日本発カレッジフットボール観戦ガイド
アメリカにカレッジフットボールを見にいこう!
カレッジフットボールにはアメリカンフットボールの真髄が詰まっています。ファンの熱量は桁違いで、NFLとは異なった狂信的なファンたち。まさに宗教と言っても良いですし、アメリカのカルチャーだなぁとも感じるのです。
筆者は2017年の年末からカレッジフットボールのプレーオフを巡っており、コロナ期間中は訪問できずも5回異なる都市に訪問しています。カレッジフットボールのプレーオフではNew Year's Sixと呼ばれる、特に格式高い6つのボウルゲームがプレーオフの準決勝に選ばれています。そのボウルゲームをすべてプレーオフの準決勝として見て、その後に全米王者決定戦を観に行くというプランを7年かけて実行中です。
基本的にカレッジフットボールの試合は、開幕戦やカンファレンスチャンピオンシップなどの大きな試合でない限り、大学のキャンパス内にあるスタジアムで行われるのが基本です。フットボールで有名な大学のキャンパスは、基本的には大都市のそばにはないので、日本からでは行くのに結構苦労することが多いですし、本当にやることが大学見学しかない。しかもシーズンは9-11月終盤に開催されているので、そもそも忙しい人も多いかもしれません。
ところがカレッジフットボールのシーズン終了後に開催されるボウルゲームは年末年始開催となっていて、今年からはその中でも特にアツいプレーオフが拡大されて観に行くチャンスが増えています。今年は12/20-21にプレーオフ初戦、12/31-1/1に準々決勝、1/9-10に準決勝、そして1/20に決勝です。さらに準々決勝以降で開催している都市も、パサディナ(ロサンゼルス)、フェニックス、マイアミ、ダラス、ニューオリンズ、アトランタと聞いたことある地名ばかり。日本からのアクセスも良いのです。これは行くしかありませんね。
なお、プレーオフでないボウルゲームでも、ヤンキースタジアムで開催されたり、NFLの各スタジアムで開催されたりと、これまた行きやすいのです。
実は昨年にXで観戦ガイドが欲しいという声を聞いたのですが、結局書く時間がなく。遂に書く時間ができたので誰でも行けるカレッジフットボール ボウルゲームの観戦ガイドを残します。年末はぜひアメリカに行きましょう!(ちなみにNFL観戦にも転用できる内容です)
行く試合を決める
どのボウルゲームに行くか?私はプレーオフのゲームを推したいです。なぜなら盛り上がりと雰囲気が異次元だから!とはいえ、どうせアメリカに行くならNFLと合わせたい気持ちもあるかもしれません。
【異次元の盛り上がりの例】
とはいえ、他の大都市でもボウルゲーム(少し盛り上がりにはかける)はやっています。また、後述しますが、チケットの価格はプレーオフとなると格段に上がります。
以下のようなリンクを参照しながらまずは行く場所を決めましょう。
でもこれだけ試合があるとどのボウルゲームに行けば良いかわからないとなるかもしれません。そのようなときは次の言葉を覚えましょう。
「日程が後ろのボウルゲームほど強いチームが出てくる」
カレッジフットボールにはどのチームにもドラフト候補生は存在しますが、強いチームであればあるほどドラフト候補生も多い。ということで、強いチームの試合に行くことで、将来自分の推しNFLチームで活躍するかもしれない未来のスターに会える可能性が多いのです。
航空券を取る
さて、行くボウルゲームを決めました。次にやるべきことは航空券を取ることです。残念ながらお正月を挟んだ年末年始の航空券は値段がとても高い。もちろんお金がたくさんあればここをケチる必要はないですが、試合のチケットも(特にプレーオフは)同じく高い。そしてホテル価格もアメリカ全体で日本円基準でとてつもなく上がっている。ということで、ここでは私が実践しているなるべく安くアメリカに行く方法をお伝えします。
「アメリカまでの渡航はZIPAIRがおすすめ!」
ZIPAIRというのはJAL系列の格安航空会社。イメージはLCCとフルキャリアの合の子という感じです。このZIPAIR、なんとロサンゼルス・サンフランシスコ・サンノゼへ直行便を飛ばしています。
特徴は何よりも安さ。LCCなのでお金を払わなければ機内食はありませんし、飲み物サービスも座席のスクリーンもありません。しかし、乗り心地は正直アメリカン航空やユナイテッド航空と大差ないです。コスパ最強です。というか最近の日本発の航空券が高すぎる。
