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「心に残る名作たち:アニメ、マンガ、映画、ゲームの魅力」

 こちらの記事より、私が人生で一番印象に残っているアニメについて今日は記載したいと思います。

 それは、「今、そこにいる僕」という1999年にWOWOWで放映していたアニメです。

 中身は少年がタイムスリップし遥か未来の地球へと行くという今でいう異世界転生にも似た作品になっているのですが、そのタイムスリップ先は戦争で荒廃し、水が黄金にも匹敵するほどの価値を持つ世界でした。

 作品自体はものすごく見るのに覚悟のいる作品です。
 こちらの精神力をガリガリ削ってきます。
 ですが、私自身何度も視聴しているアニメです。初見は二十年ほど前になりますが、主要キャラクターの名前は未だにしっかり憶えているくらいには記憶に刻み込まれているアニメです。
 監督が出している答えは賛否両論あるかと思いますが、私は出会えてよかった作品ナンバー1であると、今でも胸を張っていえます。

1・主人公であるシュウ


 荒廃した世界でも前向きさを失わないシュウは、この物語で一本筋を通しているキャラです。ですが、その前向きさは時に他人を傷つけ、自分自身をも傷つける場合もあります。

 未来に飛ばされたシュウはハムドに囚われ、少年兵として戦わされるのですが、そこで出会ったナブカたちとの確執、そして別れなど、沢山の経験を経て自分のいた時代に戻るわけですが……。

 彼は終始一貫して、ララ・ルゥを救うことと元の世界に戻る事を目標としてます。
 彼の視点で語られるこの物語は、決して楽なだけの物語ではありません。むしろ視聴するのに相当の精神的な負荷がかかる物語です。
 ですが、だからこそ、現代の私たちが見るべきだと思える作品でもあります。


2・水を解放する力を持つララ・ルゥ


 未来からタイムスリップしてきた不思議な少女、ララ・ルゥは常に追われる立場で、現代にいたのも未来から逃げて来ただけでした。
 ですが未来から追ってきた兵士たちに捕らえられ、結局はハムドの元へと戻る羽目に。
 彼女は基本的に、主体的な行動をとりません。その理由は徐々に明かされますが、彼女は命を削って水を作り出しているのでした。
 そして、今の彼女は人間のために水を作り出したくはないと考えています。そんな彼女ですが、シュウのひたむきさに触れて、少しずつ、変化していきます。
 それもこの物語の見どころのひとつになります。


3.攫われてきた少女、サラ


 彼女は、ララ・ルゥに間違われて攫われてきただけの少女です。
 ですが、この世界において彼女の存在は意味がなく、彼女を待っていた運命は過酷を通り越して悲惨でした。
 名もない兵士に乱暴されて妊娠し、けれども葛藤の末「私のこの世界の子供だから」とその子を産むことを決意した彼女は本当の意味で強く、そして成長したといえるでしょう。

 彼女のドラマはシュウのドラマとはまた別のラインで描かれていますが、特に7話の髪を切るシーンは非常に演出に力が入っており、少女が髪を切るという意味も含めて彼女が過去(元の世界にいた自分)と決別する場面でもあったのかな、と私は考えます。
 彼女はこの作品で最も悲惨な目に遭うキャラクターでありながら、最も成長して美しく、そして強くなったキャラクターであるともいえるでしょう。


4・少年兵 ナブカ


 シュウが編入させられた部隊の隊長であるナブカは、生真面目に規律に従うキャラクターです。ですがそれには理由があり、褒章として故郷の村に帰れるというハムドの言葉を信じ、彼に従うことを是としているだけなのです。
 ですので、事あるごとにシュウとは対峙することとなりますが、その中でもシュウの真っ直ぐさを羨んでいるような、認めているような素振りも少しずつ見せるようになります。

5・狂王ハムド

 全ての元凶であり、ララ・ルゥをつけ狙うハムドの目的は一つだけ、豊潤な水です。彼はエキセントリックな性格で、まさに狂った王というに相応しく、声優の故・石井康嗣氏の演技が凄まじく、このアニメを見る価値がそこだけにあるといっても過言ではないほどの存在感をみせつけてくれます。
 その点に関して多くを語るのは不要と私は考えるほど、本当に素晴らしい演技です。

 彼は最後ララ・ルゥは解放した力に飲み込まれ無様に死んでゆくのですが、その場面のカタルシスといったらハンパなく、演出も素晴らしいの一言に尽きます。


 とにかく見るのに体力がいる作品ではあるのですが、シュウのひたむきさ、前向きさが時には鬱陶しいと感じつつもその芯のある行動で大分視聴者は救われる筈です。
 
 そしてサラを襲う運命の辛さですが、彼女自身の描写の痛々しさに胸を痛めると思います。ですが、その後の丁寧な描写で彼女の成長を感じ、彼女の選び取った道を美しいと私は感じました。実際に彼女の負った傷は簡単に癒えるものではないし、彼女の描写に不満を覚える方もいると思います。
 ですが、彼女の意志を尊重するという意味でも私は彼女の選択を肯定したいと思います。
 それくらい、存在感のあるキャラクターだと私は思います。
 
 そして演出は多くを語らず、対比や沈黙が多い演出になります。ですが、だからこそ視聴者に考えさせる作品になっているのではないかと考えます。 
 セリフも決して多くはないですが、各々の声優さんの演技の巧みさで魅せられると思います。
 この記事で触れていないキャラクターたちも多くいますが、彼らもそれぞれの人生を送っていると感じられる演出・描写の作品です。

 何度も言いますが、簡単な気持ちで見れる作品ではありません。
 ですが、見た後は必ず何かを得た気持ちになれる、そういう作品だと、私は思います。

 アニメで私が思い入れがあるといえば、他にもブレン・パワードと、∀ガンダムなのですが、それはまたおいおい記事にして紹介できればと。

 今、そこにいる僕は現在以下のチャンネルで視聴が可能です。
 是非、見てみてください。
 


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