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サブカル大蔵経804浅井建爾『道路のはなし』(ソフトバンクビジュアル新書)

今日葬儀だった父親は、長距離運転を厭わない人で、母の実家の京都と北海道をよく車で往復して、私が物心ついた時は車の後部座席で星を眺めたり、ドライブインで食事をしたり、フェリーに乗ったりと、思い出が多いです。

私が旅好きになったのも父の影響かもしれません。

自転車で日本一周して道に目覚めたという本書の著者ですが、私も自転車で北海道をまわって道の多様性に気付いたのですごく共感します。自動車では気づかない視点。

速度と思想。

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道路トンネルの数ランキング。1位大分県。2位北海道、…46位佐賀県、47位沖縄県。p.35大分の盆地とリアス式海岸。
北海道の面積の2.4%にすぎない大阪府が、あの広大な北海道より橋の延長距離が長いのです。p.39

 河口近くの大都市の橋の長さ。今までにない県比較データ。図解も親切。

特に道都の札幌市は、計画的に建設された都市ということもあって、歩道の設置率は79.1%という驚異的な高さです。p.59

 北海道は歩道が多いんだ。よく歩道が車道みたいに広いと言われるけど。

道路普及率が日本一高いのは東京都てはなく埼玉県。p.59

 埼玉幻想。東京が一位でない理由は幹線道路の多さと離島。埼玉の道を歩んでみたいです。

東京オリンピックが開催される前年の1963(昭和38)年7月、まず尼崎ー栗東(71.7km)が開通しました。p.83

 高速道路できて、まだ60年未満。

案内標識の地名表記の例。106系標識。国道6号線。東京67km(一番近い基準値)、柏37km(一番近い重要地(第一ランク))、取手28km(一番近い主要地(第2ランク))*遠い順に地名が表記されるp.130

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 この青い標識が大好きです。父の運転する助手席でいつも地図とこの標識を照らし合わせていました。この標識を見るために旅したいくらいです。この順番の意味を見てから、標識を見る楽しみが増えました。

日本で初めて「道」が世界遺産になった「熊野古道」。p.154

 道が保存される難しさ。

日本に初めて自動車が登場したのは、新橋ー横浜間に鉄道が開通してから30年近く経ってからのことです。p.179

 未整備の道路より、大量輸送のための鉄道方針。日本にとって道路とは。そして鉄道発展の理由は、人より物を運ぶためか。

もしそこに道路がなかったら、ということを考えてみてください。私たちはどこへ行くこともできません。社会生活は1日たりとも機能しないのです。それに気づいていない人が多いような気がします。p.188

 外に出ない生活が続くと、道路の存在も薄れゆくのでしょうか。



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永江雅邦
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