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尼崎市長選の反省点

こんにちは、海原雄山です。

今回は、ツイキャス等でしゃべった尼崎市長選の振り返りを文字に残そうと思います。

音声メディアで話したこと等は、聞かれなければそのまま流されてしまいますが、こうして文字に残すことで、後から振り返ることができると思いますので、あえてこのnoteに記そうと思います。


投票結果から実態を分析

まず選挙結果と出口調査結果

まず、選挙結果は、ご存じのとおり、維新大原氏が約48,000票に対して松本氏約75,000票と中々の票差となり、神戸新聞は投開票日当日の午後8時に松本氏に当確を出しました。

選挙の構図としては、維新単独で大原氏に公認を出したのに対して、それ以外が形の差こそあれど松本氏支援についており、維新対オール反維新という大阪でも見たような状況が再現されました。(ただし、公明党は公式には自主投票)

大阪では維新の支持率がずば抜けており、この構図でも首長選は勝ち切ることができますが、兵庫では支持率比較第一党と言えど、自民とは僅差であり、維新対オール反維新という構図の中では、圧倒的に不利な状況であることは否めないと思います。

では、無党派層はどうだったかと言うと、下記のリンク先のとおり、その3割しか大原氏に票を入れてくれなかったようです。

これは、無党派も取り込みながら選挙結果を出している維新にとっては、かなり厳しい投票結果と言えるでしょう。

参議院議員選挙との比較

尼崎市長選の投票率は、前回を8.06ポイント上回る32.77%だったわけですが、とはいえ直近の国政選挙における選挙区の投票率は、尼崎で49.35%ことを考えると、関心の低さが伺えます。

実に、参議院選挙の3分の2しか投票に行かなかったわけですが、その割には、維新大原氏が約48,000票というのは、尼崎で参議院選挙で片山大介氏に投じられた約52,000票と比べてもそん色ないか、むしろ健闘していると言えるでしょう。

実際、上記の出口調査において、維新支持者の8割から9割の間くらいの割合は大原氏に投票していることから、投票に来た維新支持者もこの人ならばという期待が高かったのではないかと考えられます。

そのため、参議院選挙に比べ、投票率は下がったものの、票数は割とキープできていたと考えられます。

それだけ尼崎市民にとって、待ちに待った維新公認市長候補だったと言えるでしょう。

しかし、先述のとおり、無党派の支持は得られなかったことから、単純に敗因は、維新以外がまとまったこととは別のところにありそうです。

主張の是非

そもそも稲村市政はどうだったのか

大原氏陣営は、「大阪との連携」や「尼崎市政の刷新」を訴えて、選挙戦を戦っていました。

対して、松本氏陣営は逆に「前市長の市政の継承」が基軸にあったように思えます。

では、その稲村前市長の市政はどうだったかというと、私は傍目から見る限り、良かったのではないかと思います。

以前上記の記事で尼崎の財政状況について調べて、財政面から現市政の出来について考えましたが、実は将来負担比率が改善する等、財政再建は着々と進んでいました。

また、コロナ禍における原油価格・物価高騰の影響を踏まえた水道料金等の減免を行う等、維新大阪市政でも実施しているような住民目線の施策を打ち出す様子も伺えます。

確かにUSB紛失による住民の情報が漏洩する等の失態もありましたが、先ほどの財政状況のまとめ等を作成する際に参考にした尼崎の決算概要資料は、どの自治体よりも見やすく詳細に現状を綴っており、住民への情報公開の姿勢が伺われ、細部にまで住民目線が浸透していると言えるような印象を受けました。

そう考えると、稲村市政の継承を訴える松本氏の姿勢は、尼崎市民に十分な期待を抱かせるのに十分と言えるでしょう。

逆に、大原氏が市政の刷新を訴えても、説得力がなかったように見えました。

もし稲村市政がダメだったなら、どういうところがダメなのか、何を解決策とするのかを示さなければ、あえて稲村市政からの転換を選ぶ理由に乏しいように考えられます。

だからこそ、大原氏には維新支持者は投票するものの、無党派の心をつかみ切れなかったのではないでしょうか。

で、尼崎を良くする具体案は?

