空気を書く book review
『ニューヨーク145番通り』
ウォルター・ディーン・マイヤーズ・作
金原瑞人・宮坂宏美・訳
小峰書店
ロマン主義の画家ターナーの作品が、特別好きなわけではないけれど、ふと見入ってしまう絵がいくつかある。独創性や強烈な色彩、構図と言ったモノではない。心に何かとまる、そんな印象に近い。「ターナーは空気を描く画家」だと友人が言っていた。なるほどと思う。彼の絵は確かに空気を感じるのだ。
この本も似ている。ハーレム145番通りに住む人々の日常や、ちょっとした事件が短編形式で書か