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水瀬いのりさんと”花”の軌跡
こんばんは。みやこと申します。
今回は、2015年12月2日に声優アーティストデビューを果たし、来たる2025年12月2日でアーティスト活動10周年を迎える水瀬いのりさんについて、とあるテーマに沿って記事を書いていきたいと思います。
既に公式では、これまでにおこなってきたライブ(ツアー)の音源が各種音楽配信サービスにて解禁されたり、FC会員限定のプレゼント企画が行われたりと、10周年をみんなで楽しみながら祝う催しが始動しています。
こういったムーブメントが起こっている中で、ファンの一員である自分も何かやりたいな~と思い、記事を書くことにしました。乗るしかないですもんね、このビッグウェーブに。
ほんで、何書くん??って考えてたんですけど、やっぱり楽曲の話に落ち着くんですわ、結局ね。いつもと変わらずやっていきますよ。改めて水瀬いのりさんの楽曲っていいよね~!をたくさん伝えていきたい。そして、10年も活動を続けてくれてありがとう!の気持ちをより一層膨らませたい。
それで、テーマなんですけど、こういう節目の時期だからこそ、やっぱり自分の好きな楽曲について書いていきたいと思うわけです。「え?ここで取り上げた楽曲以外は好きじゃないんですか?」と思ったそこのお前。うるさいですね。全部好きだけど、そのなかでも特に思い入れ深い楽曲は誰にでもあるでしょうよ。言葉狩りは黙っとれ――――
てなわけで、今回のテーマは”水瀬いのりと花”これで行きたいと思います。何を隠そう、僕の一番好きな水瀬いのりさんの楽曲は『Innocent flower』ですからね。初めに書くならこの作品しかないですよ。
というのも、せっかくの10周年なんで、何らかのテーマに沿って記事を書く、ということをシリーズものにして何本か投稿したいなとは現時点で考えているんですけど、なにせ筆が鈍足で評判の僕ですから、ちょっとまだどうなるかわかりません。それで最初に書くならテーマはこれかな、と。
僕は、水瀬いのりさんの楽曲を語るうえで”花”というものは欠かせないのではないかと考えています。なんなら今年のライブタイトルにも使われるかもしれない…!とさえ思っているほどです。なので、ここで改めて”花”が象徴的に描かれている楽曲を何曲かピックアップしながら、その意味について考え、名曲を振り返っていこうと思いました。
と、前置きはこれくらいにして、ささっと本題に移りたいと思います。
水瀬いのりさんと”花”の物語
水瀬いのりさんの1st(デビュー)シングルといえば『夢のつぼみ』。この楽曲からアーティスト活動は芽吹きました。その後、2ndシングル『harmony ribbon』、3rdシングル『Starry Wish』のリリースを経て生まれた1stアルバムの表題曲は『Innocent flower』です。『夢のつぼみ』と『Innocent flower』。この2曲は、1つの物語のようになっています。最初は夢を見るだけの小さなつぼみだったけど、みんなの応援で開花した。
当時、この意味を聞いて深く感動したことを今でも憶えています。今考えたらこうして歌詞に深く着目しながら楽曲を聴き始めたきっかけとなった2曲かもしれない。アーティストとして長い道のりを旅していく中で、生まれていくストーリーというか、たとえ別々の楽曲で直接的には交わらなくとも、部分的に互いが繋がって意味を帯びていくことがあるんだなって気づく機会になりました。
リリース当初こそ、「テーマをつくらないことがテーマ」(近藤隼人、『水瀬いのり”蕾が花咲いた”1stアルバムまでの道のり』、音楽ナタリー、2017年)だと言われていましたが、アルバムの枠を超えて大事にされているテーマが部分的とはいえ、”花”を象徴的に描いた楽曲なのではないかと考えます。
夢のつぼみから約10年、Innocent flowerから約8年という月日が経とうとしているところですが、未だ一貫して”花”の描写が大切にされているなと感じますし、この2曲からなる物語がどんどん広がっていってるのではないかと思います。
ここからはこの2曲を中心に花が描かれている楽曲の歌詞を引用して、それぞれの繋がりについて考えてみようと思います。
”花”が描かれた歌詞について
花が描かれている歌詞のうち、つながりがありそうな部分をもつ楽曲をリリース順にピックアップして、水瀬いのり楽曲と花の軌跡をたどっていこうと思います。
『夢のつぼみ』
小さなワクワク集まって希望に変わるよ
大きな夢のつぼみ抱え 走り抜けよう
今はつぼみだけど、大きい夢に向かってひたむきに走るという熱い歌詞。
