GRATITUDEがくれたもの

7月12日（日）星野源さんが、10周年記念生配信ライブを行った。
10年前のちょうど同じ日に、同じ場所、渋谷クラブクアトロで。



10年前は源さんの存在を知らなかったように思う。
おそらく彼を知ったのは紅白初出場の年、名曲「SUN」だ。
これは忘れもしないが、紅白で曲中に「こんばんは〜！星野源で〜す！」と自己紹介するアーティストを人生で初めて見たのでかなり強烈に覚えている。

彼らはまさに「体が勝手に動き出す」音楽を奏でる。ダンスが得意とか下手とかじゃない。ダンス未経験の私でもなぜか体を動かしたくなるような。

「SUN」「恋」はよく知っていたが、大学の友人の影響で「Crazy Crazy」「時よ」も聴くようになった。キャッチーなメロディとは裏腹に熱い歌詞。干潟に足を突っ込んだ時のような、なんとも抜け出しづらいのが源さんの沼である。

この自粛期間、源さんに救われたと思う人は少なくないはずだ。私は、「うちで踊ろう」のムーブメントだけでなく、この自粛期間に源さんのエッセイを読んだり、ANNのラジオも聴くようになった。私も救われた人間のひとりだ。

きっかけは「うちで踊ろう」
みんなが音を、絵を、踊りを、声を重ねている様子をSNS越しに見ていた。もちろん直接会ったことなんてさらさらないのだが、でも何か「繋がっているよね」という感覚があって、よし今日も頑張ろうと思えた。このムーブメントに参加した全ての人に感謝したい。もちろん毎日いいねを押していたみなさんも。（私も毎日いろんな人の「うちで踊ろう」にいいねしておりました。源さんにシェアしてもらった時の皆さんの嬉しそうなストーリーズを見てるとすごくほっこりした。）

エッセイを読むと、昔の源さんの話、あの曲の制作秘話、日常の出来事、いろんなことが詰め込んであるお歳暮みたいだった。全てを読んで私が感じたのは、「とにもかくにも努力を惜しまない人である」ということ。向いていない、と言われてもとにかく執筆していたエッセイは今も続いている。歌だって、演技だってそうなんだ。「努力したのにダメだった」と言う自分の甘さを痛感した。だけれど、源さんでもお腹は下すし公共料金は払い忘れる。そう言う人間クサいところがまた彼の魅力なんだと思う。

そして今回の10周年ライブ、私にとって2015年以来のナマ（配信）星野源。給付金で買ったプロジェクターを準備して大画面でお酒を飲みながら参加した。自粛期間でどっぷり彼にハマったので知らない曲はなかった。演出のこだわりもすごくよかった。ライブではぜったいに見ることのできない近さ、バンドメンバーの奏でる手さばき。速すぎてついて行けなかったけれど、これがプロか、と感銘を受けた。基礎があるからこそできるプロのアレンジ、そしてこのメンバーだからできるアレンジ、間合い、全てがあいまった音色に酔いしれる。

ふと我にかえるとぽろぽろと泣いていた曲がある。「Hello Song」だ。
こんな歌詞が3回出てくる。

いつかあの日を　いつかあの日を　
超える未来　Hello Hello
笑顔で会いましょう

源さんは3回目を

いつかこの日を　いつかこの日を　
超える未来　Hello Hello
笑顔で会いましょう

と歌った。当時まだ就活中だった私には十二分に響いた。

20社近く企業を受けた中で、忘れられない出来事があった。ある人事の方に私の将来の夢を話した時のこと。

「それは無理だよ。君にはできないよ」

と言われた。その時は気丈に「無理ですかね〜？えへへ」なんて言ったけれど、心の中では「私の夢をあなたにそう言われる筋合いはありませんよ」とモヤモヤしていた。

その時に思ったことがまさに「絶対この日を越えよう」だった。もしかしたらその人は、心配して言ってくれたのかもしれない。私よりも人生の先輩だから、経験を踏まえて先に教えてくれたのかもしれない。でも、その一方で彼のおかげで私の心に挑戦の火が灯ったことも事実だ。

先週の日曜は初めて内々定を頂いてから迎える初めての日曜日だった。だから余計に、

「ここからがスタートなんだ。
絶対あの日を超えるんだ」

と言うメッセージが刺さった。

曲中で「画面越しでも別にいいじゃん！！！」と話していた源さん。本当にその通りで、時間を共有しているということがこんなにも安心感を与えてくれて、熱い想いっていうのは画面越しでも文面越しでも結構伝わるということだ。

私が残り8ヶ月の学生生活をもっとワクワクしながら過ごすためのガソリンのような、あっっっっつい2時間だった。

さあ、頑張ろう。
10年後、地元に戻って私の夢が叶った時、
あの日の人事さんに会って
「私やったりましたよ！」
と笑顔で言えるように。

私の挑戦はまだ始まったばかりである。

大変な状況の中、源さん達のライブをつくって下さった皆様に感謝しております。この1週間、楽しく3回観ました。みなさん元気をくれてありがとう。泣き笑いそして感動もありの2時間で感情がバタバタでした。そしてそして、カースケさん、おじいちゃんおめでとう！！！

※写真は全て、源さんのTwitterから引用しております。