ブックオフ

平日の仕事休み。最寄駅から3つ乗った先の駅で降りて、歩いて5分くらいのところにあるブックオフに行く。

中には相変わらず漫画の棚に張り付いて立ち読みしている人々。彼らは一体普段何の仕事をしているのだろう?

そんな疑問を持ちつつ、自分も気になる漫画をちらっと見ては棚に戻す。今度はCDコーナーに向かう。

100円の棚のCDを「ア行」から全部ゆっくり見ていく。知っているアーティストを見ればCDを引っ張り出してジャケットを見ていく。100円の棚に置いてあるから、CDケースはもちろんのごとく劣化している。前回買ったCDは曲の途中で再生が止まってしまうものもあった。ある意味、くじ引きみたいなところはある。

それよりも少しお高くなって250円の棚、500円の棚、CDそれぞれの価値に合わせるように設定した値段の棚と見ていく。たまにお宝に出会えた時は嬉しくなる。 こんな郊外のブックオフで売られているなんて。ここにあるということは、ここら辺の人が持っていたということになる。自分の感性と合う人がいた。でも手放してしまうということはもうその人は変わってしまったのかもしれない。

会ったこともない人の人間ドラマを感じながら、今日は欲しいCDなかったな、なんて思いながら雑誌コーナーに移る。雑誌なんて日常生活ではほとんど読まないけれど、表紙を眺めて気になったものは手に取ってみる。

その日、そこにあったのはマイケルジャクソンの雑誌。ためらうことなくその雑誌に手をかけ開いてみるとそこには、映画の半券が挟まっていた。

「THIS IS IT」

2009年に公開されたマイケルジャクソンのドキュメンタリーフィルム。彼の死後に公開された映画は、当時中学生の自分も映画館に足を運んでこの目で観たのを覚えている。

そんな10年前のチケットがマイケルジャクソンの雑誌に挟んであるなんて、なんて粋なことをするんだろう。きっとこれをしおり代わりにしていたのかな? これを手放したのは一体、どこの誰なんだろう。ブックオフで働いたこともないし、何かを売りに出したこともないけど検品などはしてないのだろうか。はたまた、粋な店員さんがいてこれを見逃したのだろうか。

ただ手に取って開いただけで、こんなドラマが待っているとは。平日の何もない日だったけれど、小さな出来事でちょっと幸せな気持ちになった。だからブックオフは好きだ。


とある日のできごと


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