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サブカル大蔵経128竹田晃『中国における小説の成立』(放送大学教育振興会)
『捜神記』翻訳の竹田晃先生が放送大学でいざなう中国小説史。あらためて文章を書くことの意義と歴史を知り、中身の内容に感じ入る。この歴史をどこが受け継いでいるのか。小説家、コント、謡曲、note?
「小説」と言うこの原産地は言うまでもなく中国である。使用例元祖は荘子外物篇。小説を飾りて。p.15
元祖・小説
『漢書』という正史の書庫目録・芸文志に使用例。班固32〜92は芸文志の諸子略の中で、儒家・道家・陰陽・法家・名家・墨家・縦横家・雑家・農家・小説家者流。と分類。小説とは稗官・地方末端の小役人の収集した巷の噂話のこと、それを政治の参考に上層部に通達。儒家から農家までは読む価値あるが、十番目の小説は読む価値がないと。p.18
価値なきとレッテル張られた巷の噂話。噂の恐ろしさを政府は知っていたのだろう。今でいうSNSをチェックしている役人。そこに全ての源泉があった。
中国神話。史記や一八史略。有徳者堯から舜への政権交代。禅譲の由来。舜は一つの眼に瞳が二つ。p.29
瞳2つ。弱虫ペダルの御堂筋状態か?
史記、君主荘公が家臣崔杼の妻と密通。崔杼は荘公を殺した。太史・記録係の役人が崔杼、荘公を殺すと記録した。怒った崔杼は太史を殺した。その太史の弟も同じ記録した。殺した。末弟も書いた。さすがに崔杼もあきらめた。このように歴史に記録され伝えられる真実はときには記録者の生命を代償として記録され守られることもあった。史(記録)とはこれほどまでに厳しく重みを持ったものなのである。p.46
日本政府はこれを受け継がなかった。
六朝志怪に語られる死後の世界。泰山府とは府という名称が示すように役所である。寿命の管理も、冥界への執行も、いわゆるお役所仕事である。そこには手違いや賄賂横行や冥吏が情にほだされする余地が存在する。p.71
閻魔様も鬼も人情派役人だったのか…。キン肉マンの超人墓場の鬼もそうかも。
安禄山の乱の文学史への影響。李白・王維・杜甫から白居易グループの独自な活動。平易かつ俗と称される。p.101
安禄山の影響、詩体にまで影響。
枕中記のテーマ、適=自由とは何か。真の自由、仮、偽の自由。名利や栄達ではない真の生き方。p.142
予定のない自由
紀元前221始皇帝、諸子百家。前195漢。前136儒教国教化、前86司馬遷史記、紀元後仏教伝来、紙発明、220三国志、仏典漢訳老荘思想盛ん。隋589、仏教盛ん。唐618玄奘インド629-645、安禄山755、枕中記、仏教禁圧845。
こう見ると仏教も当時の政治と関わりものすごく深いんですね…
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