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サブカル大蔵経939『富野由悠季の世界』(キネマ旬報社)
先日訪れた「富野由悠季の世界」があまりにもシンクロしたというか、自分の体験してきたものが全て外在化していて驚きました。脳みそがぶちまけられたような。ここまで富野御大に育てられてきたのかと。
ガンダムに至るまでにうなずき、ガンダムとイデオンに圧倒され、ザブングル・グラフィティ(生まれて初めて見たアニメ映画)とダンバインの湖川祭りに興奮した後、自分にとっての真打のゼータに、ダブルZ、ヴィクトリーで、本当に力尽きました。
この凄惨な戦いののち、作り手である富野自身も毒気に当てられたように消耗し、しばらく制作の現場を離れることとなる。p.311
ヴィクトリーの後、不調になった富野監督を追体験したような感覚にもなりました。カテ公おそるべし。
本展覧会における学芸員の熱情と解説文を記録したくて立派な図録を購入しました。富野インタビューも掲載されておトク。
コンテや設定資料集などが多い展示の中、安彦良和や湖川友謙の原画もサービスカットのように陳列されていました。この頃の安彦良和の絵は絵画だ。ルーブルに展示されていてもおかしくないと思いました。
私学連ポスターのデザインp.20
日大が富野を作った…。裏で体制側に繋がる自治会運動が富野アニメの善悪転倒に繋がっていた。これは予定調和を崩した猪木プロレスに近いと思う。勧善懲悪と予定調和を崩したプロレスとアニメが生まれた。猪木と富野。富野が二つ年上。
富野にとって高畑の最高傑作は、これらテレビアニメなのである。p.35
我が意を得たり。ジブリよりも三千里。2月からAmazon primeで世界名作劇場が見放題になりました。30年前、世界名作劇場の再放送を毎朝起きてビデオテープに録画していた自分に教えてあげたいニュースです。高橋・宮崎・富野のアンと三千里を浴びたい。
もし、シャアとの肉体関係のないララァなら、まずシャアに対する未練なぞ一瞬のうちに消滅して、アムロの同志となってしまうだろう。これでは41話のようなシーンは、生まれようがないのだ。ララァのシャアへのこだわりが、アムロと同化できない自分を発見して、彼女が自滅していかざるを得ないのだ。〈富野善幸『演出ノォト』(機動戦士ガンダム・記録全集2)より抜粋〉p.105
これを照らし当てたたキュレーターすごい。本作品展の中で一番驚きました。富野由悠季は作家なのか、演出家なのか。芸術家なのか、職人なのか。
骨格を強く意識してデザインされた湖川キャラp.142
湖川作品の展示品がほぼ「個人蔵」。やはり〈売った〉のか…?
一体、ザブングルって何なのだろう、というのが今日までの実感なのだ。p.173
富野の手を離れたザブングルキャラの何なのさパワー
ことに『密会』は、『機動戦士Vガンダム』(1993〜1994年)制作のあと心身の不調に苦しんだ富野が、p.238
あの豆本が富野復活の狼煙だったのか。
僕は父の轍を踏みたくないんです。p.249
Gレコを五部作の影に父の轍!
ハマーン・カーンって、言ってしまえば「SEXしたいんだけども男がいない」と思ってる人なんです。シャアに逃げられてしまって、周囲に頼れる人間がいない人だから。そういう性愛に絡むような衝動を内在させるキャラクターでなくては、物語にはならないんです。p.253
ハマーンとシャアのあの写真…。ハマーンが初めて可哀想に思えた。しかし、そんなことを考えながら作られていたのか…。富野恐るべし。それを浴びた私たちは幸せだし、こじらせたんだなと思いました。
男性社会に適合した優秀で健全な女性として描かれるが、結局はヘンケンと部下たちの死を招き、レコアの最後の言葉に動揺してコックピットを出たせいで致命傷を負うという末路は、男に伍して働く女への皮肉ともとれる。p.268
この文の学芸員もすごい。エマ・コンプレックスか?でも、そうでも考えないと、ヤザンにラーディッシュを堕とさせた理由が思いつかない。
中2のレベルでいえば宇宙について、かなりオタッキーでしたよ(笑)p.401
オタッキー!久しぶり聞いた!
「富野くん、画面に映ってるものはね、みんな意味があるんです」「はい」「好き勝手に山の手前に坂道を描いてもらっちゃ困るんです」「はい」p.406
そして高畑の自宅を訪ね、風景写真の写真集を見せてもらう富野。
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