共感できれば、こっちのもの!
こんにちは。
「大人にキレイと未知を」をキャッチフレーズに始まった、人気女性美容師5人のブログ連載、第2回目です。
今回は、Un ami 表参道 トップスタイリストの津村佳奈さん。
お客様と「共感する」ことが美容師にとって必須な時代、圧倒的な共感力で数多くの悩めるお客様を救っている津村さんに、共感力とは何か、共感力がなぜ必要なのか、について、語っていただきました!
同じ「女性」というだけでも共感できることはたくさんあると思いますが、私は「自分がそのお客様に、ちゃんと溶け込めるかどうか」を大切にしています。一方的に「こういうヘアスタイルがいいと思います」ではなくて、お客様が言ったひと言に着目し、その人の“呼吸”に合わせられる位置にいつも自分がいる、という感じです。
全部を求められている時は、それに応え、自分はこうありたい、ということがはっきりしている人には、そこに共感する。基本、否定はしません。なので、私自身は、個性的な人にも、コンサバな人にも、カジュアルな人にも、大人っぽい人にも、子どもっぽい人にもならずに、ちょうど“真ん中”のポジションでいることを心がけています。
でも、中には、自分にはわからない感覚を持っている人もたくさんいらっしゃいます。そういう方の時は、逆に教えてもらうようにすると、共感が生まれます。
自分がどういう風になりたいのかを、ちゃんと言葉にして伝えることができるお客様は、ひと握りしかいません。そこを探るのが私の仕事です。どんなものが好きなのか、好きな色嫌いな色…。あれこれ聞いて、答えを見つけていきます。
お客様は案外、自分の髪質や頭の骨格について知らないケースも多いので、自分の髪の特長や個性をまず知ってもらい、それに合わせて提案しています。悩みを聞いて、「こうすると今までと変わりますよ」とか。
なぜ切りたくないのか、なぜそのヘアスタイルが似合わないと思い込んでいるのか、という謎をひとつひとつ紐解いていくと、どう施術すればいいかが見えてきます。そこを察してあげると、「そうなんです!」「なんでわかったんですか!?」と言われます。その時、信頼が生まれるのだと思います。
共感することができ、信頼が生まれれば、仕事を任せてもらえます。先々までの提案をしたり、その人の新しい一面を発見できるような提案をしたり。お客様と一緒にヘアスタイルを作っていく感じですね。
昨年、「なぜか美人に見える人は髪が違う」(大和書房刊/税別1,400円)という本を出版させていただいて以来、髪について悩んでいる方がすごくたくさん来てくれました。髪について悩んでいる人って、こんなにたくさんいたんだ!と改めてわかったことで、自分のデザインの引き出しも増えました。
共感力、と言っても、施術中、いつも話をしているわけでもありません。雑誌を読みたい人もいます。でも、髪の話は必ずします。「毛が溜まりやすい所は根元から毛量を減らしますね」という感じで。お客様に髪を触ってもらって、どんな風に変化したか実感してもらうこともあります。
私は1人の美容師ですが、お客様に何か印象を残したいなという気持ちはいつも心の中にあります。また会いたいと思ってくれるような何かを。
共感力とは、“お客様に寄り添いながら提案する”という感じなのかなと思います。お客様とほどよい距離を保って、いつもニュートラルでいること。それが私の強みなのかな、と思っています。
ライター 森永泰恵
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