一度アメリカに行ってしまえばアメリカのLCCで国内線は賄えますし、アメリカのフルキャリアでもそこまで高くない(荷物預入は必要ですが)。ということで、今現在最もお得な方法はまずは日本からアメリカにZIPAIRを使って入国することです。
ちなみに場合によっては以下の方法も安くなる可能性はあるので一応記しておきます。
中国や韓国を経由する
大阪など他の都市からアメリカに飛ぶ
とにかく安くなることを願って待ちまくる
クリスマス頃に入国したり、成人の日後にアメリカ出国をする
なお、ZIPAIRのロサンゼルス便の難点がひとつあります。それは日本時間の14:40発で、現地の同日朝8:30に着くこと。14:40に乗って本来なら睡眠をしたいところですが、こんな昼間からは寝れない!なのに現地に着いたら朝なのでまだ丸一日ある。初日からハードモードになる可能性があります。ここさえクリアすれば完璧なんですよね。
チケットを取る
せっかくアメリカに行ってもカレッジフットボールのチケットがないと話になりません。はじめてアメリカに行く方だと、現地のチケットを手に入れるのはすごく難しそうだと思うかもしれませんが、とても簡単です。
転売サイト(チケットサイト)を使いましょう。アメリカでは日本と異なりチケット転売上等の国。良いですね。資本主義で、金のない奴は黙ってろのスタンスです。
以下が私がお世話になってるチケットサイトです。
Vivid Seats
Ticketmaster
StubHub
いずれのサイトも日本基準だと、チケット代金に上乗せされる手数料が鬼高いですが、安心してチケットを購入できます。チケットがオンラインで届かなかったや入れなかったという万が一の補償もしっかりしてると思います。
ちなみに、夏頃にプレーオフのゲームが公式のチケット販売をしますが、これは慣れてても難しいくらい競争率が高いですし、全米からアクセスが集中してそもそもサイトに入れないということも。正規の値段で買うのは諦めて、上記のサイトで好きな位置の席を買いましょう。
チケットはいつ買うか
チケットを買うタイミングも大事です。これにより料金が$100以上上がったり、下がったり。個人的な経験から以下をおすすめします。
1. ボウルゲームの対戦カードが発表される前(9-11月ごろ)
2. ボウルゲームの試合2-3日前
ボウルゲームの対戦カードが発表される前(9-11月ごろ)
ボウルゲームの対戦カードが決まるのはカレッジフットボールのレギュラーシーズンが終了した後の12月初旬。つまり、実際にプレーする大学のファンは基本的にはその瞬間までチケットを買えないのです。カレッジフットボールのプレーオフの場合は、対戦カードが発表されてしまったら価格が高騰するので、その前に買っておくのが吉です。
ボウルゲームの試合当日-3日前
試合直前のチケット購入もおすすめです。前述したようにアメリカでは転売が横行しているので、「チケットが売れない」ことを避けたい販売主もいます。ということで、試合直前になってもチケットが余っていると、何としてでも売りたいとビビってくる販売主が出てきます。ここが我々のチャンスです。リスクとしては、買ったのにチケットが届かないということはあるかもしれません。私は今までに経験はないですが、その可能性もあるのでご注意を。
2023年に行ったRose Bowl(プレーオフではない)は手数料込み$360でエンドゾーンのほぼ最前列で観戦したのですが、隣に座ってたPenn Stateファンのカップルが試合当日の朝に$100で買ったと言ってたので、こんなに安くなるのかとびっくりした記憶があります。
チケットの価格
チケットの価格の話をしたので、この流れで実際にチケットがいくらくらいするのかという話もします。
結論から言うとチケットの価格の高低は試合=需要によります。ガラガラになるようなボウルゲームなら一番上の席だったら$10くらいで見れます。また、プレーオフの試合だったら最安でも$150くらいはするでしょう。
また、席によっても価格の高低は大きく異なります。アメリカでは座席の区画が大まかに分かれていて、100番台のブロック、200番台のブロック、300番台…などと百の位が小さくなればなるほど、フィールドに近い席になり、価格もまた高くなります。
