見出し画像

今後の新規獲得とリテンションの鍵【2023年通信シェア・満足度セミナー Vol.4】

▼連載コラム
Vol.1 通信キャリアの市場動向と各社の挑戦
Vol.2 新しい顧客層を引きつける通信キャリアの戦略
Vol.3 ARPU増加への戦略と市場影響
Vol.4 今後の新規獲得とリテンションの鍵


他社の不満ユーザーの受け皿になれるかがポイント

NPS®と満足度を見ていきましょう。スコアの部分だけ見ていただければと思います。
 
満足度は自分が使っているサービスになるので既存ユーザーとなり、当然ですが新規獲得にはこの満足度はあまり相関しません。どちらかというと不満足度が関わってきます。
 
既存ユーザーの満足度やNPS®を指数にした場合、新規ユーザーの獲得順にリテンション状況が影響していくと思います。

今回の結果を見ると、NPS®、満足度ともにLINEMOが1位になりました。
 
NPS®で批判者を多い順に見るとSoftBank、au、楽天モバイルと続きます。推奨者以上に批判者をしっかり見て、流出を止めていく必要があります。
 
新規ユーザーに影響しないとはいえ、不満ユーザーの受け皿として自社ブランドを選んでもらえるようにユーザーと向き合っていかなければなりません。ここをしっかりチェックしていくことがポイントになってきます。

※NPSはBain&Company、Fred Reichheld、SatmetrixSystemsの登録商標です。

他社乗り換えはポイ活も重要

他社乗り換え、プラン変更、解約意向についても見ていきます。

赤枠は何かのきっかけがあれば検討の可能性があるユーザーです。ただ、何もなければ不満はありつつも動かないユーザーでもあると思っています。
 
増減はありますが、乗り換える方は10%前後ほどで、不満はありつつも劇的なきっかけがないと乗り換えない方が20%ほど、ほぼ動かないという方は60%ほどです。実際に動くユーザーは大体15%ぐらいで、そのなかで既存ユーザーのボリュームの多いドコモ、au、ソフトバンクから流出することになります。他のサービスも一定数ユーザーがいますので、このユーザーもそのうち15%は動くかもしれません。
 
初めて契約するユーザーを獲得できているかどうかで、この15%のユーザーの受け皿になれるかどうかが変わってきます。
また、通信サービスだけではなく、ポイント面でもお得にスイッチングできるかどうかもユーザーが重視するポイントになってきます。

ユーザーの心をつかむために

まとめにはなりますが、通信業界ではユーザーの心を掴むことが生存競争の鍵となっています。

NPS®と満足度は競争の最前線に立つ重要な指標です。これらの指標から、通信キャリアは他社の不満を持つユーザーをどのように引きつけ、既存ユーザーへの維持に対してヒントを得ることができます。

満足度だけではなく「不満足度」が鍵となります。不満を抱えるユーザーへの解決策を提供することで、既存ユーザーだけでなく他社からの乗り換え者を自社ユーザーに変えるチャンスが広がります。

また、通信サービスの選択においては「ポイ活」も重視するポイントのひとつとなっています。
通信サービスだけでなく、ポイントプログラムなどの付加価値を提供することが、他社乗り換えへの決め手になり得るのです。

新規ユーザーは通信の品質だけを求めているのではなく、そのサービスがどれだけ自分のライフスタイルにフィットするか、どれだけお得感を感じられるかを重視しています。

初めて契約するユーザーをどの通信キャリアが獲得できるか、不満を抱えるユーザーをどの通信キャリアがうまく受け止めるかが今後の通信業界の勢力図を左右するでしょう。

今後MMDは金融全般・顧客理解に注力

この2年、MMD研究所はポイント経済圏に対してかなり力をいれてきました。
来年度からは、通信業界が金融に注力していることもあり、弊社でもキャッシュレスやデジタル銀行などの金融全般に注目していこうと思います。
 
また、今力を入れているものとして「顧客理解・分析」があります。自社の思い描いている世界と、自社の顧客たちが感じている価値と乖離がないか、ロイヤルカスタマーを拡大するための分析です。お客さまやユーザーに対して課題があるなと思った方は、ぜひ下記サイトより資料をご請求ください。

調査結果をMMD研究所に公開しておりますので、あわせてこちらもご覧ください。

2023年9月MNOのシェア・満足度調査
2023年9月MVNOのシェア・満足度調査
2023年9月通信サービスの料金と容量に関する実態調査
2023年9月スマートフォンOSシェア調査


MMDLabo株式会社
通信・端末・決済などモバイルやIT分野のマーケティングレポートでは国内最大規模の調査機関です。
モバイルインターネットで生まれる新しい体験を調査・分析し、価値ある情報を発信することでモバイルインターネット業界の発展に貢献します。

MMD研究所
2006年9月より運営しており、700件以上の調査データを通じてモバイルユーザーの消費行動や実態を発信しています。