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『建モノがたり』 about books no.6

 仕事から戻ると、玄関のシューズボックスの上に私宛の封筒があった。何かを購入した記憶がなく、何だろう? と、裏を見ると送り元は朝日新聞のメディアプロダクションだった…
 そう言えば少し前に『建モノがたり』が書籍化されたのを同タイトルのポッドキャスト番組で知った。その流れで概要欄からこの本のプレゼント企画に応募したのだ。まさか送られてくるとは思っていないかったので、すっかり忘れていた。

 あらためて書籍を手に取ると、感慨深いものがあった。私はこの一連の連載をスタート前から知っていて、読みたいと思っていたのだ。朝刊の誌面で新連載スタートの告知を見て以来、ずっと記憶のどこかにあった。

 連載は2020年3月から始まり、今も続いている。

 当時は大阪版の夕刊だったと記憶している。木曜日だったような…。私の住むエリアにも夕刊は配達されていたけれど、掲載されていなかった。そもそも購読は朝刊だけで、本当は夕刊も読みたいけど、新聞に一日の時間をそれほど避けない。夕刊は図書館やお目当ての記事があればコンビニで一部買って読む程度で、定期購読には至らなかった。何時か時間に余裕ができたらと、憧れのようなものがあった。朝刊よりずっと文化面が充実しているのだ。

 コロナ禍を経て、私の住むエリアは夕刊が休刊になってしまった。朝刊にも『建モノがたり』を月一でも良いから載せてくれないかなあと、ずっと思っていた。

 誌面で読めるようになったのは、誌面ビューアーがスタートしてからだ。

 子どもの頃から、私は気になる建物が住む先々にあった。一人で出向いては周囲を歩き想像にふけった。誰が考えたのか? どんな人が住んでいるのか? 中はどうなっているのか? 等々…。建物見たさに遠方まで足を運ぶこともあった。建物だけではなく、人の手によって造られたモノが好きなのだ。そして、その背景も。完成されたモノより、そこに至る過程に、背後にある物語に惹かれるのだ。そう言えば、勝手に建物に名前を付けて呼んでいたこともあった。

『建モノがたり』の連載は、タイトルにも一目見て惹かれた。誌面のロゴも良かった。視覚デザインに優れていると、何の連載なのか一目でわかる。そして、何よりもこれは物語だった。

 あれから時が過ぎて、今、一冊の本が手もとに届いた。何だかとても不思議な巡り合わせのような気もするし、手もとにあるべきモノとして、あるような気もするのだ。

朝日メディアプロダクション 編著

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