そして、サイドライン裏の席、エンドゾーン裏の席によっても価格は異なります。最も高いのはサイドライン50-yd付近の席。中継でカメラが置いてあるような画角の席ですね。そこからエンドゾーンに向かうに連れて安くなります。そして、エンドゾーンの裏側の席はさらに安いのです。
つまり、最も高いのは100番台のサイドラインの50-yd付近の最前列で、最も安いのは400とか500番台のエンドゾーン裏の一番上の席となっています。とはいえ、どの価格で売るかは販売者に委ねられているので、基本的に以上のようなルールはあっても、実際の価格は少し異なったりします。そういう中でいかにお得な席を見つけるのかもゲーム感覚で面白いですね。
ちなみに、私の直近の試合のチケットでは、今年のプレーオフのSugar Bowlの席(100番台 8列目 15-yd付近: 3日前購入)が手数料込みで$580。
その前年度のプレーオフのPeach Bowlの席(100番台 5列目 5-yd付近: 1ヶ月前購入)が手数料込みで$1,030でした。
ちなみに、直近で行ったプレーオフ以外の試合は2年前のRose Bowlですが、このときは先ほど言ったようにエンドゾーン側のほぼ最前列で$360でした。
結構な価格を支払っていますが、これでも日々チェックした個人的に許容範囲内の価格で買っております。プレーオフに行こうとしてる方の参考になると幸いです。
どこの席に座るべきか
東京ドームや横浜スタジアムでアメフトの試合を観たことある方は、意外と上の方の席でも試合がしっかり見えると思ったことがあるかもしれません。
ただ、個人的には100番台で見るのをおすすめします!臨場感が桁違いで、選手のスピードや技術をより感じられるのが100番台の席。もちろん、スタジアムのめっちゃ上の方でも試合は観れますが、せっかく日本から行くのなら、試合を観るだけではなく、臨場感やファンの狂気、プレーの迫力を同時に味わうのをおすすめします。試合を観るだけという観点なら、テレビで観た方が面白いですからね。
サイドライン裏で比較的安めのエンドゾーン近くなら、タッチダウンの瞬間をしっかりと捉えることができますし、試合前の練習でも周りに誰もいない状態で選手のテクニックとスピードを独り占め。選手の出入り口付近だったら、試合終了後に選手のグローブなどのアメフト用品をもらえることも。エンドゾーン裏だったら、片側のタッチダウンの瞬間はよく見れますし、独走TDで向かってくる選手を観るとかっこよすぎて痺れます。マーチングバンドが近くになる可能性もありますね。
もし、お金に余裕があるのでしたら、50-yd付近に座って、臨場感と試合の楽しさを両立するのも良いでしょう。私はやったことありませんが、最も試合を観戦するのに適していそうです。
宿を予約する
アメリカに行ったのに泊まる場所がなかったら最悪ですよね。宿の考え方は人によって異なるので、本当に一概には言えませんが、確実に言えるのはアメリカのホテルは激高です。「え、こんなオンボロホテルが$150?」みたいなことも良くあります。特に年末年始の価格はひどいです。
そんな中でいかに安い値段で良い思いをするのかは永遠の課題ですね。
個人的には交通の便が良い場所(できればダウンタウン)で宿を探すことが多いです。理由はタクシーをなるべく使いたくないから。しかし、当然ダウンタウンは高い。
そんなときには、ダウンタウンにあるゲストハウスに泊まることが多いです。ゲストハウスではプライベートの空間はほぼないですが、周りは旅慣れてる人も多く、私の経験だと意外と治安も良い。貴重品は常に身につけるか、ロッカーに鍵をかけておけばそこまで心配ないでしょう。ダウンタウンでも下手したら1泊1万円くらいしてしまいますが、安さは最強です。
ホテルに関してはとにかく予約サイトとGoogleマップの「レビュー」が大事です。両方高ければ問題なし、どちらかが低かったり、どちらかのレビュー数が極めて少ない場合は少し注意、両方低い場所はいかに良さそうなホテルでも避けた方が無難です。予約サイトはどこでも良いでしょう。私はBooking.comを使うことが多いです。
また、ホテルで贅沢したいけどお金は使いたくないというときはクレカのマリオットボンヴォイアメックスで貯めたポイントを使うのはオススメです。ドル払いするよりも、ポイントで消費することで、結構お得に泊まれる感が出てきます。マリオットは国内の価格が高騰しているので、海外でポイント消費するのがお得ですね。私はここに紹介リンクを貼ったりしませんが、紹介してほしい方がいましたらいつでもご紹介可能です!
