サブカル大蔵経239宮沢章夫『わからなくなってきました』(新潮文庫)
「わからなくなってきました」という状態を流さない孤高の書。
そこで立ち止まってくれるのか、そこからしか見えない風景を伝えていただいて、ありがたいとしか言いようがないが、立ち止まらなくてもいいのにね、というのが「常識」ということなのかもしれないということもわかったような気がする。そこを立ち止まるのが哲学という状態なのか。
アナウンサーは興奮気味に言うのだ。「わからなくなってきました」(中略)そんなに無責任な言い方をしてもいいものなのだろうか。p.12
現実の中の実況。