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サブカル大蔵経1石弘之『感染症の世界史』(角川ソフィア文庫)

2020年に入ってからほぼ毎日、蔵書の再読を苦行のように課しています。具体的な作業としては、本に貼った付箋部分の文章をスマホの読書アプリ「ビブリア」に入力しています。いわゆる抜き書きです。それに感想を付け加えています。今800冊くらいになりました。期せずしてさまざまな本や著者の思いを浴び続けることになりました。

 なぜ、本を読むのか。私は僧侶なのですが、現在、仏教がどこにあるかを探しています。宗派的な文脈や人脈や現場よりも、僧侶や学者以外の仏教書以外の書籍に隠れているのを捜したい、たった一行でもそれを発掘できればラッキーと思っています。いや、実は、そういうところに本当の仏教の真髄、宝があるのではないかとの妄念を持ちながらページをめくり続け、シャッターを押すように付箋を貼り続けています。

 その結果、今、自分の中にいろんな著者が入り込んでいます。何か話そうと思うと、つい、読んだ本のエピソード・紹介ばかりになってしまう気がします。そして、たいがいうまく伝えられません。幾分大袈裟ですが、なんか本に身体が乗っ取られた感じがしています。いつの間にか、仏教という枠組みすら薄れていきます。

 Zガンダムのラスト、カミーユがシロッコを倒す直前、フォウやロザミアがカミーユの背後霊のように現れて喋るシーンがあります。私は、カミーユはあの人たちの力を借りてシロッコを倒したのだと捉えていました。しかし、今、感じています。カミーユは、乗っ取られたのではないかと。ロザミアたちはカミーユを助けたのではなく、カミーユを乗っ取ったのです。そしてシロッコを倒させた。そしてカミーユは、以前のカミーユには戻れなくなつた。

 ここまで書いて、今のエピソードとウィルスを結びつけようとしている自分がいます。ウィルスとは何か、それは死や病は付随するもので、根本は、寄生した相手を動かす力、はたらきの要因となるものです。

石弘行『感染症の世界史』(角川ソフィア文庫.p.150)「ディクロコエリウムという槍型吸虫がアリに寄生すると、普段は葉の陰に隠れているアリが、葉の先端などの目立つ場所に移動するように行動が変わる。すると牛や羊が葉もろともアリを食べることで、寄生虫は宿主を動物に乗り換えて繁殖することができる。」

 主客が転倒する、極少と極大が入れ替わる、自と他が、因と縁があやふやになる。それが、ウィルスや微生物の世界を知ることだと思います。これは人類の宗教や思想史の永遠のテーマであります。人間とは何か、を考えざるを得ない地点に今私達は来ているのかもしれません。とこじつけたところで、トリハイが醒めてきて力尽きました。とりあえず投稿いたします。

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永江雅邦
本を買って読みます。