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サブカル大蔵経16 簑原俊洋『アメリカの排日運動と日米関係』(朝日新聞出版)

 まさかカリフォルニア州って、そういうとこだったんだ。と、思いました。

 なんとなくリベラルで、自由に寛容なイメージだったんですが。

 組合労働党がかねてから日本人移民の排斥を度々呼びかけていた。p.26
 ローズヴェルトはサンフランシスコ市長に「日本人移民の排斥に関しては、わたしも同感である。しかし、日本人移民の感情を害さない方法をもってこれを排斥することも可能であろう。p.41

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「日本人移民が地元民を圧迫している」という言説が政治的文脈で使用され、いつの間にか事実として定着していく。昔も今もどこの世界でもあるなのかもしれないが、太平洋の向こう側で日本人が排斥されていった歴史はなぜあまり伝えられていないのだろう。

 「カリフォルニアを白く保とう!」(keep California white!)のスローガンの民主党が議席数大幅に伸ばす。p.59

"キープホワイト"って、洗濯石鹸の宣伝みたい。

 元サンフランシスコ市長で連邦上院議員のフィーランは、日本人移民に対し、「する賢くて危険であり、黒人と同じように扱うことはまず不可能であるから彼らを排斥しなければならない。」p.116

 白人から見た、黒人と日本人。区別をして、レッテルを貼る。恐怖心が起こす差別の乱れ打ち。これが選挙で一番効いた。ずる賢い日本人として政党の選挙に利用された。

 しかし、私も似たようなことをしてないか?今もいろいろな地域や民族に対して。白人、黒人、アジア、都会、田舎。知識があると思っている馬鹿の方が手に負えない。それは本を読み続ける自分のことだ。

 マツケラー議員は、豹変凄まじく、「カリフォルニアの白人人種の希望と願いは、尊重されなければならない」p.200

 豹変する政治家の言説。それは他人事ではなく、コロナウィルス影響下の自分がたどる道かもしれません。

 出口王仁三郎、排日移民法の成立を「孤立していく日本」の象徴と捉え、「わが同胞のために新植民地でも造っておかねば、わが同胞は滅ぶよりほかはない」という危機感のもと、蒙古における「理想的宗教王国」の建国計画を精力的に推進。出口、蘇峰、松岡らのアジア団結、大陸進出正当化。p.286

 大本の出口王仁三郎のアンテナはここまで届いていたのか。道内でも富良野市郊外の山部にある理由。これはイエズス会的発想なのか?

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永江雅邦
本を買って読みます。