お金は天国に持っていかなくていい
「お金は大事」
よく聞く言葉ですし,みんなそう思っていることでしょう.食べるにも,住むにも,生きていくにはお金が必要です.お金はたくさん持っていても無駄ではないし,無いよりはある方がいい.私は小さい頃から貯金をしていたし,お金がある方が幸せだと思っていました.
しかし,最近「お金は天国に持っていけない」,「お金なんて無い方がいい」とよく聞きます.
私は病院で働いており,先ほどの言葉は入院している患者様達がよく口にしています.私よりも人生経験が豊富で,しかし,病気と闘っており,自分の人生の最後をより意識しているはずの方たちから,なぜこのような言葉が出てくるのでしょう?
これは世代による違いなのでしょうか?
私たち20代は物が溢れている世の中に生まれ,しかし不況の中を生きてきました.だから,なんとか今の生活水準を維持していくためにはお金が必要だし,そのためには働かないといけない.でも,今ある物がなく,やりたいことができないなんて想像できない.
今の80代の方達は終戦後間もなくの物が何もない時代から,日本を立て直してきました.だから,働けば豊かになっていくということを経験している,そのため,お金がない,物がない中で生活していくことが普通だと思っているのかもしれません.
その違いは大きいのかもしれません.三つ子の魂百までとも言うように小さい頃の環境によっても,お金も含めて,様々な価値観は形成されていくでしょう.
でも,高齢の方がみんなそのように言うわけではないし,私たち世代は自分の人生の最後をイメージできていないから,ただただそんなこと考えてもいないのかもしれません.
患者さんの中にお金は天国に持っていけないという人たちがいる一方で,お金がないために,健康的な生活を送れない人達もいます.生活習慣病の人は食生活が乱れている人が多く,その原因は貧困にもあると言われています.健康に良い野菜は高騰していたり,魚は肉より1食当たりの価格が高いです.そして,安い外食は脂質や塩分が多い物ばかりです.
なんとなく私の感覚ですが,お金は天国に持っていけないと言う人たちは笑っており,余裕があるように見えます.今の生活だけでなく,これからの事,残されていく家族のことも考えて話をしている気がします.そうでない人は今の生活のことでいっぱいいっぱいで,その日,その時の考えで行動しているように見えます.
だから,私は,お金は心の余裕を奪っていくものだと思います.あれば心が満たされるものではなくて,無いと心が視野が狭くなっていくものだと思います.
生活に必要なお金があった上で,家族,仕事,趣味などが充実していることで心が満たされていくのではないでしょうか.
やっぱり「お金は大事」
でも,「お金は天国に持っていかなくていい」
笑いながら「お金は天国に持っていけない」と言えるような,心が満たされている人になりたい.
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