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植田正治  ~撮影ノオト~

写真する歓び

「植田調」と讃えられる独特の作風で、フランスをはじめとして国際的に評価の高い写真家、植田正治。2005年に東京都写真美術館で開かれた回顧展の記憶が今も鮮明に残っている。1930年代から亡くなる前年の1999年まで、約70年にわたる作品が展示されていた。洒脱でさりげないが、存在感のある作品群。何よりも、見ているとどの写真からも「写真する歓び」が波のように押し寄せてくる。

植田本人には何度か会う機会があった。私が主宰する写真のワークショップにゲスト講師として登場してもらったのが最初で、1995年のことだった。若い人たちを相手に写真のことを話すのが楽しくてたまらない、といった様子。当時82歳だったが、熱が入るとその口調が少年のように瑞々しくなった。

植田正治美術館へ

レクチャーの中で、鳥取にもうすぐ植田正治美術館が開設されるという話を聞いて、その翌年、早速オープンしたばかりの美術館を訪れた。ワークショップの参加メンバーに友人の写真家のハービー山口さんが加わった、1泊2日の旅。

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