ポイ活市場の多様化【ポイント経済圏の覇者はどこ?最新データが示す未来の戦略 Vol.2】
今回は、2024年8月20日(火)に開催した「ポイント経済圏の覇者はどこ?最新データが示す未来の戦略」セミナーでご紹介したデータをもとに、ポイ活市場の多様化についてお話します。こちらは、MMD研究所が定期的に開催しているポイント経済圏セミナーの最新版です。
調査結果をMMD研究所にて公開しておりますので、あわせてこちらもご覧ください。
▼連載コラム
Vol.1 6大ポイント経済圏の最新動向
Vol.2 ポイ活市場の多様化
ポイントは運用する時代に
PayPayの発表によると、PayPay資産運用利用者は2024年3月から6月までの3ヶ月間で、1,500万人から1,700万人と200万人増加しています。ポイント運用利用者の増加のみならず、フィンテックの入り口として、いかに利用者を証券や銀行の口座開設につなげるかが重要視されています。資産運用で、いきなり現金を使うのは抵抗感がありますが、ユーザー全員がポイントを保有しているので、ポイントから投資をしています。
次に紹介するのはメインポイントでのポイント投資やポイント運用の状況についてです。ポイント運用・投資を最も利用しているのは楽天経済圏を意識している人の中で、約半数の人がポイント運用・投資を利用していることが分かりました。
さらに、au経済圏のPontaポイントを利用している人は、ポイント運用もしくはポイント投資を利用している割合が3.2ポイント減少していますが、docomo経済圏、PayPay経済圏、楽天経済圏、イオン経済圏ではいずれも増加しています。特に、PayPay経済圏と楽天経済圏の利用者に関しては6.0ポイント、7.6ポイント増加しています。
キャッシュレスの実態
普段利用する支払い方法の割合について見てみましょう。直近の1ヶ月間で利用した支払い方法では、現金が76.3%、クレジットカード(磁気)が54.2%、クレジットカードのタッチ決済が28.1 %になっています。QRコード決済は47.6%の人が利用していると回答しています。
前回の調査と比較すると、現金とクレジットカード(磁気)、電子マネー(スマートフォン)が前回と比べて減少しています。一方で、クレジットカード(タッチ決済)、デビットカード、電子マネー(カードタイプ)、QRコード決済は前回から増加しています。
こちらは利用しているクレジットカードについての結果を示しています。楽天カードが40.8 %と最も多い結果になり、次いでイオンカードとPayPayカードが続きます。
前回の調査との結果を見比べてみると、最もシェアを伸ばしたのはOliveフレキシブルペイです。しかし、クレジットカードのシェアについては全体的に大きな変化はありませんでした。
利用しているQR・バーコード決済について見てみましょう。上位4つのサービス、PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAYにおける前回の調査結果との比較では、PayPayと楽天ペイのみそれぞれ1.6ポイント、0.9ポイント増加しています。
メイン利用のコード決済では上位4社(PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY)のサービスだけで92.6%を占めている結果になりました。データを見ると、上位4社の寡占市場であることが分かります。
6大経済圏ユーザーの意識
こちらは最も意識している経済圏について聴取した結果を示したものです。楽天経済圏が43.3%で最も高く、順にPayPay経済圏が18.5%、docomo経済圏が15.8%となっています。楽天、PayPay、docomoの3つの経済圏のみで全体の約4分の3を占める状態になりました。この項目では最も意識している経済圏についてひとつだけ聴取していますが、複数の経済圏に跨っているユーザーも存在すると考えられます。
次に、経済圏で利用しているサービスについて見てみると、それぞれの経済圏で強みが見えてきます。au経済圏ではモバイル通信、PayPay経済圏ではQRコード決済に強いことが読み取れます。楽天経済圏はクレジットカードからECサイト、銀行口座、証券口座まで幅広く強みをもっています。イオン経済圏では電子マネーに圧倒的な強みがあります。Vポイント経済圏は証券口座に強みがあります。
ユーザーを経済圏内へ取り込みを図りたい経済圏側とポイントが貯まるサービスを利用したいというユーザーの間で双方が満足できる関係が築かれつつあります。
おわりに
今回は6大ポイント経済圏の最新動向とポイ活市場の多様化について、最新データを基にご紹介しました。各経済圏がそれぞれの強みを活かし、ポイントを生活や経済活動に深く結びつける戦略を展開しています。ポイントは「貯める」だけでなく、「運用する」「投資する」という新たな活用方法が広がりつつあります。
今後も、ポイント経済圏同士の競争はさらに激化し、各経済圏がユーザーの利便性を向上させる新しいサービスや提携を進めていくことでしょう。消費者としては、どの経済圏を選択し、どのように活用していくかがますます重要になってきます。ポイ活市場の進化は止まることなく、これからのポイント戦略が私たちの生活にどのような影響を与えるか、引き続き注目していきたいと思います。
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