MAIO by MOOMODS
2023年、MOOMODSがリリースしたBoroタンク互換フルメカニカルMod。
2021年頃から何度目かのBoro互換デバイス流行の波が目立ち始めましたね。
以前の流行期と異なるのは、世界的に様々なメーカーが参入してRBAはもちろんModの種類も多種多様になりました。
2022年の初春頃にMOOMODSとしてではなく、個人的な玩具として3DCADソフトでデザインし、自宅の3DプリンターでModを作って遊んだりしていました。
その当時、一番の悩みはコネクターなどの金属パーツをどうするかというところ。結局、個人玩具の枠から出ることはなく机上の置物となっている。
その後、HoVで改めてBoroデバイスの勢いを直に感じたし、実際自分でも使ってみて数年前よりも使いやすくなっていて、カスタムの幅も広がりそれぞれも入手しやすい状況だということを実感しました。
その中で自分が気に入って使っていたModのコネクターがとても優秀だったので、コラボした経緯もありModderにコネクターについて尋ねたら親切に製造者と繋いでいただきました。
これがスタート地点になるのかな。これが10月ごろ。
設計、試作のためにコネクターを数個仕入れて3DCAD設計と試作の戦いが始まります。
本格的なModサイズの物を設計するのは初めてで、まずはデザインコンセプトを考えるところから。
これは自分の好みストレートに小さいけど小さすぎず、シンプルで格好いいもの。
Boroタンクの配置をどの向きにするか、基板を搭載するか否か、ファイアボタンをどこに設置するか。
Wood Modの時は実際に木を削りながら、デザインをしていくのですが、これはCADソフト上でいくつものデザインを試していける。
色々試せるのだけど、結果的にはほぼ最初のデザインを突き詰めてMAIOに至っている。
デザイン以外のプロダクトコンセプトがこのMAIOにとって、とても重要な意味があります。
まず大きく掲げる事として、(自分で言う事じゃないけど)とても入手難易度の高いMOOMODSのプロダクトをみんなに届けることが出来るModにすること。
そのために重要なことは、販売価格と量産を可能にすること。
どちらもを叶える為に基板の搭載は非現実的。
普段Boroデバイスを使用していて、自分は基板の設定を弄ることはほぼない。
小さいRBAに対して適したビルドをすれば、細かい調整の必要性は感じない。
基板がなくて困るとしたら、バッテリー残量を確認できないということくらいだけど、これは慣れればなんということはない。
むしろシンプルなフルメカModにすれば、リキッドが漏れたりした際もすぐに全部バラして洗浄などの手入れがしやすくなる。
ということでフルメカBoro Modとしてデザインを詰めていきます。
数多あるメーカーさん達は上手にカスタムビジネスができる仕様にしている。
それはユーザーにとって入手後の楽しみでもある。
ただ自分は面倒くさがりな性格なので、そこまで風呂敷を広げるとやる気が失せてしまいそうなのでパーツ数を少なくシンプルにシンプルに。
フルメカの機構的に自分でも気になるのはファイアボタンにロック機能があるのか、それともミスファイアしにくい設計なのか。
パーツを減らしたいMAIOは後者を選んでいる。
ファイアボタンをボディよりも0.3mm内側に配置した。
試作を日常的に自分で持ち歩いて、この点で不安に思った事は一度もない。
そしてボタンの形状。
おそらく数ミリの動きの中でも、極力引っかかりを無くすために丸い(円柱)ボタンを採用するのが定石だと思う。
しかしMAIOのエッジの効いたデザインに丸ボタンは似合わない。
なので、四角だけど引っかかりがない様に見えない箇所がかなりこだわった設計になっている。
ただ押し込むだけの四角いボタンだけど、よく見るとシルバープレートを押し倒すために斜めに傾く動きになる。
その分裏側を削った設計になっていたりもする。
詳細は控えるけど、直角に見えるところにRがあったり、並行に見える面が傾斜になっていたりしています。
ボタン裏の穴は組み立てしやすい様の穴。
MAIOの特徴的なデザインは角ばった四角。あと真上から見た時にバッテリー部分だけ膨らみ、Boroタンク収納部分は限界まで薄くしている。
逆にその他はデザインを意識した装飾は一切ない。
こういったデザインをしないデザインはIWASHIからKARASU、NISHIKI、そしてMAIOへと一貫している。
あと書いておくべきは素材に関して。
樹脂Modは大きく分けて、3DプリンターとCNC削り出しがある。
(キャスト成形という手段もあるが最低ロット数が1,000…)
CNC削り出しが仕上がりの美しさとしては理想ではある。
しかしMAIOのCADデータをエンジニアに見せたところ、CNC加工はほぼ不可能!とのこと。
CNC削り出しを出来なくはないかもしれないが、時間とコストがかかりすぎる。
MAIOのコンセプトとは合致しない。
なので3Dプリンターでの量産を考える。
所謂あのザラザラは避けたくて、自宅の光造形プリンターで試作を重ねていく。
表面の仕上がりが滑らかでとても良い質感に仕上がっていた。
この辺りから二人のテスターさんに試作を渡して使ってもらっていた。
しかし、数日後にテスターさんからボディが割れた…と連絡が。
まぁそんなこともあるかと細部をアップデートした試作を渡して、ランチをしている最中にテーブルでコトンと試作MAIOが倒れた。
そして目の前でMAIOが割れた…。
この時点で試作は17号機あたりだった。
正直心が折れた。
問題は光造形プリンターの素材、レジン。
レジンは仕上がりは美しいが割れやすい。
MAIOを世に出す事は出来ないかと肩を落とすこと数日。
ふと所謂あのザラザラでも工場によっては、納得できるものを作ってくれるところがあるかもしれない、と検索検索検索検索。
いくつかの工場にPA12ナイロンでの製造を発注して、待つこと1週間から工場によっては2週間。
悪くはないけどいまいち。
PA12ナイロンの素材自体はModとして使うにはとても頑丈で柔軟性もあり優秀。
さらに工場を探していくと、同じPA12でもSLS方式ではなくMJF方式というのが目に止まった。
これはPA12の素材がもう一段階良くなる印象。
待つこと1週間、ようやく納得できる工場を見つけた。
発注するロットによって多少の違いはあるけど、表面の質感も悪くなく、なによりも何気にこだわっていたMOOMODSのフォントを凹での表現も細かく綺麗に仕上がっていた。
あのトラウマの割れ耐性。
弱そうなところに力を入れて割りにいっても割れる気がしない…!
(いや、普通に薄い箇所は割れるから真似しないでください。)
という事でボディとボタンを製造依頼する工場が決定。
コネクターも例のメーカーさんから。
そしてシルバー99プレートは以前からお世話になっていたイタリアの職人から。
あとは箱!
これはこだわりたかった。
なんといっても届いたときの顔ですから。
ただ中身が高価なものではないので、控えめに。
控えめだけどMOOMODSらしく。そんな箱をご用意しました。
オリジナルで作った組み立て用の六角レンチも付属しています。
パッと見、どシンプルなよくある3DプリントMod。
だけどMOOMODSとしてのこだわりの塊。
そしてそのこだわりの塊をお手頃な価格で量産してMOOMODSを楽しんでもらおう、というのがMAIOの使命です。
いまのところFBグループ内のみでの展開ですが、その意志は意図した様に広がり楽しんでいただいていてホッとしています。
これからの展開は近日中に明らかになっていく予定ですので、楽しみにお待ちください。