MUJI HOTEL GINZAに泊まってみた
先日、以前から泊まってみたかったMUJI HOTEL GINZAに社会科見学のような気分で泊まってみたので気になったことを記してみます。
本記事は
・ホテルヴィジュアル
・無印良品のフィロソフィー・アイデンティティーから成ります。
何かしらの参考になれば幸いです。
ホテル概要
MUJI HOTEL GINZAは2019年4月4日に開業しました。
MUJI HOTELとしては北京、深センに続いて3店舗目。
日本では国内1号店となります。
無印良品銀座の6階がホテルフロントとなり、
7階~10階が客室となっています。
客室
客室は全79室で、お部屋のタイプはA〜Hの8タイプからなります。
A→Hにかけてお部屋のクラスが変わります。
今回わたしが宿泊したのは最もお手軽でコンパクトなAタイプです。
詳細はMUJI HOTELのページよりご確認いただけます。
ホテル画像
↓6階のラウンジはフリーで入れるのでおすすめです。
2人のクリエイターが語る無印良品について
メインです。
ここでは、無印良品の仕事に携わる
原研哉さんと深澤直人さんの無印良品に対する考え方についてみてみます。
原研哉さん
無印良品は空っぽの器のようなものだ。そのプロダクツは老若男女問わず、あらゆる人々の生活の文脈を受け入れる。無印良品は若者のための簡素なテーブルをデザインし、60代の熟年夫婦のための別の簡素なテーブルを用意するわけではない。同じ一つのテーブルを見て、あらゆる人々が「自分の暮らしに合っている」と感じるような自在性が無印良品の命脈である。すなわち無印良品の本質は「主張」ではなく「受容」にある。機能が用途に合わせて周到に用意されているわけではなく、どんな用い方であれその全てを受け入れることで無印良品の製品は機能するのである。このようなデザインを「ノーデザイン」と呼ぶ人がいるが、無印良品はノーデザインではない。
使用者の意志に寄り添い、どんな用途にも応じられるような自在性を実現するべく考え続けられた、究極のデザインを目指しているのである。
無印良品はメッセージではなく、顧客の抱くあらゆるイメージを受けとめる空っぽの器にならなくてはいけない。すなわち、どれだけ上手に伝えられたかではなく、どれだけ沢山のイメージを受け入れられたかがその成果である。
深澤直人さん
無印良品には、欲求や願望を自己抑制できたときにだけ得られる心地良さや清々しさのような感覚がある。欲しいものを探しまわって、結局疲れて最後にMUJIにたどり着いて、「これでいいか」と思えるような。やや諦めにも似た適正な位置にすとんとはまって行く心地良さの感覚がある。欲望に駆られて高揚していた気持ちから少し平静を取り戻して見えてきた生活の適性度を備えたものたちが静かに待ち受けているような感じがする。
無印良品においては、もののデザインは、デザイナーやそれを使う人々の個性やライフスタイルを主張するための表現媒体ではない。それは道具づくりに徹することで極まってきた必然のかたちなのである。長い時間をかけてリファインされ続けてきた適正なものの輪郭が無印良品の製品の姿である。『MUJI 無印良品』より
必然的に存在している無印良品は
深澤直人さんの哲学や最近深澤さんがよくおっしゃられるカール・グスタフ・ユングの「集合的無意識」に近しいものがあると感じます。
深澤さんは無印良品にも当てはまる「ふつう」をデザインソースとして大事にされていらっしゃいます。
そして、ユングの「集合的無意識」にも通じるものがあります。
集合的無意識とは・・・
難しいですよね。
簡単に言うと、集合的無意識=元型=人間が元来もっている「行動の様式」。あらゆる人間において自己同一的でありそれゆえ誰もが持っている心の普遍的な基礎ということになります。
具体的なデザイン・シンキング例には、「アクティブ・メモリー」というものがあります。
話が逸れてしまいましたが、無印良品に関連する考え方ということで
触れさせていただきました。
最後に、無印良品のブランドメッセージをみてしめくくりたいと思います。
『無印良品の未来』(2002)
無印良品はブランドではありません。無印良品は個性や流行を商品にはせず、商標の人気を価格に反映させません。無印良品は地球規模の消費の未来を見とおす視点から商品を生み出してきました。それは「これがいい」「これでなくてはいけない」というような強い嗜好性を誘う商品づくりではありません。無印良品が目指しているのは「これがいい」ではなく「これでいい」という理性的な満足感をお客さまに持っていただくこと。つまり「が」ではなく「で」なのです。
しかしながら「で」にもレベルがあります。無印良品はこの「で」のレベルをできるだけ高い水準に掲げることを目指します。「が」には微かなエゴイズムや不協和が含まれますが「で」には抑制や譲歩を含んだ理性が働いています。一方で「で」の中には、あきらめや小さな不満足が含まれるかもしれません。従って「で」のレベルを上げるということは、このあきらめや小さな不満足を払拭していくことなのです。そういう「で」の次元を創造し、明晰で自信に満ちた「これでいい」を実現すること。
それが無印良品のヴィジョンです。
後記
ホテルに荷物をどさっと置き
ボディバッグを引っさげて街を散策するということに
ある種の高揚感を覚える。
MUJI HOTELの下層階(1階〜6階)は無印良品の店舗となっており
マンションの最下部にコンビニがある感覚で無印良品に買い物が行ける。
そういった意味でも、MUJI HOETLは無印良品好きにとっての聖地だと感じる。泊り心地がよく、下層部が無印良品。こんな賃貸マンションがあったら幸福である。