ずつ増減する」という条件が加わると、円錐の形の選択肢は非常に限られます。


半径 r の球が、この立体に両円錐の頂点と底面の円周で外接するとき、

① 円を各段7目の増し目で編む場合

円錐の母線の長さ:底面の半径:円錐の高さ = 7 : 6 : √13
r^2 = 6^2 + (r-√13)^2
r ≒ 6.80
円錐の母線の長さ:円柱の高さ
= 7 : 2(r-√13)
≒ 7 : 6.38

arccos(6/7) ≒ 31.0

円錐の母線は円柱の高さよりもやや長いですが、外接球との隙間が最小になる立体よりは 1 : 1 に近くなります。


② 円を各段8目の増し目で編む場合

円錐の母線の長さ:底面の半径:円錐の高さ = 8 : 6 : 2√7
r^2 = 6^2 + (r-2√7)^2
r ≒ 6.05
円錐の母線の長さ:円柱の高さ
= 8 : 2(r-2√7)
≒ 8 : 1.52

arccos(6/8) ≒ 41.4

円錐の母線は円柱の高さの5倍超、形のバランスもさることながら、編目の大半が増減のある円錐部分なので、あまり見栄えが良くありません。


③  ②の円錐部分を各段7目ずつ増減する編み方に変更すると、

円錐の母線の長さ:底面の半径:円錐の高さ = 8 : 7 : √15
r^2 = 7^2 + (r-√15)^2
r ≒ 8.26
円錐の母線の長さ:円柱の高さ
= 8 : 2(r-√15)
≒ 8 : 8.78

arccos(7/8) ≒ 28.96

円錐の母線は円柱の高さよりもやや短くなりますが、増減なしの円柱の割合が増えるので、私はこれでも良いと思います。


④ 円を各段6目の増し目で編む場合

これは計算するまでもなく円錐部分の高さがゼロ、すなわちこの立体は円柱になり、円錐の頂点で球に内接させることはできません。


ちなみに編み目の 縦:横 の比は、
① 円を各段7目の増し目で編む場合 → 1 : 0.96
②③ 円を各段8目の増し目で編む場合 → 1 : 0.83
④ 円を各段6目の増し目で編む場合 → 1 : 1.15

細編みの編み目は正方形に近いほうが何かと都合が良いですし、ニットボールに限れば円を各段7目の増し目で編むのがベストなように思いますが、モチーフなどを編む際には7の倍数だとパターンに色々と制約が出てくるので、結局は目的によって編み方を変えるしかなさそうです。


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