大原氏の主張の話に戻ると、市政刷新の他は、大阪との連携を訴えていらっしゃいました。

しかし、大阪との連携とは一体何なのでしょうか。

万博を巡って、夢洲への渡航ルートとして尼崎からの直接的なアクセス経路を用意するというのも悪くはないでしょう。

また、大阪市と共同で調達を行い、スケールメリットを利かせて行政のコストダウンを図るのも良いでしょう。

しかし、それは解決策の話であって、そもそもの尼崎市における問題点は何なのかという話とは異なります。

まず、問題があって、それに対して何をする必要があるのかを示す必要がありますが、そこのプロセスをすっ飛ばして先に解決策の話をしているから、なんだか上滑りしている印象を受けました。

大阪市政の良いイメージを利用して勝ち抜こうという戦略があったかと思いますが、そもそもで尼崎市の問題点の提示ができていないので、大阪市の実績がどう尼崎で活きるのかがわからない主張になっていたように思えます。

そこは、大原氏は前職が政治家というわけではないわけですから、第二会派である尼崎の市議団がブレーンとなって政策作り等を支援する等の動きがあればよかったですが、私のもとにはそういう動きがあったという話はないので、そういう面からのバックアップは必要だったのではないかと考えられます。

選挙活動面(やや精神論ですが・・・)

選挙活動については、兵庫維新だけでなく、大阪維新(主に府議団)からもフルフル応援に駆けつけており、活動量としては申し分ない戦いをしていたと考えられます。

日本維新の会からは、馬場代表はもちろん、吉村共同代表や藤田幹事長と言った大物を全力で投入し、大阪程ではないにしても、街宣にも多くの人を呼び込むことに成功していました。

大原氏は随分前から地元周り等も行っていたようですが、それでも勝てなかったのは、なぜなのでしょうか。

選挙終盤で、あるツイートが話題になりました。

それは、兵庫選出のある衆議院議員が、選挙期間中の演説の傍で、ポケットに手を突っ込んで突っ立っているという様子の写真です。

これを見て、一般有権者はどう思うでしょうか。

残念ながら、維新に対するイメージにマイナスに作用することはあっても、プラスに作用することはないでしょう。

そもそも、ポケットに手を突っ込んで突っ立ている余裕を見せる場合だったのでしょうか。選挙に対する必死さのようなものが感じられないなと、率直に感じました。

ポケットに手を突っ込んでいること自体はもしかしたら些細なことなのかもしれませんが、選挙に対する姿勢が細部に表れてしまうものなのです。

だとするならば、兵庫維新のみなさんの今回の選挙にかける姿勢というのは、果たしていかほどのものだったのかと、勘ぐってしまいます。

兵庫県内だけでなく大阪等からも多くのボランティアの方々が来てくれて、連日にわたり候補者を支援したわけですから、維新の中にいる地元兵庫の衆議院議員をはじめとした政治家のみなさんがそういうことで良かったのかは疑問を禁じえません。

まとめ

端的に申し上げると、今回の尼崎市長選において、

・無党派や普段選挙に行かない層も巻き込むような大きな争点の創出が不足していた(候補者はもとより尼崎市議の論点抽出不足)
・尼崎の問題点に対する具体的解決策の提示が十分ではなかった
・地元兵庫維新の選挙活動にかける思いはどうだったのか疑問

と言ったところでしょうか。

ちなみに、投票率の低さが敗因だとは思いません。

投票率が上がるような争点を生み出せなかったことが問題だと思います。

そこは、1つ目のまとめのところにリンクした話です。

また、同様に、公明党がほとんど松本氏に投票していたことも敗因ではありません。

公明党は、(裏ではどうかは知りませんが)自主投票であり、最初っから大原氏に票を寄せることなんて期待する方がお角違いと言うものです。

逆に、大原氏を選ぶことの方がベターだと思わせられなかったことに問題があり、公明党を非難するのは全くナンセンスだと考えます。

この敗戦を糧に、兵庫維新がどう成長していくか、見守っていきたいと思います。


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