テーマ「顕微授精(精子を卵子に入れる)」
こんにちは。
みなとみらい夢クリニック 培養室です^^。
今回はテーマ「顕微授精(精子を捕まえる)」の続きで、
顕微授精の方法、後半です。
前回は精子を捕まえてインジェクションに吸引するところまで
お話させていただきました。
今回はその精子を卵子に入れる方法です。
それでは後半スタートです^^
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精子を捕まえたら、卵子のすぐ近くに移動します。
まず、卵子をホールディングで固定します。
(細いストローでタピオカを吸って固定させるようなイメージです)
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次に、倒立顕微鏡についているフィルターを切り替えて紡錘体を観察します。
紡錘体とは細胞の核が分裂するときに必要な構造であり、特殊なフィルターを使うと白く光っているように見えます。
この光っているあたりに核の成分、つまり大事な遺伝情報があることが分かるので、この部分に針が当たらないように、卵子を回転させ紡錘体の位置を12時または6時にもっていき針を刺す部分から出来る限り遠ざけます。
これで刺す前の準備は完了です。
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細胞膜や精子が見えやすいように紡錘体をみるための特殊なフィルターを外し、元に戻します。
そして卵子に針を刺していきます。
紡錘体を考慮し刺す位置を決めたら
針を刺します。(針の中に精子が入っています)
卵子は弾力があるのですぐに針は刺さりません。
良いところまできたら少しだけインジェクション側に吸引をかけると細胞膜がやぶれ針が細胞質の中に入ります。
さらに細胞質を少し吸引し、インジェクションの中の精子に卵子の細胞質を絡めます。
そして吸引した細胞質と精子をゆっくり吐き出します。
この時インジェクションの中にある余計な培養液が一緒に出てしまわないよう、最低限の吸引と吐き出しで操作します。
精子が卵子の中に出たのを確認したら、ゆっくりゆっくり針を抜いていきます。
(青矢印は精子の頭部の部分です。)
針が全部抜けました。
※この後卵はゆっくりと元の丸の形に戻っていきます。
※また、破れた細胞膜も隣の細胞膜とくっついて修復されます。
あとはこの卵子を受精に適した培養液が入っているお皿に移し
次の日に受精確認をするまでインキュベーター(おなかの中を模倣した機械)で培養します。
これが当院で行っている顕微授精です。
また、卵子により細胞膜の強度や細胞質の質感が異なるため、吸引のかけ方、吸引する場所、吐き出すスピードなどを卵子により変えることで、できるだけ卵子に負担の少ない顕微授精を行っています。
それでは今回はこの辺りで🌼