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サブカル大蔵経27 施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』⑤(一迅社)
名作感に満ちた5巻。読書家あるあるを保ちつつも、人物たちが深みを増す中で、セリフが嫌味なく絶妙のタイミングで交わされていく。
人と人の間に本が媒介しないと話せない人たちを描くが、密室の図書室でその本たちがとりもつ人間関係は限りなく優しい。
「もう少しだけ下巻を求められる喜びに浸らせてください。」p.22
「…この小説、正直傑作だと思ってるんだけど…今読み終わったばっかだからそういうテンションになっているだけで、一晩経ったら『そこまでじゃないか…』って変わりそうで、絶賛するのに抵抗あるんだよね…。」
「わかるわかる。うっかり過大評価して後で端書いたりすることあるからね。」
「明日になって今の感動が失われるとしたら、なおさら今のうちに言葉にしとくべきだろ。後で恥かくとか気にしてたら、誰かが評価したものしか評価できない人間になるぞ。」p.38
「ハリポタ読まずにダレン・シャンにハマるっていうのが読書家あるあるなの⁉︎そーいうのどこで教えてもらうの⁉︎」p.55
「読まなきゃいけない本なんて本来はないんだから、読みたい時に読みたい本を読めばいいだろ。」「た…確かにどんな本も読む読まないは自由…!本は強制されないからいいんだ‼︎」p.68
「みんなで感想を共有すると『これは私のためだけに書かれた本だ!』と言う例の勘違いができにくくなりますね!」p.113
「マスクでバレないよ。」p.130
最後、飴を食べるシーン、よくこんな笑顔が描けるなとびっくりした。漫画史に残る笑顔。それは作者の画力プラス、2011年から始まったド嬢を読者が見守ってきた共同体験が創った笑顔か?
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