リアリズムの原点 book review
『あやとりの記』
石牟礼道子・著
福音館書店
読みたい本と読むべき本は違う。ここ数年、本を読む機会が減っていて、残された時間も刻々と減っている。個人差はあれど、人が生涯、読める本は限られているので、やはり読むべき本が優先と思ったりする。
本書は、私の読むべき本の一冊だった。理由は石牟礼さんの作品だから。それで充分だと思っている。彼女の著書は、私の内なる本棚で、読むべき本の棚に分類される。
日本文学全集(河出書房)の編者、池澤夏樹氏は、この著者について『戦後日本文学