A日ソーラー 物語 6


おばあちゃん
『もう少ししたら息子が帰って来るからからぁー。』


…より5〜の続きになります!

おばあちゃんがそう言うので
世間話をしながら息子さんを
待たせてもらう事になった。

外れて倒れているドア
きしんだ床
散乱しているゴミ

一般的な感覚の持ち主ではない事は安易に
想像できるが
私も仕事で来ている。
これは戦いだから負ける訳にはいかない。
その気持ちで間をもたせた。

しばらくして息子さんが帰宅。
年齢は…ハタチには
なっていなかったかなぁー。

私よりも歳下であろう事は…すぐにわかったが
丁寧に再度、訪問している理由を説明した。

アプローチを終えると…
何とも言えないよくわからない
リアクション…。

怒っているわけでもなく、
邪険にされている感じでもない。
無表情…。

…ん〜。

…なんだろう…。

次第に私の声のトーンも
熱意を伝える為に
上がっていった。
すると…

『もうちょっとゆっくり…声は小さく喋ってもらえませんか?』
と…

すかさず私は…

『申し訳ありません!うるさかったですね!スイマセン!』

と…
ウィスパーボイス気味に声のトーンを落とした。

すると…
一瞬、息子さんの顔の表情が明るくなったような
気がしたので
その後も極力小さい声でお話を続けた。

どうやら…事情はわからないが
大きな声が嫌いだ。という事はわかったので
丁寧に丁寧にゆっくりと説明を続け
息子さんにも…クロージングを終え
最終的に…
月々〜のお支払いといった形にはなるんですけども…それはここの節約になるガス代から充てて頂けますので負担にはなりませんよね?と…。

横で黙って話を聞いている 
おばあちゃん

どう見ても乗り気ではないようだが…
ここまで話を聞いてくれたのに引き下がれない。

『先程、お母様の方には設置してもいいね!と仰って頂けたのですが…息子さんはどう思われますか?』と
最終的な判断を迫った。

息子さんは…
『母がいいって言うんならいいですよ!』とだけ
つぶやいた。

私は…
ありがとうございます!!
と言いながら
契約書を出し書いてもらったのだが…

こういっては何なんだが…
とにかく字が汚い。
本当に…何て書いてあるのか読めないレベル。
そんなにたくさんの契約書を持参してはいないので

これはヤバいと思い…
本当はダメなんだが…
息子さんに書いてもらう事にした。


息子さんも決して上手ではなかったのだが
まぁ、なんとか無事に終わり会社に…電話。

企画設置にご協力頂けるという事で!という
支店長からお客様への感謝の電話を終え
工事日は1週間後ぐらいに決まった。


信販ローンを組もうとする時に…
契約書を支店から信販会社の方にFAXをして
審査を行い、審査OKならば
信販会社から契約者に連絡が行き
そこで了承が得られれば契約成立となります。

当時は…支店に帰ってから
持ち帰った契約者を提出するので
審査は次の日になる事が多かったですね!


…翌日。


朝一で審査はOK
契約者の了承も得られて
晴れてオーダー成立となりました。


昼間ぐらいに私の電話が鳴る

支店長から
『昨日のお客さん!キャンセルしたいって言ってきてるぞ!』と…。

…まぁこれって
良くある話ではあったんですけど

私は…急いで再度
お宅へ訪問しました!

『奥さん!会社からキャンセルしたいって話を聞いたんですけど…何かありましたか?』と
尋ねると…


『娘がねぇー。ダメだって言うの…。』と…。


同居されていない
看護師さんの娘さんがいらっしゃったようで…どうやら息子さんづてに娘さんへと
ソーラーを付けるという話が…行ったそうです。

ここで重要なのが…
消費者を守る為の法律
クーリングオフ制度

ハガキや書面などが支店に届いた場合や
ハッキリと…
キャンセルしたい!帰ってくれ!
と言われてしまった場合には
もう、何も言ってはならない!と
教わりました。

今回の場合
まだ、話し合いの余地はありそうでしたので

私は…おばあちゃんに尋ねました。

『反対される方がいらっしゃる以上
 私も…強くは言えませんが…正直なところ
 どうされたいんですか?』と…

おばあちゃん
『私は…やりたいよ!ソーラーがいいものなのは知ってるし…』


『それでしたら…娘さんとお話させて下さい』


会って直接お話する時間は…無いそうなので
電話で話をする事になった。


必死で説明したのと…
時間も結構経ってしまっているので
ハッキリとは覚えていないが…

娘さんの言い分はこうだった。
シンプルに…


『ソーラーなんか付けてる場合じゃない。』と…。


そう言われても…
私も…戦いですので…。
ハイそうですか!と
引き下がれない。


ギリギリ…嘘ではない。
グレーのトークでねじこむ事に成功したのだが…。


後になって思いました。

…確かにそうだよ。誰がどう見たってこんなボロ家にソーラー付けるぐらいなら他に直さなきゃいけないとこたくさんあるよ。
環境や節約の為って謳って、売ってるけど
一番儲かってんのは会社だし…
ローン組ませて手数料も払わせて

この売値のうち5万は俺が…貰うんだもんな…。
俺が…やっている事は他人に迷惑をかけているんじゃないか…。と。


娘さんと私が…電話を終えた後
おばあちゃんに代わり娘さんと話をし
予定通り契約となりました。


電話を終え、一息ついたところで
おばあちゃんが…

何も言わず

私の目を見て…
泣いているのです。



えっ?


なぜ??


…私は…どうしていいのか
わからず…。

おばあちゃんの手を握り
ありがとうございましたm(_ _)m
と頭を下げる事しかできませんでした。


あの涙の意味は…
良い方にもとれるし…
悪い方にもとれる。


押し売り。では
無かったと思っては…いるけども

押し売りだったのかもしれない。

とにかく、その後の
私の訪問販売をしていく上で…
モチベーションに変化が生まれた事だけは
間違いがなかったのである。













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