サブカル大蔵経928「ちゃぶ台」(7)特集:ふれる、もれる、すくわれる(ミシマ社)
「ちゃぶ台」は榎本俊二の連載を楽しみにして、いつもAmazonから取り寄せていますが、先日立ち寄った砂川市の「いわた書店」に最新号を見つけて、購入しました。
「やった」を報告し合うことが生きていることだと考えている人も少なくないだろう。p.12
という巻頭言からはじまる、今回の特集「ふれる、もれる、すくわれる」。校了前に特集名を変更したことが述べられいて、生々しい雑誌の生命をかんじました。
自分がもがいた上で、はからいを超えたところに救われていく世界。他力的な世界。
もれていいんだ。
伊藤亜紗・藤原辰史「「ふれる、もれる」社会をどうつくる?」
寄藤文平「未来の描き方」
土井善晴の「料理しないという提案」
に付箋しました。
巻末の益田ミリのエッセイ読んで東京駅ステーションホテルの宿泊サイト見たら高かったー。
「身体」からみたら「言葉」ってものすごくダサいというか、(伊藤亜紗)p.21
身障者を取材する伊藤さんの言葉。
「赤い糸で結ばれて、恋愛が成就する」ということではなくて、むしろ、ゴミ捨て場みたいなところにいろんな言葉や思い出が積み上がって(笑)(藤原辰史)p.28
藤原辰史さんはカミノゲ案件だと思う。
「ところどころに観察する伊藤さんというのも出てきている。ひんやりする書き方のところがあるんです。」(藤原)
「そのことを人から指摘されたのは初めてなので、いまかなり動揺しています(笑)」(伊藤)p.35
『利他とは何か』(集英社新書)を読んだ時伊藤さんの文章に冷たいものを感じていたので、それを指摘した藤原辰史さすが、と思いましたが、でも、みんな感じてなかったのかな?その冷たさが新鮮ですけどね。
「よしやろう。そう思ったとたん、やる気がすっぱりと失せた。自分に何が起きているのか自分でもわからない。しかし、この感触の中に、僕は「未来」があると考えている。」(寄藤文平)p.59
自分でもわからなくなった時、初めて開ける未来。先日読んだ『へろへろ』(ちくま文庫)のデザインが寄藤さんでした。
苦しみから逃げれば、苦しみは必ず追いかけてくるものです(土井善晴)p.64
家庭料理の苦しみ。革命家土井善晴。
日本の人はファストフードや庶民的なお店に行けば偉そうにものを言って要求するんですが、高級ホテルや高級店に行けば文句があっても何も言わなくなるんです。(土井善晴)p.68
ここ読んだ後、「ブルースブラザーズ」でレストランにてめちゃくちゃするシーンを見ました。このことを言いたかったのかなと思いました。
そのおいしさは、意図しても二度と再現できないことだと思っておいてください。そのほうがいい。食事は一期一会を楽しむものです。(土井善晴)p.82
プロは毎回同じ味を出せる。同じ味でないから家庭料理は面白く豊かで美味しい。法話とかもそうなのかも。
時宗の徒である「時衆」は、鎌倉末期から南北朝期にかけて、遍歴しながら戦乱の戦死者を供養した。(松村圭一郎)p.153
この後に読んだ『くらしのアナキズム』でも詳しく述べられていました。