純粋に夢を追う姿を描いた楽曲で、デビューシングルにふさわしいフレッシュさがあり、希望やこれからの期待に満ちた作品となっています。
大きな夢咲かせ 未来に虹をかけよう
つぼみの開花が夢の成就に喩えられている部分。夢を叶えて未来をカラフルに彩ろう!という明るく前向きな歌詞。ここがのちにリリースされる『Innocent flower』に繋がっていきます。後半部分は3rdアルバムの表題曲である『Catch the Rainbow!』にも通ずるような歌詞。すべてはこのつぼみから始まったんだなあ、と思わせてくれる楽曲。
『harmony ribbon』
後悔も 流した涙も 未来に蒔いた種
いつか花を 咲かそうよ 自分だけのその色で
「何だってなれる気がした」雨上がりの虹から始まるハモリには、ネガティブな感情もきっと自分の糧になる。自分という個性に満ちた花(≒目標、到達点)を咲かせようよという強いメッセージ性を感じます。自分の心を信じて進み続けた先に咲く花はどんな色になるんだろう。
『Starry Wish』
乗り越えてきた一つ一つ 夢のつぼみになる
この楽曲は『Innocent flower』の作曲も担当してくださっているKOUGAさんが作曲されており、nozomi*さんが描く力強さのある歌詞も特徴的です。
1番サビの歌詞「悲しみの記憶は勇気の種になる」との関連とも取れるが、「夢のつぼみ」という単語が入っているため、どうしてもデビュー曲とのつながりを意識してしまう部分。乗り越えてつぼみになるの、先ほどの『harmony ribbon』とも通づるような。
また、2番サビでは「愛する歓びは勇気の花になる」という部分を対比として、勇気の種が花開いている様子が描かれている。
後述する『フラーグム』にもあるように、アニメのタイアップ楽曲ではあるものの2番には他の楽曲との関連性を匂わせる歌詞が織り込まれている、とも考えられますね。
『Innocent flower』
冷たい風震えてたまだ小さなつぼみ 夢を見るだけで
入りから、小さなつぼみから始まった物語が転換を迎えることが示唆されているかのような歌詞。この楽曲から”花”が意識され始めたのか、はたまた『夢のつぼみ』の時から開花することは決まっていたのか、真実は分かりませんが、一人のファンとして見たときはやっぱりこの楽曲が誕生してから”花”が特別な概念になったような気がしています。
朝露で目醒めた 白い花びら ありがとうの言葉の代わりにね
穢れのないいのり 君に届くように咲かせるよ Innocent flower
このサビの歌詞は本当に芸術だと思っています。純真無垢な花(真っ白なInnocent flower)がここで咲いたのはもちろん、「ありがとう」をいつも伝えてくれたり、楽曲を通して想いを伝えてくれたりする、声優アーティストとしての水瀬いのりさんの人間性を映しています。名前も入ってるし。完成度高いですね。
振り返ればどんな時も ひとりぼっちじゃ なかったと知るよ
十人十色 君だけの色 ぎゅっと もっと ずっと 花束のように 抱いて
この歌詞は本当に芸術だと思っています(2回目)。ここの部分みんな好きなんじゃないかなあ!?
ハモリの「もうひとりじゃないから」も想起される。夢のつぼみ → harmony ribbon → Innocent flowerの流れ、希望持っていたけどどうにもならない夜とか、雨の日があって、それでも信じ続けた先に咲いた花って感じがして、とても好き。
あと『Innocent flower』は歌詞の中では白だけど、アルバムのジャケ写だと黄色なんですよね。リード曲の春空も意識されてるからかな?歌詞の中で花が白いのは、まだまだ何色にでも染まれるからじゃないんですかね。
水瀬いのり楽曲に出てくる「色」の描写もこの楽曲が先駆けなんじゃないかなと思う。だって毎回この色!って決めつけてるわけじゃないし。『My Graffiti』の「真っ白なあしたに 十二色の色鉛筆から一つを選んで線を引く」とかも。十人十色、君の色を咲かせてって精神が根底にありそう。
余談ですけど、この歌詞の部分聴くたびにStarry Wishesのシーン思い出して泣ける。
『ハートノイロ』
あぁ 君と笑った数だけ 新しい色が生まれた
綺麗な花に包まれ 心地よいあのメロディー
『Innocent flower』で締められたアルバムの次に出たアルバムの先頭曲でこの歌詞出てくるの良すぎませんか?しかもさあ!!「ねぇ ここがきっと帰る場所」の「ここ」って『Innocent flower』の「君に届くように 咲かせるよ 何度もここで」の「ここ」なんじゃねえの?俺バカだからわかんねえけどよ!
