柚木沙弥郎さんと私①
沙弥郎さん(の作品)に出会ったのは2018年、日本民藝館での個展。
ごく一般的に美術好きな両親に連れられて足を運んだ民藝館。
他の美術館とは風情の違う、床の軋む音も響くような木造建築。以前にも棟方志功かうつわか何かを観に行ったような気もするけど、忘れた。
恥ずかしながら柚木沙弥郎という染色家を私も両親もこの展示を観に行くまで知らなかった。芹沢銈介のこともこの前後どこかの文脈で知ったのだけれど、それも記憶が定かじゃない。
それでも柚木さんの作品は、そんな私たちを魅了するときめきとエナジーで溢れていた。
展覧会のタイトルでもある「もよう」と「色彩」に、柚木さんの人柄が表れているようだった。
売店で見つけた型染め和紙がかわいくて、色々悩んだ末お相撲さんの柄を買った。今でも額に入れて大切に飾っている。
それから暫く経って、インスタで沙弥郎さんの写真や作品を投稿しているアカウントを見つけた。お孫さんである丸山祐子さんのアカウント。
投稿を遡るかぎり2021年のことだと思う。そこで沙弥郎さんの近況や、展覧会の情報をタイムリーに得られるようになった。
そうして沙弥郎さんの作品をより身近に感じられるようになってから初めての展覧会が『life・LIFE展』。
自分の慣れ親しんだ街で開催してくれたのも嬉しかったし、沙弥郎さんの宝箱を覗き込めるようなこのディスプレイにどれだけ心躍らされたか。
そして圧巻の染色の数々。床に敷かれた砂の演出に見事にマッチしてた。どこからみても もよう、色。もよう、色。至福の空間だった。
沙弥郎さん99歳の頃の展示。
ここから100歳にむけて個展が続く。
島根の浜田市世界こども美術館で行われた『柚木沙弥郎の世界』はコロナ禍にて遠出を断念。今考えたら無理してでも行きたかったくらい、魅力溢れるロケーションと展示だった。
そして2022年、99歳の終わりから100歳のお誕生日にかけて行われた女子美の個展。
会期最終日前日ということもあって建物の外まで観覧客で溢れかえる大盛況ぶり。これがワンコインで観られるのだから本当に不思議。
中は染色はもちろん、女子美で教鞭をとられていた頃の指導の記録や絵画などもあり、まさに沙弥郎さんの100年の創造の軌跡が凝縮された展示だった。
冒頭のロングインタビューでジャムの瓶か何かを手に取り「これかわいいでしょ。好きになるのに理由なんてない、恋と一緒」みたいなこと仰ってたような気がしたのだけどアーカイブも無いし図録読み返しても載ってないから定かではない……要はワクワクする気持ちを大事にしたいよねということ。
お高めの型染めポストカード(色付けは一枚一枚異なるもの)を8枚くらいを買い込んで幸せな気持ちで帰った思い出。
注染してみたい、と結構本気で思ったけど女子美のアクセスの悪さに私絶対通えなくなるなー…と早々に諦めたのでした。人生3周くらいできるのならばやりたいけど、そんな生半可な志の者が手を出せるような世界ではないのでしょう……
続く
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