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サブカル大蔵経274坂口恭平『徘徊タクシー』(新潮文庫)
現代の菩薩のひとり、坂口恭平さん作品。初読時、意味がわからなくて飛ばし読みしてしまいましたが、今回再読して、その迫りくる展開に、久しぶりに〈物語に出会った〉という感じがしました。
坂口さんの嵐のようなTwitterを読むのとはまた違う感覚で、その老人と向き合う姿に通底した博愛を感じる小説でした。
「ヤマグチって何のことだろう」p.62
タクシーの可能性。乗り物という存在。これ実は〈大乗〉という乗り物の示顕か?
「実はボケ老人なんて1人もいないのではないか?」p.79
残らず救う。坂口さんが自殺者ゼロに取り組んでいる「いのっちの電話」の活動に繋がってくる。
「はじめてのお客がタンポポでした。今から天国まで連れて行こうと思います」p.117
この刹那的で如来的なストーリー。
言葉を使って書く行為は、「結局同じことだよね」を確認する結果をもたらす。メディアの言葉が、だんだんと退屈になる理由もそこです。それと全く違うのが自然です。(巻末対談での養老孟司さん)p.198
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