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サブカル大蔵経962三谷幸喜・文/唐仁原教久・絵『俺はその夜多くのことを学んだ』(幻冬舎)
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を見ながら、脚本・三谷幸喜さんのこの〈絵本〉を初めて読んだ時のことを思い出していました。
1998年初版。24年前。自分がどんな状況だったか思い出せないが、本書を読んで非常に身につまされたことは覚えています。奥付にはさらに、〈本作品は、福武書店「海燕」1993年12月号臨時増刊「ドンキー・パーティー」に掲載されたものを加筆訂正し、再構成した〉と記されています。今は亡き出版社と文芸誌。それを再び世に出した幻冬舎。今は幻冬舎文庫に入っていますが、絶版のようです。
JAL機内誌の浅田次郎「つばさよつばさ」の挿画が大好きだったので、当時この唐仁原さんの絵に惹かれて買ったのかもしれません。
(魔の電話機。ダイヤルが、本書の物語を加速させる。)
本書のテーマは〈空回り〉と〈繰り返し〉なのですが、それを学べない人間の悲哀を愛する三谷さんのエグさと優しさ。この人間の哀しみが歴史を動かしてきたことをドラマで伝えられているような。新選組も、秀吉も、真田家も、坂東武士も。
「今日は楽しかったな」の一言がどうしても言いたかった。
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