サブカル大蔵経735佐藤信之『鉄道と政治』(中公新書)
政治に利用された鉄道の日本史。
衆院長崎1区に安倍前首相の秘書が出馬することになったとの西日本新聞の記事を読みました。
地元の県連の証言では、新幹線のフル規格の為にも中央とパイプが太い方がいいと。何か懐かしい香ばしさを感じました。
本書でも冒頭から取り上げられています。
いまや、政治家は一生懸命に新幹線の整備に取り組むものの、住民は必ずしも新幹線を望んでいないという、住民と政治家のミスマッチが生じてきたようである。p.3
著者の佐藤さんは、交通出版社の新書でJR北海道の問題点を提示されていた方です。
本書は日本の政治史や政党史にも枚数を割いていました。
JRが非常に工事を急いでおり、計画が煮詰まらない段階で議論を終わらざるを得なかった。p.34
中央リニア
明治時代、地域鉄道は、神社仏閣を目的地に建設された。p.82
成田山新勝寺の京成、川崎大師の京急
政友会の中には「今日自動車が段々進歩発達して来る時に、こういう短距離の鉄道を造ることは、鉄道建設の上において甚だ不得策であって寧ろ危険なことだと考えます」p.108
大正11年ですでにこの発想が。
かくして岐阜羽島駅の駅前に大野伴睦の銅像が立つことになった。p.165
最短ルートにするため、岐阜駅にも大垣駅にも止まらない仲介をした地元の有力者、大野伴睦。新幹線に捨てられた岐阜。
全国でも特異な都市である。p.248
万葉線、ライトレール、セントラム。今日、富山が故郷のご門徒さんに聞いたら、帰るたびに新しい鉄道ができていて、ハイカラでヨーロッパみたいな街みたいだと。富山行きたい!
JR東日本が、小出しに地元に有利な条件を出してくるので、待てばもっと引き出せると欲が出たのであろう。p.290
山田線と三陸鉄道の差。『さんてつ』でも、原武史さんの文章でもあらわになるJRの体質。