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サブカル大蔵経166『〈映画秘宝〉激動の20年史』(洋泉社)

 私が毎月購入する雑誌は「映画秘宝」と「KAMINOGE」なんですが、双方とも今年突然出版社が変わりました。東京ウォーカーやTVブロスは、休刊の名の下に紙からWEBに移行しています。その中であえて紙の雑誌として残ってくれた両者は時代錯誤なのか英断なのか。共通点はカミノゲも秘宝も広告が少ない「純雑誌」です。

 私が初めて買った「秘宝」は2003年12月号でした。女の子が鉄球のヌンチャクを構えた表紙。「キルビル」のサブキャラ、栗山千明さん扮するGoGo夕張を起用したもので、撮影は松蔭浩之さんでした。何か他とは全く違う表紙でした。

 その後、映画館で見たキルビルでの梶芽衣子の楽曲の起用法に感動し、それ以来現在まで毎月映画秘宝を買い、連載陣から編集後記まで楽しみに読むようになりました。週プロやファイトの「活字プロレス」で育てられた私にとって「映画秘宝」は「活字映画」、「読む映画」でした。

 洋泉社が宝島社に吸収されたのを受け休刊になったとされる「秘宝」ですが、最近は紙面から粘着性やカオスさが消えた印象で、大西祥平さんの漫画家コーナーも無くなり、私には巻末のキルゴアコーナーが唯一秘宝らしさを残している感じでした。双葉社からの復活で、また再起爆してほしいです。

 本書は雑誌「映画秘宝」と連なる映画作品の歴史です。それは映画とファンの構造や、映画業界の問題などの問題提起でもあり、町山・柳下の対談という核がどう変容したのか、サブカル史の考察にも繋がる感じがしました。

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本書の年表で私が秘宝のおかで見れた作品

2003年キルビル
2004年トニー・ジャー
2005.キングコング、シンシティ、パッチギ
2006.ヒストリーオブバイオレンス
2007.デスプルーフ・プラネットテラー
2008.ノーカントリー
2009.イングロ・トリノ・母なる・レスラー・愛のむきだし
2010.冷たい熱帯魚
2011.ブラックスワン
2012.
2013.ジャンゴ
2014.GODZILLA

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永江雅邦
本を買って読みます。

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