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サブカル大蔵経452森まゆみ『東京ひがし案内』(ちくま文庫)
地域誌「谷根千」を通してその後の東京ブームに多大な影響を与えた森まゆみさん。派手な街でなくてもそれぞれの歴史と人がいる素敵な地域を掘り起こしました。
私は初めて東京に行った時、弥生美術館、言問団子、谷中銀座、シンスケと、あの界隈をまず歩きました。
今は東京に行ったら呑み屋本を参考に居酒屋を巡ることが多いですが、当初は池波正太郎、ダンチュウ、文春文庫のB級グルメシリーズをネタ本にして巡っていました。
昔は東京は観光地ではありませんでした。それが今や、高級料理店や江戸前よりも、懐かしく珍しい場所としての商店街や居酒屋や食堂が人を呼ぶ観光地になりました。地方が失ったものが唯一残っている街の集合体が東京なのです。
不忍池は東京に残った、江戸の海の遺構である。p.40
東京と海の関係。東京と海って結びつかなかったのですが、浅草橋に佃煮を買いに行った時、屋形船が停泊してるの見て驚きました。
巣鴨は薩長への抵抗の場。幸徳秋水は一時巣鴨平民社を名乗る。p.118
著者の地に足のついた丁寧な誘いだと思いました。現存する建物やお店だけではないものが集積する地域の歴史。巣鴨をゆっくり歩いてみたくなりました。
王子という地名は、鎌倉時代に豪族豊島氏が熊野の御子神若一王子を勧請して王子権現を創業したから。p.136
王子も市電に乗りかえただけなので歩いてみたいです。熊野神社由来か…。
三田線なら巣鴨・板橋の方が気持ちがほどける。千代田線も町屋、北千住。千駄木から五分の天国・町屋。p.220
交通路線の中でどこで降りるか。おっかない都心と気持ちがほどける地域の共存。故に東京の路線図は何度も発見があります。昨年三田線で高島平に行った時の不思議な感じ。いまだに余韻残ってます。
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