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1週間の入院生活 no.1

今日で入院4日目に突入した。
昨日まで絶食だったけれど、今朝から水が飲めるようになった。
コーヒーの香りが恋しいけれど、まだ飲みたいとは思えなかった。
飲めるようになるのは、退院してから一週間後の診察を終えてからだ。
点滴をしているので空腹感もない。

4日前に入院、3日前に内視鏡手術をした。
正確には内視鏡的粘膜下層剥離術という。
電気ナイフを用いて食道の粘膜(病変部)を切り剥がしていく方法だ。
手術の正確な所要時間を、私は知らなかった。
尋ねた記憶もあるけれど、担当医師がはっきり言わなかったような気がする。
おそらく、その時の状況にもよるのだろう。
私の理解はその程度だった。
術後はぐったりして、私は病室に戻り眠っていた。

目が覚めた午後に、担当医師が病室に来てくれた。
私以上に彼の方がよほど疲れているように見える。
私が所要時間を聞くと、4時間とのことだった。
4時間! 予想外の長時間に私は驚いた。
「そんなにかかるものなんですか?」
「人によってはかかる時も…」
なんだか歯切れが悪く、担当医師は苦笑いしていた。
確かに手術中、私はとても気持ち悪かった。
麻酔をしていても意識がある状態での手術だ。
少しでも動くと電気ナイフは使えず、使える状態になるのを彼らは根気よく待っていたようだ。
私の体調を気遣いながらも、手術が上手くいったこと、家族に電話で伝えたことを手短に話してくれた。

何時までも病室に戻ってこない私を、病棟の看護師さんたちは心配していたようだ。
私より、担当医師や手術に立ち会ったスタッフの方がよほど疲れたはずだと思う。
長い時間、途切れ途切れで処置ができるようになるのをひたすら待つのだから。
そう話すと、看護師さんは笑い飛ばした。
「大丈夫、大丈夫。先生は慣れてるから、ぜんぜん平気なんですよ」
この明るさに、私はここに来てからずっと救われている。
この病院のスタッフは、とにかくみなが元気だ。
声が大きくはっきり話すし、丁寧ずぎる妙な敬語も使わない。
利便性だけでここを選んだけれど、この病院で良かったと心から思っている。

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