サブカル大蔵経112 山田芳裕『望郷太郎』①②(講談社)
山田芳裕。
この30年、私の周りの先輩や友人で普段漫画の話をしない相手が、ふと漫画の話になると、山田芳裕を勧めてくれた人が多かった気がする。ある人は大正野郎を、ある人は泣く男を、ある人は度胸星を…。私が好きな人たちは、山田芳裕の作品を好きな人たちだった。いつの間にか私も人生とともに山田芳裕を読み続けてきた。
『へうげもの』が終わり、へうげロスになり、『仕掛暮らし』を挟み、『望郷太郎』である。
山田作品は無邪気な丸目顔、実直な一文字目顔、したたかなタレ目顔の3