サブカル大蔵経317諸星大二郎/佐藤健寿『世界伝奇行パプワニューギニア・マッドメン編』(河出書房新社)
今日11月12日夜、Eテレの「漫勉」に登場される諸星大二郎先生。
本書で代表作のひとつである『マッドメン』の舞台パプワニューギニアを訪れる諸星先生は、道中、カメラマンの佐藤健寿も驚く元気さ。とにかく何でも食べるその姿に、『栞と紙魚子』のクトルーちゃんを思い出しました(*゚▽゚*)テケリ・リ!
水木しげると諸星大二郎。同じパプワニューギニアを題材にしても、ラバウルかアサロか、その地域で仮面は変わる。水木がよく描いたのはラバウルの原住民バイニング族のファイアーダンスやトーライ族のキナバイ。マッドメンはパフワニューギニアの中でもマイナーな存在なのかもしれない。それにしても、水木しげる先生もパプワニューギニアを訪れた時は同行者たちが疲労するのに対してひとり異様に精力的でした。パプワニューギニアは漫画家を若返りさせるのだろうか?
本書は諸星&佐藤の紀行日誌とイラストと写真、細野晴臣、萩尾望都、高橋留美子との対談、新作マッドメン、そしてパプワニューギニアのガイド本としても読める稀に見る贅沢な作りの大きな本でした。
最後は「モロ☆」のサインを描いて渡した。p.59
現地の子供に似顔絵とサイン!川でも森でも車上でも蚊の中でもどんな状況でも常にスケッチする諸星先生。びっくりしたのは、デッサンが作品よりも本格的なタッチで細かいということ。そのデッサンをモチーフにした新作が本書の後半に!その漫画の中で呑みまくって現地で逮捕までされる編集者の〈赤澤女史〉は本書の巻末に記載されている河出の編集者の〈穴沢優子〉さんですよね…?
諸星「あと、10月のギムナジウムでしたっけ」萩尾「11月〜ですね」諸星「ああ、1ヵ月間違えた」p.111
萩尾望都との対談。細野晴臣も萩尾望都も諸星大二郎の製作過程に興味しんしん。高橋留美子は畏敬の眼差しといった感じで、逆に諸星がリードする感じでした。
第二次世界大戦では、15万人の日本人将兵が亡くなり、現地の人々にも多くの犠牲を強いました。p.202
ご門徒さんが現地を何度も慰霊に訪れていて、お話を伺ったことがあります。現地の道端の八百屋さんの果物がとてもきれいな陳列だった。なんとなく日本より下に見ていた自分が恥ずかしい。美的感覚は向こうの方が優れているのでは?との話が印象深いです。そのご門徒さんにこの本を持参したら喜んでくれました。