「中国共産党中央委員会工作条例」ってなんなん?
「中国共産党中央委員会」が何なのかわからない方 ⇒ こちらをご覧ください。
「工作」は、お仕事とか業務、活動といった意味です。「スパイ活動」とか「秘密工作」などとは関係ありません。
「条例」も日本語の意味とはちょっと違うので注意が必要です。
「中国共産党内法規制定条例」の第五条にこう定められています:
党内法規の名称は、「党章(党規約)」「準則」「条例」「規定」「弁法(ガイドライン)」「規則」「細則」とする。
「党章」は、党の性質と目的、路線と綱領、指導思想と奮闘目標、組織原則と組織機構、党員の義務と権利、それに党の規律などについて、根本的な決まりを定める。
「準則」は、党全体の政治生活、組織生活、それに全党員の行動などについて、基本的な決まりを定める。
「条例」は、党の特定の一領域の重要な関係あるいは特定の一分野の重要な活動について、包括的な決まりを定める。
「規定」「弁法」「規則」「細則」は、党の特定の一分野の重要な活動の要件や手続きについて、具体的な決まりを定める。
中央規律検査委員会や党中央の活動機関、あるいは省・自治区・直轄市の党委員会が制定する党内法規には、「規定」「弁法」「規則」「細則」という名称を使用してもよい。
「条例」は、中国共産党の党内法規の類別の一つで、重要度では「党章」や「準則」より下、「規定」「弁法」「規則」「細則」より上のルールのようです。
「党章」は、「中国共産党章程(中国共産党規約)」のことで、中国共産党にとっての憲法に当たります。党員には、実際のところ、中華人民共和国憲法よりも重要な決まりであると考えられます。その改正などは、党大会で行われます。
「準則」は、今のところ二つあります。「中国共産党廉潔自律準則」と「新状況下における党内政治生活に関する若干の準則」です。「準則」の草案は、ふつうの場合、中全会で審議・可決されます。(「中国共産党内法規制定条例」第二十八条)
重要度で劣る「条例」と「規定」「弁法」「規則」「細則」は、数も多いです。さまざまな領域や分野についてのものがあります。「条例」の草案は、ふつうの場合、中央政治局会議で審議・可決されます。「規定」「弁法」「規則」「細則」の草案は、ふつうの場合、中央政治局常務委員会会議で審議・可決されます。(「中国共産党内法規制定条例」第二十八条)
それから、「中央党内法規制定工作第二次五カ年計画(2018-2022年)」には、こう書かれています:
党の組織に関する法規を整える必要がある。民主集中制という根本的な組織原則を堅持し、党の各級・各種組織の形成と職責を全面的に規範化し、党管理・党統治、執政・国家統治のための組織制度の基盤を固める。これにより、党の全面的指導を堅持し強化して新時代における党の歴史的使命を果たせるよう組織の面からしっかりと保証する。重点的に中国共産党中央委員会工作条例や・・・などの党内法規を制定する。
「中国共産党中央委員会工作条例」は、最近ちょっと話題になっています。
9月28日の中央政治局会議で審議されました。すでに可決されたのかどうかは不明ですが、当日の中央政治局会議の公式発表では、「本条例は、党中央の指導的地位、指導体制、指導的職権、指導方式、意志決定・配置手配、自己改善などについて包括的な決まりを定めている。これにより、中央委員会の活動の強化に当たっての原則がもたらされた」となっているので、すでに可決されたと見ることも可能だと思います。10月26日からの第19期5中全会の議題に入っているかどうかも、今のところ不明です。
まあ、とにかく、党内の決まりや制度をきちんと整備しようと、何年も前から長期的な計画を立てて取り組んでいるようなんですが、規律とか処分とか、腐敗とか汚職とか、問責とか監督とか、そんなのばっかりです。荒れてる学校を、校則をめっちゃ厳しくしてどうにかしようとしている感じというか。中国共産党の内部ってそこまで荒れてるってことなんでしょうか。
※ この記事を書いた数日後(10月12日)に新華社から「条例」の内容が発表されました。9月28日の会議で可決されていたとのことです。発効は9月30日から。
⇒ 日本語訳:「中国共産党中央委員会工作条例」(抜粋)