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USB充電に関して

世の中に出回っている真偽やソースのよくわからない情報をまとめてみたい。それと急速充電の大まかな仕組みなんかも説明できたらと思います。



PD(Power Delivery)充電の大まかな説明と仕組み

巷でよく聞くPD充電や急速充電というワード。
ここ10年位でよく聞くようになったかと思います。
実際何なのというとPD充電というのはUSB-IFと言うUSB規格の団体が設定した急速充電の規格です。それとは別にQC(Quick Charge)だったりHuaweiやXiaomi、OPPOなどのスマホメーカーの独自規格の急速充電規格があります。
充電器やモバイルバッテリーの取説やパッケージ、AmazonのLP何かに記載がある場合がありますね。
一般的なのはPDでバージョンがいくつかあります。
PD3.1 EPRが多分今最新のはずです。(2025年1月時点)ですが規格的に主流なのは3.0です。
QCはQC4.0+が最新で、PD3.0と互換があるため概ね使用されるのはPD3.0です。
で、各スマホメーカー独自のものはあんまり興味なくて調べてない&あんまり興味ないのでスルーします。
で、急速充電って何なのって言うとざっくり9V以上の充電電圧が出せるものを業界的には急速充電と呼んでます。
PD充電ではどのようなことが行われているかというと、何かしらのデバイスを充電器に接続したとした場合で説明します。
デバイスにも充電器にも「PDO(Power Data Object)」と言うものを持っていて、充電器とデバイスが接続された瞬間にお互いのプロトコルを見せ合って、最適に充電ができる電圧が決定されて充電が始まります。
そのプロトコルってのは、充電器には主に5V9V(※12V)15V20V(※48V)を持ってます。20Wしか出力できない充電器だと9Vか15Vまでしかないものもあります。※12Vを持っていない充電器は結構多いです。Ankerは無いことがあります。48VはPD3.1EPRにしか存在しないので一般的ではないです。
デバイス側にも充電器と同じようなPDOを持っていますが、デバイスの種類によって電圧が違います。
スマホ・・・主に9V
タブレット・・・主に15V
PC・・・主に12V~20V
なのでデバイス側が受け取られる電圧を充電器側に知らせて、充電器側が適切な電圧を出力をすることで急速充電が始まります。デバイス側から充電器側に電圧を知らせる状態を「ネゴシエーション」といいます。

急速充電はスマホのバッテリーに負荷をかけているのか

よく聞かれる話で急速充電はスマホの寿命を縮めるからああああがああああってXやらTikTokのコメントやらでよく見ますが、個人的にはスマホのバッテリーに負荷がかかっているのは確かにかかっていると思います。充電してるんだもん、当たり前じゃんってくらいに。
私が思うに、気になるようなバッテリーの負荷は急速充電ではかからないと思っています。
多分そういう方たちが仰ってるのはずっとトップスピードで走り続けたらって話なんだと思います。
大きな誤解が2つあると思っています。
1つ目はスマホにしてもタブレットにしてもNTCって機能が充電器側、スマホ側にもありあます
NTC(negative temperature coefficient)ってサーミスタが基本的には実装されていて充電器、デバイス双方の温度を常に見ていて高温になれば出力を弱める、止めることをする機能です。基本的には日本で発売されている製品ならPSEの既定値の温度にならないように設定されていることが多いです。海外でも販売している製品ならULの規格などを参照している場合はPSEに比較して低い温度で制御が入る場合があります。
2つ目はCCCV(Constant Current, Constant Voltage)と言う充電方式です。
ざっくり説明するとスマホ側のバッテリー残量が低いとガンガン充電するけど、ある程度の閾値(80%位)に達すると電圧を落として充電しますって機能です。
今更ながらですが、充電の基本としてV(電圧)×A(電流)=W(電力)
最初は9V×3A=27Wで充電しているが、閾値の達すると5V×3A=15Wに落ちるって仕組みです。
なので、ハードウェアでもソフトウェアでも制御がかかっているので、急速充電が直接バッテリー劣化につながるかというと違うと思います。
主なバッテリー劣化の要因は、充電中にスマホを操作したり充電中に高負荷のゲームや動画視聴を行うことにあると思います。総じて短期間で高温に達するので、前述した遅い速度でダラダラ充電をしてしまうことになるためでしょう。
冒頭でも言ったようにSNSでバッテリーの劣化があああああって騒いでいる連中は未だにiPhone8とかSEとかを5年とか持ち続けているんだと思います。スマホは最長でも3年周期で書き換えるくらいがバッテリー的にも健康的でいいと思います。

大まかなスマホ・タブレット・ラップトップの最高充電W数

最後におまけ的な感じで渡しが実際に確認しているデバイスの最高充電W数を羅列しておきます。

  • iPhone16シリーズ・・・主に27W(15V1.8A or 9V3A)このシリーズから電圧が15Vになりました。多分無印とPro、ProMaxで差はないはず。

  • iPhone15・14シリーズ・・・Proモデルは27W(9V3A)、無印は25W(9V2.77A)

  • iPhone13シリーズ・・・Proモデルは27W(9V3A)、無印は23W(9V2.55A)、Miniは18W(9V2A)

  • iPhone12シリーズ・・・Proモデルは23W(9V2.55A)、無印は20W(9V2.22A)、Miniは18W(9V2A)


  • iPad Air(Type-C搭載モデル)・・・30W(15V2A)

  • iPad (Type-C搭載モデル)・・・30W(15V2A)

  • iPad Pro(Type-C搭載モデル)・・・30W(15V2A)たまに45W出力できるって記述のページを見ますが実際に出ているところは見たことがないです。

  • iPad(Lightning搭載モデル)・・・15W(5V3A)無印もAirもProもLightning搭載モデルではすべて5Vの非急速充電です。


  • Galaxy(超急速充電2.0対応機種)・・・45W(9V5A)GalaxyはPPS(Programmable Power Supply)と言うPDのオマケ機能というのか、また別のPD充電方式を使用しているため電圧電流は常時大きく変化しますが45Wは出力します。

  • Galaxy(超急速充電1.0対応機種)・・・25W(9V2.77A)こちらもPPSを使用しています。

  • Xperiaシリーズ・・・多分25W(9V2.77A)全機種を確認できているわけではないですが、多分PPSを使用した急速充電になっているような出力をしています。

  • Pixel9シリーズ・・・無印とProは27W(9V3A)、Pro XLは37W(電圧はちょっと不明)です。


ラップトップに関しては種類が多すぎて、網羅できません。
中には12Vでの45W充電にしか対応していないへんてこなPDOを持ったデバイスもあるため、付属のACアダプターからUSB充電器の乗り換える際は付属の充電アダプターに記載されている、〇〇V=〇Aって表記をよく確認するようにしてください。
LenovoやHPなどの海外メーカーだけってわけではないですが、よくあるのが19.5Vと言う表記がされているPC多いです。20V帯で充電できなくもないのですが時折充電できなかったりって変な挙動することがあるんで注意が必要です。
後最近多いゲーミングPCやポータブルゲーム機(ROG Ally)のようなデバイスは純正充電器でないと最高効率を発揮できない(ハイパフォーマンスモードみたいなのに設定できない)ことがあるので注意が必要です。



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