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サブカル大蔵経757刈部山本『東京ラーメン系譜学』(辰巳出版)
暑い中、本書を読んでいると、身体がベタベタしてくる感じです。しかし食べたい!
〈ホープ軒〉〈環七〉〈つけ麺〉〈屋台〉北海道には馴染みのない、向こう側のラーメンおとぎ話。文春ビジュアル文庫で、名前だけは30年前から知っていたお店と用語たち。
そのレジェンドたちの歴史と現在。貴重すぎるインタビューに、取材写真も満載。ガイド本としても使えるし、コラムもそれを拡げたら一冊になるほどのサービス満点。
刈部山本さんの、今までの紀行本も好きでしたが、本書は文化人類学の学術書といってもいい画期な本。刈部さんの過剰さは、もともとこちらの形が合っていたのではと思うくらい丁寧で偏執で圧巻。
二郎系や家系との関連性や、ラーメンそのものの秘密にも迫る一冊。
やはりひと時代前の人たちは魅力的です。
しかし、本当に昔ながらのラーメンとは、鶏ガラで、あっさりとした醤油ラーメンなのだろうか?p.4
すべての常識を捨てて。ラーメンとは?
しかし、時代とともにロードサイド文化が廃れていく。p.14
北海道はどうだろう。ギリギリあるか。
【吉祥寺ホープ軒本舗】ここのカウンターが異様に落ち着くことにある。p.15
はげた木のカウンターと屋台の名残り。これはもう考古学ですよ。
【千駄ヶ谷ホープ軒】牛久保の背脂ラーメンを"邪道"としていやがられることもあった。「それは中華料理の理論なんだよ」p.21
ラーメンの黎明期をここまで文字化したのは衒学ではなく、すべてのスタートと思えました。ここから始まる。そして、北海道も九州も地方それぞれあるだろうなと。
【村山ホープ軒】「唐辛子を入れたのは私が東京で初めて。/ラーメンにニンニクを入れたのも私が最初ですよ」p.30
【代々木上原大勝軒】「もりそばの中華版ということで。ウチのオヤジが日本そば出身だから、つけそばと。」p.38
山岸一雄氏の師匠にあたる坂口正安氏のご子息・坂口光男・丸長のれん会。丸長→中野大勝軒→代々木上原大勝軒・東池袋大勝軒。
【大山 丸鶏】「そのほとんどが長野県人なの。」p.47
中央線沿いのラーメン店と長野県人会
【札幌ラーメン どさん子】短期間で1000店舗を超えp.66
北海道にはないどさん子。
【ラーメンショップ】不死身のロードサイドチェーンp.74
著者の十八番。
家系が基本はラーメンショップの系統にあるラーメンと見て取れる。p.96
取材拒否の家系とラーショのつながりをコラムでひもといていく。吉村家創業者とラーショ。製麺会社。赤いカウンター。
【らーめん弁慶】でも牛久保さんのスタイルが好きなんですよ。牛久保さんの生き方。/「堀切五丁目から綾瀬に向かって弁慶渋滞が始まっております」なんて言うの。p.112.109
牛久保さんを讃える西川さんがカッコいいし、弁慶のギタラーメン 食べたい!
【御天 井草本店」長浜でも、ちゃんとスープを取っているところは赤茶色を帯びる。p.124
とんこつスープの本質が描かれる。
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