そういえば、この楽曲や『hamony ribbon』の「その笑顔は宝物」にもみられるように、「笑顔」も結構花が出てくる楽曲と一緒に描かれていますね。「色」の描写も、「君と笑った数だけ」とされていて、幅がもたされています。
『ココロはMerry-Go-Round』
流す涙 ほら 花束にして
目指せ(遥か)次元を超える世界
結構この歌詞読み取るの難しいので入れるか迷ったんですけど、「どんな傷だってエンブレムになる」とか、「信じた光を進め」とかちょくちょくイノフラやハモリの歌詞に通ずる部分あるよな…と思って入れました。
最後は「May your dreams come true(≒あなたの夢が叶いますように)」とも言っているので、夢のつぼみのエッセンスもある。
『Catch the Rainbow!』
ずっと探してた 自分を信じられる場所
もう 迷わないで ここにあるよ そっと微笑んだ 小さなつぼみ
明確な夢を語っていた過去の自分が、迷いのある今の自分に語り掛けるような、胸を打つ歌詞。
居場所となった「ここ」も「帰る場所」なのかも。
ラスサビにある「あの日夢見た 小さな憧れ しあわせ」という歌詞は逆に、夢のつぼみリリース当時へ想いを馳せているようにも聴こえます。
『glow』
スローモーションで舞う 花の季節は雨の色になり
おんなじに見えてた日も 早送りで進んでゆくよ
ずっと抱いていた花の色はいつしかネガティブな雨の色に。コロナ禍でのライブ中止やアーティスト活動の転換期における葛藤を表しているように聴こえます。でもこの『glow』というアルバムが水瀬さん自身がもつ悲しみの色を染め変えらえたのではないかな、とも思いますね。
早送りとは、進歩のない時間は中身もなく、すぐ過ぎてしまうことを示しているのでしょうか。
前に『glow』というアルバムは『Innocent flower』の頃への原点回帰なのではないか?と仮説を立てたことがありますが、ここの歌詞に着目すると、より一層そう思えてきますね。
『燈籠光柱』
朧いだ水面の月に 輪を描いて思い浮かべましょう
街の名を 花の名を 道の名を ひとつ、ふたつ、滔々と
燈籠を浮かべる情景が広がるような歌詞。いのり”まち”の名前、大切な”花”、そしてこれまで旅してきた道が象徴的に描かれている。
余談ですが、燈籠も花も故人に手向けられるものでもあるので、意味的にも自然ですよね、この歌詞。ちょっと道は未知だけど。
『フラーグム』
もらった愛をかえしたい つぼみは花開いて
一歩踏み出したら 世界は変わる
これもアニメタイアップと見せかけて、2番ではオタクの心を突き刺してきた歌詞。2番頭の歌詞も感動的なのです。
ありがとうの言葉の代わりに咲いた花、君のために咲いた花が、今度はもらった愛を返したいって…ありがとうを言うのはこっちのほうなのに…と泣ける歌詞です。
確か、作詞を担当してくださったカノエラナさんも過去曲を参考にしたっておっしゃってましたよね(ソース忘れました、すみません。)
『heart bookmark』
あの日、蕾が開きました 青い、海を目指し漕ぎ出し
いつか、虹の向こう 瞬く光見つけて
アーティスト活動10周年を前にして小休止、これまでの思い出を振り返るように栞を心に挟んだアルバムの表題曲の歌詞。
『夢のつぼみ』・『Innocent flower』と『BLUE COMPASS』、『Catch the Rainbow!』、そして『glow』と、これまでにリリースされたアルバムの表題曲を想起させる歌詞が差し込まれています。ここは初見泣いたなあ…
いつまでも”あの日”が心の木箱にしまわれているんだなあと感じます。
何度も楽曲提供をしてくださっている岩里祐穂さんだからこそ書けた歌詞なのかなと思ったりもします。『僕らは今』でも過去曲を匂わせる歌詞書いていたし。こういうの好きなので今後もよろしくお願いします。
小さなつぼみが開花してもたらしたもの
いかがだったでしょうか。
この約10年で数多くの楽曲をリリースしてきた水瀬さんですが、”花”が歌詞に出てくる楽曲は決して多くありませんでした。ここから推測するに、やっぱり特別な意味をもったワードなのかなと思います。
『夢のつぼみ』や『Innocent flower』から始まったこの物語が派生して、他の楽曲に大切な意味やメッセージを付与しているのではないかなとも思いました。
また、この2曲がここ数年ライブで歌われていないという点も気になります。やっぱり大事な曲だから、これまでは温存されていて披露される機会がなく、この節目の年、満を持して、記念すべき10周年ライブ(ツアー?)で歌われるのでは?と予想している人も多いことでしょう。もし今後歌われたら、会場にいる僕は大号泣してしまいそうです。
『夢のつぼみ』と『Innocent flower』。これらの楽曲が、水瀬いのりさんの10周年を素敵な色で彩ってくれることを祈っています。