他にはAirbnbを使うのもおすすめです。こちらは当たり外れは多いですし、場合によっては結構危ない場所にあったりするので、Airbnbでもレビュー数が多い物件を選ぶのが重要です。
現地での交通手段
国際免許を取って車を借りるという方は、頑張って運転してください。州によって法律が異なるので、しっかり予習してから車に乗りましょう。一方でほとんどの旅行者が車を借りないかと思います。今回は公共交通機関とライドシェアを活用するというお話をします。
まずは空港からダウンタウンまでの交通。大都市では多くの場合で電車が走っているので多く考える必要はないでしょう。めっちゃ楽で安いです。そうでなくてもバスが何本も出ています。この辺りを使えば格安でダウンタウンまでは行けます。
UberやLyftのライドシェアも空港からも使えます(ライドシェア用の乗り場が空港にあります)。昔はタクシーよりも安く乗れるというのが売りだったライドシェアですが、今は結構高いというのが印象。それでも長旅の後にゆっくり移動できますし、宿まで直接行けるので、その辺りの利点を取りたい方にはおすすめです。アプリを入れておいて損はないでしょう。
次にスタジアムまでの移動も紹介します。
スタジアムの位置は街によってバラバラです。ニューオリンズやアトランタのようにダウンタウンのメインエリアから徒歩圏内にスタジアムがある町もあれば、マイアミのようにダウンタウンからかなり遠いエリアにある街もあります。なので、本当に場所によるとしか言えませんが、なるべくなら公共交通機関を使って行きたいですね。ライドシェアを使うのは行きに関しては良いのですが、帰りが大変すぎます。ライドシェアの数が少なく、需要が高いのでシステムの仕組み上バカ高い値段が請求されます。それでいて、駐車場を出るのに時間がかかるので、とにかく難易度が高いです。
やはりベストは電車と徒歩で行ける場所ですね。
バスに関しては、個人的にはおすすめしません。スタジアム直行となっているなら別ですが、路線バスに乗る場合は、どこで降りるのか、そもそもどうやって乗るのか、お金はどうするのかなどむずすぎます。日本と同じです。仮に乗るバスが違っていても気づくのは困難ですし、普通に心配になるようなお客さんが乗っていることもあるので、ウキウキ旅行者は乗る必要はないでしょう。
現地での通信手段
現地での通信手段は以下の4つが主です。
日本からWi-Fiを借りていく
現地または日本でSIMカードを買う
何もしなくても現地でそのまま使えるキャリアを使う
フリーWi-Fiのみを利用する
いわゆる一般的な旅行客は日本からWi-Fiを借りていくことが多いと思います。これによって自分の電話番号を使いながら常にインターネットにアクセスできます。ただ、値段がめちゃ高い。使っていない飛行機に乗ってる時間の分も払わなきゃならないので、大体1-2万円くらいはかかる印象です。その上に通信制限がある場合が多い。あとデバイスをなくしたら終わります。プロコン両方ありますね。
SIMカードを買うと、Wi-Fiよりも安く料金を抑えられます。ただ、他社SIMカードを入れられるSIMフリースマホにあらかじめ設定してもらう必要があるかもしれません。こちらももちろん通信制限はあります。そして、SIMが変わることで電話番号も変わるので、電話認証ができなくなる罠もあったりします。
そこでおすすめなのがそもそも現地でそのまま使えるキャリアを日本でも使っておく。です。これは私がやっていることですが、ソフトバンクはアメリカ放題というプランがありますし、ahamoは何もしなくても追加料金なしで海外で20GBまで使えます。ここ2年くらいはahamoを使っていますが、海外では不便なく使えるのでとても良いです。(日本では都心では繋がらないことがありますが)
フリーWi-Fiのみを使うも、行けるといえば行けます。エキサイティングな旅には欠かせませんね。私も過去に一度挑戦しましたが、バスに乗っててどこに向かってるのか、自分がどこにいるのか分からなくなったときに、もうやめようと思いました。
お金の準備
アメリカは本当に現金がいらないので1ドルも持って行かなくても大丈夫です。前回の渡米のときには、現金を1セントも使いませんでした。(そもそも持って行かなかったです)
アメリカに一緒に行こう!
カレッジフットボールのカルチャーを味わってしまうと、その魅力にハマってしまうこと間違いありません。
この記事を読んで、ひとりでも多くの日本人がアメリカに行ってカレッジフットボールを観戦してくれたら嬉しいです。