ザ・ノンフィクションを観て、これからのシェアハウス
楽しみにしていたザ・ノンフィクションを観た。数年前にもギークハウスが取り上げられ、その時は放送後非難轟々でTwitterのトレンドでも上位だった。しかし、今回は台風の影響もあってかそれほど罵倒の嵐はなかった。それはこの数年間で世間の会社への帰属意識、引いてはライフスタイルへの価値観が変わったからではないだろうか。今回の見どころはギークハウスの管理人のPhaがハウスを解散して一人暮らしを始めたことだ。理由として飽きたような事を述べていたが、それは世間の風当たりが弱くなり開拓者として役割を果たし終えたことに起因することではないだろうか。
番組の後半では、別のシェアハウスの「フロントライン」が紹介されていた。Phaの遺伝子との説明があったが自分には全く別物のように感じられた。そこのオーナーは若くしてしっかりしているのだろうが、管理人というより統治者という印象だ。
数年前の番組で住人達とphaの交流が番組の大部分に割かれていたが、なんともフラットな関係性だった。似非原がphaに関して「金貸して」というシーンなど、日常的で演技ではできない自然体で、それが良かった。
対してフロントラインは住人達が一回りも年下のオーナーに気を使っているように見え息苦しが伝わってきた。住人達は前回のザ・ノンフィクションやphaの著作を見てシェアハウスに参加したようだが、ここに彼らが求めていた開放感はあったのだろうか。むしろ支配的ですらある。割安とはいえ賃料を払っているのだから、施しを受けているかのような態度は人間の精神を蝕むものだと思う。
あともう一つ気になったのは、フロントラインの責任者の入居希望者の面談時の対応ぶりだ。全ての人間に会うと誇らしげだったが、精神の疾患を抱えているという面談者に対して尊大な態度で接し、挙げ句の果てに空きがあったら連絡するという。率直に言ってこのような言い方は会社の面接でもそうだが、不誠実に尽きる。会ってみなければわからないこともあるから、見込みが薄いと感じいても希望者に足を運ばせるなとは言わないまでも、せめて中途半端に相手の期待を弄ぶのではなく回答の期限を伝える等しておくべきであろう。
それにしてもphaはあのように抑圧的な態度を見せずに、よく10年以上社会的な問題も起こさずにギークハウスを運営できたものだと思う。住人自体が社会的な迎合を拒絶しているだけで優秀な人が多かったからかもしれない。
フロントラインがギークハウスとは別物のようにこれからはシェアハウスのあり方も変わってくるのではないか。
現在、家を借りるのはハードルが高い。保証人や勤め先そして多額の敷金礼金の一時金。だからこそニートやフリータのような不安定な立場であるとシェアハウスに頼らざるを得ない。それが現在のシェアハウスの興隆を支えているのだろう。
しかし、今後は家が余り中国のように信用スコアが導入されると、買い手市場になりスコアの高ければ住むところに困らなくなるかもしれない。
そして意外にも引きこもりに属する人間こそが、あたかもペーパードライバーの減点がないゴールド免許のようにその恩恵に俗するかもしれないのではないのか。