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予想外のトラブル!『バス旅行の会』での波乱の一日【Ep.7】
主人が「バス旅行の会」の会長に任命されて最初の日帰り旅行。
期待と喜びに満たされたのは束の間。
旅行先でも予想外の嫌がらせ?に合うことに。
【登場人物の説明】
大山:『バス旅行の会』の副会長、同じマンションの隣人
川中:マンションの代表管理人・旅程計画と手配
主人:アメリカ人・最近『バス旅行の会』の会長に就任
私:耳なり本人
以上は実在の人物ですが、仮名で記載しています。
過去の記事をお読みいただきますとキャラがよく理解いただけます。
楽しみにしていた秘境の温泉旅行
この日の「バス旅行の会」は、秘境の温泉に訪ねるのがメイン。
この温泉施設沿いにある秘境の川にかかる人力ロープウェイ(野猿)という珍しいものに乗り、温泉で締めるという工程だった。
この野猿とは、川に鉄橋が架かる前に、人々の交通手段として機能していたが、今はもっぱらアトラクションの意味が強い。
両岸に張られた2本のワイヤーロープの上に、滑車で吊り下げられた「やかた」と呼ばれる籠のようなものに乗り込み、乗客が手で引き綱を操作し、自らの力で川を渡る仕組みとなっている。
また、この野猿のそばにある温泉はこぢんまりとはしているものの、源泉かけ流しで宿泊所に併設する形態だった。
お昼の食事をレストランでいただき、早速温泉タイム!昼食を終えたのが13時過ぎごろで、温泉での集合時間は15時頃というざっくりとしたタイムスケジュールだった。
宿泊施設はレストランのほかには小さな土産物屋があるくらいで温泉を出たら、基本的にすることがない。広いロビーで温泉で温まったからだからジワリとにじみ出る汗が収まるのを待つというように、参加者は2時にはほとんどの人が温泉を出てきたようだった。
まさかの時間変更
温泉自体は小さいため、一度に10人も入れば満杯状態。私と主人はあえて時間をずらし、遅めに温泉に向かった。温泉を出ようかと時計を見るとたしか14時15分ごろだったと思う。
参加者のひとりの女性が、「14時半にバスでるから、早く温泉あがって」と焦って触れ回っていた。何事かと思い女性に事情を聞くと、なんでも出発時間が早まったという。
「聞いてない!」しかもまだ温泉でのんびりしている人は、15時出発だと思って楽しんでいるに違いない。私は「誰が決めたんですか?」と尋ねた。
女性は、「管理人の川中さんと副長の大山さんに言われて、みんなバスに戻りました」というのだ。私は頭にきた!
「ゆっくりしている方もいるのだから、せかさないでください」と女性に返答した。夫も、「最初に15時と決めたのだからここで15時までのんびりする」とソファーでくつろぎ始めた。するとそこに管理人の川中さんが来て小さな声で「みんな温泉の外で待ってるだけなんで、早く出発するらしいよ」とささやいたのだった。
私は間髪入れず「誰が決めたん!」と怒った。すると川中さんは、「副長の大山さんが早く出ようといったから出発を早めた」と説明。
確かに、参加者の多くがバスに戻ったと思われ、ロビーは閑散としていた。確認の意味も含め、とりあえずバスに戻り点呼することにした。
この時点で川中さんも大山さんもバスに戻っていないのは、私と主人だけと思っていたらしい。バスに乗ったとたんに「これで全員揃った。出発しよ早く」という怪訝な表情の大山さんの姿が目に入った。ところが、バスの一番前の席の男性が、「私の家内が戻っていません」と申し出た。
私は『ほら、見たことか!』と思った。大山さんは慌てて、「全員乗ったと思って点呼したのになあ。見てきましょうか?」と後ろの席から声をかけた。
私は頭にきて、「女性でしょ?見てくるって女湯まで入室して確認できるんですか?」と声を荒げて尋ねた。大山さんは黙り込んだ。
なんとか全員揃ったけど…
結局、私と主人、管理の川中さんの3人でバスから温泉施設に戻り、女性を探すことに。ちょうど温泉の入り口に到着したころ女性に遭遇。「もう出発なんですか?」と閑散としたロビーを眺めて女性はそういった。
私は申し訳なくて、「すいません。出発を早めたみたいで。私たちもびっくりしています」と伝えると、「そうなんですか」と女性は不思議そうに返答した。
バスに女性と乗り込んだ時、残りの参加者のなんとなく冷たい目線が気になった。この女性に落ち度はないのに、遅れたばかりにこんな不穏な空気に迎えられるのか!!なんと不公平でばかばかしいグループなんだ!
怒りが収まらなかった。何かとせっかちの大山さんが言い出したに違いないが、また会長の主人に一言の相談もなく変更するマナー違反。さらに、その不公平を受け入れた中立立場であるべき川中さん。
私は、「みんなが満場一致で出発を早めたんだったらわかります。でも私たちを含めて知らなかった人が数人いるわけでしょ?」「なんで時間を早めようってなったんですか?」と川中さんに問い詰めた。
すると「いやあ、会長のOOさん(主人)と副長の大山さんがお風呂で話あって決めたと思ったので」と言うのです。
言い訳とウソも甚だしい。そうであれば知らずにロビーで座っていた私たちに「早めに出発するらしいですよ」と耳打ちするわけがない!
これにも私は、怒り心頭だった。
バスがマンションに到着し、いつもの打ち上げが始まった。私は遅れざるを得なかった最後の女性に申し訳なくて、ひたすら謝った。
しかし、この日以降、このご夫婦は「バス旅行の会」に参加することはなかった。
※ここに登場する人物はすべて実在ですが、仮名にて記載しております。
大山さんとのバトルはまだまだ続きます。今後の記事をご期待ください。
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