至高の政策 維新八策2021を考える 税制改革編 ~机上論と現実、そして未必の故意~
この記事は、2021年11月13日に前ブログで公開されたものですが、確定申告を前に改めて税について考える機会も多いと思われますので、再掲させていただきます。
非現行な箇所もあるかと思いますが、当時の背景も思い出していただきながらお読みいただけると幸いです。
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何度も言うように、私は盲目的な維新支持者ではない。
なので、維新の政策についても是々非々の立場である。
では、なぜ維新支持者の立場なのか?という疑問を持つ御仁もいるかと思うが、
有権者としては、「よりマシな政党を選ぶ」ことが大事である。
自分の趣味嗜好に完全一致する政党なんてありえない。そんなものを期待してたら、おそらく一生政党を選ぶことも、投票をすることもできないのである。
私にとって、もっとも自分の考えに近いのが維新ということであって、むしろ維新より自分の考えにあう良い政党が現れた場合には、必ずしもその限りではない。
ということで、今回も維新八策2021を題材に、維新の政策について考えて見る。
こんな弱小ブログにどれだけの人が耳を傾けてくれるかわからないけど、もし、政策担当者が改めて政策について考えるきっかけになるなら、幸いである。
というわけで、本題に入る。
今回、題材とするのは、維新八策2021のこの部分である。
「税制改革
(1)総論
長期低迷とコロナ禍を打破するため、 2年(目安)に期間を限定した消費税 5%への引き下げを断行します。引き下げ期間終了については経済状況を考慮し、将来的な地方税化と税制改革を合わせて検討します。」
この文面、大変良さげに見える。
逆進性があると言われている消費税を減税することで、低所得者や法人の消費税負担を軽減する企図があると思われる。
また、あくまで2年を目安とした時限的措置とすることで、財政に無責任な他の野党とは一線を画した形になり、ある種政権担当能力を示すうまいやり方だと思われる。
(消費税の地方税化については、今の私にはその良し悪しを判断するだけの知識がないため、コメントを差し控えたい。)
一見すると、欠点の無い素晴らしい政策に見える。
しかし、私はあえて苦言を申し上げたい。天邪鬼で申し訳ない。
確かに、この政策は一見するとバランスの取れた良い政策に見える。
しかし、これは現実的なのか。
何が実現可能性に疑問符が付くのかというと、「2年を目安に」と言いつつ「引き下げ期間終了については経済状況を考慮」という保険をかけている点である。
実際問題、コロナ前でも、8%から10%に税率を引き上げるのに2回も延期を余儀なくされていたのである。
コロナから復活したとしても、コロナ前をはるかに凌ぐ好景気がすぐに来るとは考えにくい。
仮に、そのような好景気が来たところで、「せっかく失われた30年から抜け出そうとしているのに余計なことをするな」という声が上がり、税率をもとに戻す判断が実質無期限延期になりそうなことは、容易に想像できる。
つまり、「引き下げ期間終了については経済状況を考慮」という文言から、そういう声に流されることをあらかじめ予定しているところに、その政策の実現可能性にやや疑問符を持たざるを得ないのである。
引き下げ期間を終了させるには、時の政権がよほど強い求心力が無ければ難しいだろう。
また、そもそもで消費減税は、本当に生活困窮者への救済となるだろうか。
法人は、多少資金繰り面等で恩恵は受けるかもしれないが、消費減税で大きな恩恵を受けるのは、むしろ富裕層ではないかと思われる。
消費税の逆進性を指摘する声はかねがね聞こえてはくるが、そもそもそこに私は疑問を持っていて、富裕層の方が生活困窮者などに比べ、消費額も多くなるということは容易に想像つくので、消費減税により恩恵を受ける一人当たり金額は、自ずと富裕層の方が多くなるのである。
だとしたら、何のための消費減税なのかわからなくなる。
真に困窮者対策目的として行うなら、むしろ当年度の所得を把握した上で、給付金を配った方が、理にかなっているようにも見える。(まあ、自公の給付金が今叩かれまくってるから言いにくいんだけどね・・・)
・・・・・と、思っていたが、もしかしたら維新はもっと大きな視点で物を見ているのかもしれないと、この記事を書いていて思った。
日本大改革プランでは、税制改革について、「フローからストックへ」という方針を立てている。消費税や所得税はのようなフローにかかる税を減税し、固定資産税の適正化等によりストック課税を見直し、税制を大きく変えようと考えているのである。
このことを念頭に置くと、「時限的消費減税」は、ひとまずの方便であり、最終的に目指すところは「恒久的消費減税」を含む税制改革なのだから、実は、先ほど述べたような、「なし崩しの無期限消費減税」という状況も狙いの内なのかもしれない。刑法の世界で言うところの「未必の故意」である。
だとしたら、机上論と批判した自分の見識も改め、政策実現を動的に捉えた維新政策担当者らの深い洞察力と構想力に畏敬の念を持たねばならない。
実際のところは、私の考えどおりなのかはわからない。
しかし、これまでのような古い税体系は改め、誰もが豊かに暮らせるような税体系を模索する営みを止めてはいけない。
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