皇治選手は何かに「勝った」のか?
マークハントかあんたは。「ナニワのKOエンペラー」というか「ナニワの不倒王」ともいうべき立ちっぷりをみせてくれた皇治さん。
一度もダウンをとられず3Rを戦いきったことに驚きと称賛の声があがっています。まあ、確かにすごかった。
早速武尊キッズからは「天心は一度もダウンを取れなかったけどタケポンは2回ダウンとったぞ」天心キッズからは「武尊のときはまともに戦えてたけど全く試合になってなかった」というマウント合戦が始まっています。
個人的には平本選手に共感。皇治選手は「見えてはないけど当たる覚悟をしている」状態で3Rたたかい続けたのでKOされなかったんだと思います。
攻めに行けば「意識の外」からの攻撃を食らうので、基本はカウンターでうち終わり狙い。ただ、那須川先生は「後の先」がとれる相手はなかったので結果的に「倒されないための戦い」をしているだけになってしまいました。
皇治選手は何かに「勝った」のか?
そんなかなキック界のインテリ眼鏡エロおやじこと佐藤嘉洋さんのTwitterで興味深い会話が。
「試合に負けて勝負に勝った」というファンに佐藤選手は真向から否定しました。
一方、ジャン斉藤さんはこうつぶやいています
なるほど。確かに試合にも、勝負にも、喧嘩にも勝ったとは到底言えない結果ではありますが彼は「博打」に勝ったのかもしれません。
皇治選手の「賭け」と得たもの
彼は、莫大な違約金を払ってK-1からRIZINに移籍する、という博打を打ちました。そして以下のものを得ました。
●初戦での那須川天心戦
ぶっちゃけ、ほかのRISE軍団(白鳥選手や原口選手)と初戦を戦う可能性だってありました。そこで負ける可能性も。負けたら天心とはやれません。でも、皇治は読んでいたんじゃないでしょうか。「RIZIN運営も初戦でぶつけるのが最もメリットがある」と考えるであろうことを。
●ゴールデンタイムの地上波放送
RIZINの地上波放送について格闘技ファンはもう感覚がマヒしてきているかもしれません。「あるのが当たり前だ」と。
でも考えてもみてください。放送すれば5~10%の視聴率をとるでしょう。
え?低い?
国民の5%~10%=1000万人前後に自分の名前と顔を試合がとどくことの意味と影響は計り知れません。少なくとも、今のK-1にいては絶対に得ることが出来ない経験であり文字通り「売名」なんです。
彼は、「那須川天心戦」を切符に地上波ゴールデンのメインイベントという勲章をえました。
●RIZINでの居場所
「天心戦に無惨に敗れたとしてそのあと、やる試合あるの?」と思われていた皇治選手。そもそも割とヘイトを持って迎えられていました。
試合が終わったいま、Twitterを埋めているのは「皇治よくやった」の称賛がほとんどに感じます。
たった1試合でRIZINファンの懐に入りこんだ。
アウェイだったRIZINでの「居場所」をアッという間に得ることになりました。
「天心VS武尊」のスピンオフ作品
そもそも今回の試合は彼がK-1を離脱してなければ絶対に実現していません。天心のキラーモードだって、皇治が煽ったからこそ見られたということになります。最終的に「語れる試合」として成立させたのもまた、皇治本人です。
最初から最後まで振り返れば、すべては「皇治選手が作った」試合でした。
その意味ではあくまで「天心VS武尊」という二大主演のいる大河ドラマの中にしたたかに入りこんで、
「天心VS皇治」というスピンオフ作品(監督・主演:皇治)
の地上波放映を実現してしまった皇治選手は自己プロデュース力においては本当に抜きんでたものを持っていますし、彼は「博打に勝った」と言えるんだと思います。
今日ばかりは引き立て役になってしまった天心も心中おだやかではないでしょうし、「皇治戦」を媒介にした天心VS武尊のマウンティング合戦も更に白熱していくことでしょう。